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カプースチンのピアノ協奏曲

カプースチンはもうすでに有名な作曲家と言って良いでしょうが、彼のピアノ協奏曲についてはまだあまり知られていません。先日5月3日のカプースチン祭りの第二部で、高沖氏とのトークで珍しくカプースチンの「ピアノ協奏曲」が中心的話題になったことを除けば、これまであまり多くは語られてこなかったと思います。

カプースチンの作品には、『コンサート・ラプソディ 作品25』などピアノとオーケストラが一緒に演奏する曲がいくつか存在しますが、この作曲家が「ピアノ協奏曲」と名付けた作品は全部で6曲です。1961年作曲のピアノ協奏曲第1番から1993年作曲の第6番まで、すべて20世紀中に書かれた作品ですが、これらはまだあまり頻繁に演奏されていません。

第2番Op.14(1972年作曲)は、カプースチン自身のソロによる録音(レコード)が存在したのでよく知られていると思います。
第4番Op.56(1989年作曲)は、L.アンゲロフが2008年に世界初演+放送録音を果たしています。
第5番(1993年作曲)は、N.ペトロフがモスクワで世界初演を含めて2回演奏していますが録音は残っていません。
一番新しい第6番(1993年作曲)は、私自身が2013年に東京・紀尾井ホールにて世界初演しました。

残る2曲のうち、第1番は1961年に作曲された作品ですが、2012年に作品147という番号が新たに振られて改定版が出ました。この曲は、どちらにしてもまだ知られていない作品ではないかと思います。
そして第3番(1985年作曲)ですが、これもまだ演奏されていないコンチェルトの一つです。曲の規模が大きく全部で三つの楽章からなり、編成はコンチェルトの中では一番大きく、オーケストラ+ビッグバンド(!)+ソロピアノというものです。弦楽器群を少なめに設定しても最低70人以上の演奏者が必要です。この曲は、作曲者自身によると「私の一番の傑作なのに、まだ誰も弾いてくれない…」ということです(笑)。この曲に関しては、作曲から30年以上が経ちますが、これまでまだ誰にも演奏されていないのです。

そして、このカプースチンの『ピアノ協奏曲第3番』の世界初演が、ようやく実現に向けて動き出しました。私にとっても大きな挑戦となりそうです。
このコンサートについては、今後さまざまに宣伝がなされていくことと思いますが、まずさっそくここに告知しておきたいと思います。

日時:2016年11月6日(日)14時開演(予定)
場所:東京音楽大学100周年記念ホール

今年度の東京音楽大学の芸術祭の最終日の「プレミアム・コンサート」のメインプログラムになります。学生たちが主体となって毎年オリジナル・イベント(コンサートを含め)を企画していますが、今年はカプースチンの協奏曲第3番がプログラムに加わることになりました。
私にとっても、カプースチンのピアノ協奏曲を演奏するのは4番、6番、3番ということでもう3曲目になります。東京音大の学生たちはおしなべて演奏レベルが高いですし、若い感性がみなぎっているのでもう本当に楽しみです!カプースチンの初演にまさにうってつけの環境が現れました。私自身にとっても、これまでの演奏活動の中でも大きな位置を占めるものとなりそうで、大きく宣伝したいと思っています。

このコンサートのチケット入手方法など、詳細はまた追って告知させていただきたいと思いますが、歴史的なイベントになるよう、私の努力としてはとにかく「練習あるのみ」…です。頑張ります。

カプースチン : 20:06 : comments (x) : trackback (x)
今、辻井君の演奏聴いています!

たまたま、午前中自宅にいるので辻井君のミネソタ・ベートーヴェン・フェスティバルでのコンサートの生演奏をインターネットで聴いているところです!

今ちょうどベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を弾いているところですが、もう目の前で弾いているようなライヴ感覚です!マイクを通じて聴かれる音はどの楽器の音も鮮明ですし、演奏もすばらしい!場所はミネソタ州のWinonaですから、日本とは14時間の時差ですが、そのギャップが全然感じられない。今ここ目の前で演奏されているような錯覚を呼び起こします。

コンサートが始まる直前からちゃんと実況中継的にトークが入って、辻井君のインタビューも入れたりしながら、生放送としてきちんと演奏会の流れに従ってアナウンサーが語っているのが素晴らしい。このインターネット中継自体が一つのショーになっているのがすごいです。(1曲目の「コリオラン序曲」が終わって、次のピアノ協奏曲第3番が始まる前にピアノがセッティングされソリストの辻井君がスタンバイして、オケの最初の音が鳴り始める1秒前にちょうどトークが終わるようにアナウンサーが喋っていたのがスゴイと思った。)

雑記 : 10:10 : comments (0) : trackback (x)
辻井伸行のアメリカ公演が生中継!

たった今、アメリカから連絡が入りました。

辻井伸行✕オルフェウス室内管弦楽団の現地コンサートがインターネット生中継されるようです。
二回の公演はどちらも日本時間で朝のようですので、時間が合えば聴ける人もいるのではないかと思います。

情報を以下に載せておきます。
それぞれのURLをクリックしてください。(ストリーミングするにはボタン(おそらく"LISTEN"とか"PLAY"とあるボタン)をクリックすれば聴けるのではないかと思います。)

◯ミネソタ・ベートーヴェン・フェスティバルでの演奏
曲目:ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番
現地(米国中部)時間 6月25日19:30開演(日本時間=6月26日09:30)
http://www.classicalmpr.org/blog/classical-notes/2016/06/21/on-the-air-this-week-70

◯ニューヨーク、セントラル・パーク(野外コンサート)での演奏
曲目:ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
現地(米国東部)時間 6月28日19:30開演(日本時間=6月29日08:30)
http://www.wqxr.org/#!/
(こちらは野外コンサートでPAを入れるそうです!)

雑記 : 22:05 : comments (x) : trackback (x)
作曲するピアノ科学生!

私のピアノの門下生で現在大学4年の増井咲さんは、なんと作曲の方面で才能を発揮し始めています。一度ピティナのミュッセから編曲作品が出版されたことがあって紹介したこともありましたが、6月初め頃の佐々木邦雄先生の主催するジョイントコンサートで、自作曲を4曲披露したようです。そして、それは私もレッスン時に作曲の途中で何度も聴かせてもらったのですが、絵から受けたインスピレーションで音楽を生み出したもので、4枚の特徴的な絵(自分で選んだという)からそれぞれ浮かび上がってきた音楽が作曲されたということです。私が驚いたのは、その絵のイメージから音楽(ピアノ曲)を創ってみようという発想それ自体もそうですが、4曲それぞれの音楽の違いというかジャンルの幅広さ、特に彼女がジャズにこれほど通じているとは知らなかったのです。(ちなみに増井さんはカプースチンをレッスンに持って来たことはまだありません。)曲の完成までは、もちろん佐々木先生や大学で作曲の藤原先生あたりからいろいろアドバイスしてもらったとは思いますが、独学で勉強した部分もかなり大きいと思います。自分のものにしている音楽の幅広さにビックリしました。これは普段ピアノの演奏を聴いているだけではわからなかった部分ではあります。

すでに先日の演奏会の演奏がYoutubeにアップされていましたので、1曲目のURLだけ紹介しておきます。(他の曲へはその後リンクできます。)
https://www.youtube.com/watch?v=L8F35CCuJ7g

4曲の元になった絵をここに載せることができないのが残念ですが、4枚の絵は私も見せていただきましたが、作者もジャンルも雰囲気もそれぞれまったく異なった絵で、それに合わせた音楽的発想と多様さがなかなかスゴイと思うのです。曲も良いですし。どこでそんな才能を身につけたのか…純粋に驚きます。

ちなみにそれぞれの絵の作者とタイトルは以下です。
1.サルバドール・ダリ『記憶の固執』
2.ピエト・モンドリアン『コンポジション 第8番』
3.村上隆『Tan Tan Bo Puking-a.k.a. Gero Tan』
4.俵屋宗達『白象図』

ちなみに私は2曲目と3曲目が好きです。4曲で20分近くにもなる音楽を作曲できたという実績は、すでに作曲家の入り口に立ったと言って良いのではないでしょうか。増井さんは、明日は映画音楽をピアノにアレンジしたものを弾く本番があるとか、また来月には銀座の三越で演奏する予定がありそこでも自作を弾く機会があるなど、自分のピアノで仕事ができる場を作っていっているのは素晴らしいことだと思います。

私の門下生には、他にも独自の活動を展開し始めている人たちがけっこういます。ピアノが弾けることを一つの武器として、他の才能をいくつか組み合わせて、それらを融合して仕事にしていく、あるいは新しい仕事を創っていく人がこれからどんどん出てくることでしょう。

雑記 : 21:58 : comments (x) : trackback (x)
辻井君とゲルギエフ

ここのところ超過労働的なスケジュールが続いていてバテバテです。先週の辻井伸行君のオルフェウス室内管弦楽団とのサントリーホールの公演には誘われていたのに、結局私は仕事多すぎて行けませんでした。今回は私も思い入れの強かったベートーヴェンの協奏曲3番を新レパートリーに加えたばかりのシリーズだったので、ぜひ聴きたかったのですが…。
サントリーでのコンサートは大成功だったようで嬉しく思っています。

たまたま先週のある朝、ゲルギエフの半生について書かれた本を読みながら音大に出勤すると、そこに来月号(7月号)の「ぶらあぼ」が置いてあって、見ると表紙がゲルギエフだったので手に取りました(笑)。そして1ページ目を開くと、そこは見開きで辻井伸行君の10月のコンチェルトの演奏会の大きな宣伝ページでした。二人が今月は日本の音楽界の中心で活躍しているような錯覚さえ覚えました。



ゲルギエフのほうは10月に日本でマリインスキー・オペラによるオペラ公演。インタビューもあったので読みました。辻井君は10月末~11月のヨーロッパ室内管との国内コンサート・ツアー『極上のモーツァルト』シリーズの告知。彼はその前の10月中にはアシュケナージとのオーストラリアのツアーもあるので、今回こそはそれをめがけてついて行きたいと思ったりもしていますが…。
ちなみに辻井君ですが、今週はそのオルフェウス室内管とアメリカ公演中です。彼はこのようにとても忙しそうに活躍していますが、実は年間スケジュール的にはオフの時期もけっこうあって、一年をとてもうまく過ごしているように思います。私も見習いたいです。

この4月にサンクト・ペテルブルクへ行った時に、ゲルギエフの素顔に触れることができたのは素晴らしいことでした。それまで漠然と抱いていた印象とは全然違って、彼は物腰が柔らかく思いやりがあって優しい人です。やはり、こういう人が多くの物事を動かすことができるのだなと合点がいきました。食事を御一緒させていただいたのですが、普通にウォッカを飲みながら食事で一日の疲れを取り、食事中は何十局という放送が観れるテレビの国際ニュースをチェックしながら歓談…という感じで時を過ごしました。彼は刻々と変わる世界の情勢にとても興味を持っているということがわかりました。今年は日本へ二回来ることになっていると言っていましたが、まず夏はオペラ。マリインスキー劇場が世界的に有名になったことはもとより、ロシアのそれまでその真価が伝わりきれていなかった作曲家や作品、またロシア・オペラをこれだけ世界に認識させることに成功したゲルギエフの力は本当にすごいと思います。

雑記 : 22:12 : comments (x) : trackback (x)
大学でカプースチン講座

またもや長い期間、ブログの更新を怠ってしまいました。
ところで先日、自分のメインPCを普通に(スリープ状態から)開けると、突然!(本当にそう思いました)Windows10のインストールが始まってしまい、ただただ見守っているうちに数時間後にアップグレードされてしまいました。(実際は夜だったので途中で寝てしまったが。)
その後特に不具合は生じていないようなので良かったのですが、本当にビックリしました。(笑)
どういうことだったのだろう??

さて最近はカプースチンの話題ばかりでしたが、もう少し続きそうです…。
先日の「カプースチン祭り」では、いくつも感動する名演奏があり、あれをたった一度しか聴けないなんて本当にもったいないです。生演奏は1回きりで仕方ないですが、いずれ動画などで公開されることを願っています。

ところで、明日は母校というか勤務している東京音大の『作品解釈』の授業で、私が講座「カプースチンについて」をやることになっています。これまで、外会場でカプースチン公開講座のようなものは、全音から楽譜が出版された後の2005年からもう100回ほどはやってきたと思うのですが、音楽大学で授業として行うのは考えてみれば初めてかもしれません。第一回が東京音大でできることになったということは嬉しいことです。
講座の内容は今から最終の詰めをするところですが、カプースチンの音楽に対する多くの人が漠然と持っているであろう誤解を解くことと、クラシックとそれ以外の音楽ジャンルの関係をどう捉えるかがちゃんと説明できれば良いかなと考えています。とにかく重要な作曲家であることを知ってもらいたいと思っています。生演奏や映像も盛り込む予定です。

ちなみに、東京音大の『作品解釈』という授業は私が学生時代から存在するのですが、ピアノの学生が中心で、7月までの授業のテーマにはカプースチンに続いてリゲティ、そしてブーレーズに焦点を当てた講座が並んでいます。ほかにフォルテピアノに関する講義も。それぞれ専門的に得意とする講師が来て授業を行なってくれることになっています。今学期はなかなか「濃い」コンテンツとなりました…。

雑記 : 11:40 : comments (x) : trackback (x)
「カプースチン祭り」盛会終了!

報告が遅れましたが、今年のGW中開催の「カプースチン祭り2016!」も無事に終了しました!


会場となった豊洲の新しいホールもとても良かったです!

第一部も第二部も第三部も充実した内容だったと思います。いかがでしたでしょうか?
大いに盛り上がって、当日は私自身も帰宅が深夜を過ぎてしまいましたが、早朝からすぐ仕事で移動したりして忙しかったのでブログがなかなか更新できませんでした。
また、カプースチン協会のサイトでも詳しく報告されていますので、そちらもご覧ください!
→日本カプースチン協会サイト


第三部出演者の皆さん
(米津君は演奏終了後すぐ次の仕事に向かったためこの時すでに不在)


今回私はパリ在住のピアニスト近藤由貴さん(カプースチン弾きとしても有名)と「シンフォニエッタ」を演奏しました。

カプースチン好きの皆さんは、この日だけではまだ語り足りないという感じでした。私も当日は忙しすぎて、本当は出演した皆さん全員の演奏を聴き、全員と話をしたかったのに全然叶いませんでしたので心残りです。近いうちにまたきっとお会いしましょう!!

カプースチン : 21:48 : comments (x) : trackback (x)
5/3は「カプースチン祭り!」

いよいよあと4日後に迫りましたが、今年で第2回目となる『カプースチン・フェスティヴァル』(2016)の開催です。カプースチンのファンが全国から集うイベントになることと思います。今やカプースチンは世界中で多くの人たちに演奏されるようになりましたが、このようなイベントは今のところ日本だけだと思います。カプースチン本人にもこのイベントのチラシを渡しました!





第1部の出演者も第3部の出演者も、気合い満々で臨んでいるようですのでとても楽しみです。
第2部も今回私もカプースチン本人に会ってきたばかりですので、ホットな話題も含めて高沖氏と濱川氏のお二人を囲んだ一度きりのスペシャルなトークイベントになると思います。
ぜひ多くの皆さまのご来場をお待ちしています。

場所は「豊洲文化センターシビックホール」にて第1部開始が13時から。
(第2部=16:00開演、第3部=18:00開演)

上記、チラシをクリックしてご参照ください。

カプースチン : 09:25 : comments (x) : trackback (x)
ロシア旅行の余韻

先ほど無事に日本に帰国しました。
辻井君たちは翌朝さらに一つ打ち合わせを終えてフランクフルト経由で日本へ。私たちはモスクワ経由で日本へそれぞれ帰ってきました。サンクト・ペテルブルクで滞在していたホテルから東京の自宅まで、通しで計算すると19時間ほどかかっています。もちろん長い移動で身体はそれなりに疲れますが、近いと言えば近いかもしれませんね。でもやっぱり遠いか。

これまで私は時差が6時間くらいあっても帰国した日からすぐ仕事に入ることが多かったですが、やはり忙しい日常がすぐに始まるのは避けたいと思って今日だけはフリーです。と言ってもあと数時間ですが…。



今回はとても充実したロシア旅行でした。

サンクト・ペテルブルクは綺麗な街でした。モスクワの重厚な雰囲気とはまた違って、洗練された感じというか若者に似あうような雰囲気があり、街には活気もありました。景色や道路やお店を見ているだけでもテンションが上がります。





今回ゲルギエフの自宅を訪ねることができたのは思わぬ副産物ではありましたが、強烈な思い出になりました。いやもう、ロシアにはあらためて深く尊敬の念を強くしました。音楽もバレエも他の芸術もそうですが、本当に人々は芸術を愛する心があるし、街には歴史の重みもあるし、人々の物事に対するセンスの素晴らしさにも感銘を受けます。人の優しさにも感動しました。道を歩いていても、困っているとすぐに誰かが声をかけてくれたりします。親切心からくる行為なのですが、例えば私が閉まっている店の前で途方に暮れていると、「そのお店は移転して今向こうにあるよ」とか、地下鉄で一瞬乗り換えが分からなくて地図を見ていると「手伝いましょうか?どちらへ?」などとすぐに声をかけられたりします。そして詳しく教えてくれるのです。日本だと、他人のことをそこまで干渉しないかなと思われる場面で、ロシア人はとてもフレンドリーなのです。これはモスクワでもペテルブルクでもそうでした。

あと、マリインスキー劇場の聴衆も洗練されていると感じました。毎回のコンサートが満席ですし、本当にクラシックを愛する人たちがこんなにいるのかと思いました。音楽に深く感動している様子なのです。ところで、ゲルギエフは5年前にもプロコフィエフをたくさん取り入れたプログラムをやったようですが、今回はそれにも増してオペラをかなり入れ込んでいるようです。ゲルギエフによれば、聴衆はプロコフィエフが好きなのだそうです。こういう言い方は私たち日本人はしないなと思いました。うまく言えませんが、何か教養の違いのようなものを感じました。プロコフィエフの交響曲(7曲)には、まだ聴いてすぐ理解できるとは言いがたい作品もあると思います。それらをロシアの聴衆は普通に楽しんでいるのです。ただ、このサンクト・ペテルブルクのマリインスキー劇場を中心とした音楽文化の発信によって、ここまでクラシック音楽を活性化させた指揮者ゲルギエフの功績は本当に大きいものなのだと思います。

余談ですが、私がちょうどサンクト・ペテルブルクを日本に向けて出る直前に、日本からモスクワに着いたばかりの某ピアノ音楽の大家とも言える音楽学の大先生が私にメールで連絡をくれました。私がロシアにいることを知って、ひょっとしてモスクワで会えるかも?!と思ってくれたらしいのですが、私たちの帰国のスケジュールとどうしても合わずに断念。詳しくは知りませんが、きっと彼はモスクワでの今年のこのプロコフィエフ生誕125周年記念イベントの関連で音楽雑誌等で近々レポートしてくれるのではないか、と期待中…です。


ロシアではただのクラブサンドイッチもなぜか芸術的?で、美味しそう…。

雑記 : 17:47 : comments (x) : trackback (x)
ゲルギエフとの共演

昨夜は遅くまで興奮気味でした。
ホテルに帰ってきたのは深夜の2時近くになってしまいました。だって、何と言っても演奏会終了後に辻井君を含む私たち4人はマエストロ(ゲルギエフ)本人に誘われ、スタッフや興行主など彼の周りの人たちと一緒に彼の私宅に招かれたからです。そして私はマエストロと辻井君に挟まれて座ることになりました。お陰でマエストロとも喋ることができて、とても貴重な時間を過ごしたのです。ゲルギエフの素顔(人間性や音楽観)を垣間見ることができて、やはり会って話をしないと人間は分からないものだと思いました。音楽を聴いているだけでは感じなかった尊敬の念が湧いてきました。



昨日のコンサートですが、今回はすべてプロコフィエフ生誕125周年を記念した一連のシリーズですから、前半にはプロコフィエフの交響曲第1番と第2番。後半が辻井君のベートーヴェンの『皇帝』でした。最後は満場の客席からの拍手に答えて伸行君は「熊本の皆さんへの思いを手向けて弾きます」ということでベートーヴェンの『悲愴』の2楽章を演奏。ところがそれだけでは終わらず、ゲルギエフに促されて2曲目、3曲目、そして合計4曲もアンコールを弾かせてもらえました。先日のピアニストたちが1曲ずつしか弾かなかったことを考えると、これはかなり特別で破格な待遇だったと思います。マエストロの辻井伸行君に対する愛情と信頼と期待がこんなところに現れるものなのですね。そして聴衆はスタンディングオベーションでした。私は1階の1列目に座っていましたが、後ろを振り返って皆が立っているのを見てびっくりしました。彼はアンコールでさらに聴衆の心をわしづかみにしましたね。(ちなみに他のアンコール曲は、『ラ・カンパネラ』、『ラフマニノフのパガニーニ変奏曲の第18変奏アレンジ』、『ショパンの革命』)

辻井君はこれまでゲルギエフの指揮で『皇帝』の他に、チャイコフスキーの第1番、プロコフィエフの第3番などイタリアやドイツ、日本などで弾いてきており、もう5年来のお付き合いとなっているのでマエストロとの信頼関係はしっかりできているようです。

それにしても、ゲルギエフの行動力と体力には脱帽です。深夜の0時は彼にとってはまだお昼間のような感覚らしいです。さすがに今回のように大きなコンサートを一日3回も連続して振るなどというのは、それこそ「プロコフィエフの誕生日だったから特別」だとは言っていましたが、今回は本番がぎっしり詰まっているので、リハーサルやゲネプロをやる時間を捻出するのが大変だったようです。例えば3日前のマツーエフとやったプロコフィエフのピアノ協奏曲第2番はゲネプロなし!で本番。双方とも凄いといえば凄いです…。またトリフォノフとの第3番も時間がなくてやはりゲネはほんの少しだけだったとか…。辻井君は今回ベートーヴェンであったとは言え、合わせは文字どおり「本番直前」の1回だけでした。

しかし私は今回それらの演奏会を聴いて、そんなギリギリの状況の中でも、ゲルギエフ指揮するオーケストラの演奏のクオリティはとても高いもので、演奏はどれも感動的なものだったと思いました。私もいろんな意味で今回ものすごく刺激を受けてしまいました。伸行君も本当にお疲れ様でした。立派で堂々としたパフォーマンスだったと思います。またすぐ日本で会いましょう。



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