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ピアノをなぜ習うの?(2)

 ところで、ピアノを弾くことは本来は楽しいことであるのに、なぜか「練習はつらい」と言われることが多いのですね。先生から要求されることが、今の自分には信じがたいほど難しいことのように思われるのです。そして、次々に高度なことを要求されるわけですが、ちょっとやってみてできないと、自分には無理だと思ってしまう人もいます。でも、正しく練習しているうちに、少しずつかもしれないけれど、自分にもできることが増えていくのですね。長い年月を経る間に、100個も200個も小さな新しい技術が増えていく。その結果、気がつくと、あこがれていた上手な人と同じ曲が、自分にも弾けるようになっているのです。

 テレビとかコンサートで、ピアニストの人が弾いているのを見たことがあるかと思いますが、みんな簡単そうに弾いているでしょう。それは、ちゃんとテクニックを持っていて良い弾き方をしていますし、楽譜をきちんと勉強しているということなのです。個性とか言って、音符をすっ飛ばして好きなように弾いている人はいません。ピアニストは、みんな几帳面なほどよく勉強していて、例えば外国の大柄な男のピアニストでも、手が大きかったりするにもかかわらず、繊細なパッセージを一音たりともおろそかにせずに弾いたりするのです。(そういう姿を見ると私も“健気だなあ”と思ってしまいます。) ピアノという楽器は、実はおおざっぱな感覚では勉強できないのです。(ごまかして弾くことはできても。) ピアノでなくとも、楽器を習得するというのは、それだけ大変なことなのです。繊細な感性と確かな技術が必要なのです。そういうものを身につけることが子供にも大切なことだと思います。

 だから、ピアノは楽しく学ぶものだという意見には私も大賛成ですが、それと同時に、「ただ楽しいだけで良いのかな?」という問題もあります。ある程度、楽譜をきちんと読み、正しく弾けるようになるためには、「楽しい」だけではできないことがあるのです。子供のためのコンクールが現在いろいろありますが、決して“競争する”という意味ではなく、目的やモチベーションを強く持ってピアノを勉強していく、ということがとても大事なことだと思います。学校でも、もし“テスト”というものがなかったら、はたして子供は同じように勉強するかどうかです。学科の試験とは違って、ピアノの演奏を人前で披露することは、少なくとももうちょっと楽しいものだと思いますから、コンクールは「励みにする」というふうに考えてほしいと思います。

 さて、ピアノを弾くことの精神的な面での効用を言いましたが、指を動かすことは身体の“健康”にももちろん良いようです。頭がボケないともよく言われます。私もその通りだという気がします。ピアノに向って、正確に、しかも心を込めて音楽を奏でるために繊細に指を動かすという行為は、他にはあまり似たものは見つかりません。まあ、パソコン操作でも確かに指は動かしますし、ほかにも手先を使う仕事はいろいろあるとは思います。私もパソコンでキーを叩くのに一応10本の指を使いますが、指の先端と、手のそれ以外の意識の集中の度合いということで考えると、その鋭敏さはピアノを演奏する時の“10分の1”くらいの感覚でしょうか。それほどの違いはあります。ピアノ弾きというものは、爪もいつもきちんと切っていなければならないし…、ピアノを弾く行為って、考えてみるとやっぱりちょっとだけ特殊なことかもしれません。


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ピアノをなぜ習うの?(1)

 ピアノを習う子供の数が減ってきたとはいっても、まだまだこの楽器は長い人気を誇っています。小さい頃からピアノに親しんできた人というのは、すでにけっこうな数がいるのではないかと思います。そして、現在も多くの子供たちが習っているわけです。最近では、大人になってからピアノに目覚めて、ある程度の演奏ができるようになる人もいます。もっとも、本場ヨーロッパでは、昔から自分の職業のほかに音楽をかなり高度にたしなむ人がいて、楽器の腕前もプロ並みというような人がけっこう存在したようです。現代の日本でも、プロの演奏家以外にもアマチュア演奏家たちの活躍も多く、全体で非常にレヴェルの高い音楽文化が展開されているように思います。

 さて、ピアノを習い始める小さな子たちは、最初は気軽な気持ちで始めたとか、親の勧めであることが多いと思いますが、なぜピアノを子供に習わせるのでしょうか。ピアノの魅力というのは、いったいどこにあるのでしょうか。これを少し考えてみたいと思います。

 最初は、お稽古事の一つとして始めるのだと思いますけれども、毎週規則的にレッスンに通うのはけっこう大変なことだと思います。しかし、才能があるかないかは分からなくとも、長く続ける効用はもちろんいろいろあります。学校の勉強以外に何か他に打ちこむものがあるというのが、まず大事な観点です。小中学生の子供たちは、ほかにも部活動があったり、塾や他のお稽古事もあったりして、ピアノだけに力を入れられるわけではないでしょう。最低限度の強い意思が本人になければ、とてもできることではないと思います。物事には、一生懸命続けなければ得られないものというのがあると思いますが、ピアノはその最たる例でしょう。語学を身につけるのもそうです。ある程度の長い年月をやり続けなければ、一定の結果が出ません。楽器の練習というものは、ストイックな精神力を強いられるし、自己を磨くという意味ではとても大きな意味があると思います。そしてまた、大きな大きな喜びを伴うものです。すぐに手に入るものは、それほど価値のあるものではないのです。

 ピアノを習う時に、お母様が「あくまでもうちは趣味でやらせたいので」とおっしゃることがあります。私は、もちろん趣味でやるのも良いと思っています。親としては、プロの音楽家になるのは難しいし、無理になってほしいとも思わない、ということだと思いますが、これはある意味謙虚な言い方かもしれません。または、コンクールばかり受けさせられ、スパルタ式にやられてはたまらない(笑)ということで、最初に先生に釘をさすつもりでおっしゃるのかもしれません。(現在、そういう厳しい先生のパーセンテージが減ってきたのかどうかは知りませんが…。) ただ、教える側としての私は、「趣味で…」の方にも手を抜かず、本格的にやりたいという子供たちと同じように真剣に接します。だって、もし将来才能が伸びてきた場合は、状況が変わってくる可能性だってあるのですから。子供の将来というのは、両親にもなかなか分からないものでしょう。(本人にも分からないでしょうが。)

 ピアノをやっているということは、音楽が自分の友達になるということです。クラシック音楽というと、両親がよほどの音楽ファンというのでもなければ、普段の生活からは縁遠い世界かもしれません。しかし、音楽というものは実は身近なところにあって、例えばテレビの歌番組やアニメ、映画などを通じて知った曲が、自分にももし弾けたら嬉しいでしょう。また、学校でも合唱の伴奏や、他にも音楽に関係する行事などがあるかもしれません。ピアノが弾けることは、なにより自分自身の財産となります。(つづく…)


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