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『辻井伸行 奇跡の音色』発売!!

本日発売となった新刊書籍、『辻井伸行 奇跡の音色』がようやく書店にも並び始めたようです。



音楽関係の書籍のコーナーに置いてありますね。

それから、アスコムのこの書籍の公式サイトも開かれたようです。
以下です↓
→辻井伸行 奇跡の音色 公式サイト

今日は取材がいくつかありました。

雑記 : 22:31 : comments (x) : trackback (x)
プロの演奏家になるためには

音楽家になりたい人へ、専門的なこと以外のスキルについて書きましたが、それ以前にやはり専門的な能力のほうがはるかに大事ですので、演奏家になるために大切な専門的能力についても書いてみたいと思います。

◎楽器を高度に操る能力
まず自分の楽器が自由自在になることが必須です。これが第一です。これなくしては何も語れません。そのための研鑽を積むことを決してやめないことです。ものすごく長いスパンでやっていかなくてはいけないことなので、これが意外に難しいことです。もうこれ以上はダメかなと思う瞬間が何度でも現れますから、長く続けられることも才能の一つです。

◎音楽への専門的知識
知識的なことは、楽器の演奏に直接結びつかないように思いますが、それは違います。ある音楽を深く理解すればするほど、演奏の質は変わっていきます。それは表現の確信にもつながります。

音楽は本来、自分の中から流れ出てくるべきものだと思いますが、クラシック演奏家の場合は、作曲家が書いた通りに演奏することが求められます。だから、自分がその作曲家その人になったような気持ちになるところまで深く掘り下げないといけないのです。
どうやってこの音楽が生まれたのか、その一音一音が存在する理由を100%に近いところまでわかっていなくてはいけないと思います。

◎アガらない能力
これは、ステージに上がって何かをしようと思っている人には、必ず解決しなければいけない問題です。人前で本領が発揮できるかどうかは、性格によるところもある程度はあるかと思いますが、やはり解決していける問題です。

やはり音楽家たるもの、やはり繊細な部分も持っているものです。少々アガるのは当たり前です。ステージ上で普段とまったく違う状態になってしまう人もいますが、一生そのような状態が続くことはないでしょう。
およそ本番なんて完璧にはいかないもので、それでよしとしなければいけません。でも人のステージを見ているとなぜか完璧に見えるものですし、実際、本当にあまりアガらないと言い切る人もいます。でも、アガる人は、そういう人とは同じようにはいかないと思って良いと思います。他の自分の強みを磨いていくうちに、この部分はきっといつか克服されます。あとは経験を積につれて必ず楽になってくる瞬間が訪れます。

また、「今日は全然アガらずに集中して弾けた!」と思っても、聴衆からはあまり良い演奏ではなかったと言われることもあるし、逆に、すごく舞い上がって何を弾いたか覚えていないというステージでも、「すごく良かった!」と言われることもあります。悲しいけれどもそんなものなのです。すべてが、自分の思っているとおりにも、狙ったとおりにも人は反応してくれません。なので、あまり結果は完璧を求めないくらいでちょうど良いと思います。

◎体力
プロの演奏家に一番大事なものがこれです。この「体力」は、絶対必要条件です。これをあえて音楽家が必要とする専門的能力の一つに入れたいと思います。
体力がなければいざという時に負けてしまいますし、長く良い活動を続けることもできません。悔しいですが、技術よりも体力のほうが大切です。ピアニストの人たちは口をそろえて皆そう言うので、多くの人が切実に感じていることなのでしょう。普段から自分を体力的に鍛えあげてなくてはいけません。これをやっていないとすぐに辛くなってくるでしょう。

ピアノ練習のヒント : 09:21 : comments (x) : trackback (x)
演奏家に必要となる意外なスキル

一生演奏を続けていきたい人、そして、それで生計を立てたいと考えている人は、まず音楽の才能と楽器演奏の技術がホンモノでなくてはいけないでしょう。
でも、それだけで足りないとすれば、ほかに何を勉強することが仕事の役に立つでしょうか。どんなスキルが身を助けるでしょうか。

実際に音楽の仕事に関係してくる可能性の高いものを挙げてみたいと思います。

●トークの才能
まずは人前でトークができる才能は必要です。
無言でピアノを弾くだけのステージであっても、本当にその音楽が素晴らしければそれも価値がありますが、やはり人前で堂々と喋れるスキルがあるに越したことはないでしょう。
多くの人を相手にする人は、トークができることは基本です。クラシック音楽家に限らず、ポップスの歌手であっても演歌の歌手であっても、ライヴではトークをします。テレビやラジオに出ても必ず喋ることになるでしょう。演奏会のステージでも、トークを入れるとその人の人間らしい側面がわかったりするので聴衆は喜びます。

喋ることは、少なくとも演奏することよりは楽なはずです。たぶんそうですよね? 経験を積むにつれて、これも熟練してくることと思います。頭の切れる話ができる人も、シャイで口下手な人も、人間的魅力があればどちらも好かれます。自分のスタイルを見つけることです。

●文章を書く力
以前にも書きましたが、文章を書ける能力も大事です。
私は長年、音楽家は作家でないのだから文章を書くことはないし、そんな才能はなくても良いと思っていました。でも、現代の情報や知識が大切な文明に住む私たちには、やはり必要なスキルのように思えます。
今では、誰でもブログを書くようになりました。
少なくとも、書くきっかけを見つけることは容易な時代になりました。
ただ、いろいろ書き散らすのは簡単ですが、きちんとまとめたり、説得力を持って書くという技術を磨けば世界はさらに広がると思います。

特に音大では、論文指導の授業などは少ないので、楽器を専攻している人は大学院に進んでも積極的に修士論文を書こうと思う人は極めて少ないのが現状です。また、大学生は文章を書く機会がかなり少ないと思えます。驚くほど文を書くのがヘタな人が多いようです。というか、おそらく慣れていないのでしょう。
今後、良い文章が書ける人は、音楽家に限らず、いろんな仕事に恵まれるチャンスが増えることでしょう。

●デザインのセンス
これが意外に必要です。
自分の演奏会のチラシや出版物のデザイン、ほか各種の宣伝媒体にも、デザインのセンスが要ります。プロのデザイナーにやってもらうにしても、やはり自分の美的センスがいろんなところで反映されます。

あるいは、人からサインを求められた時には自分オリジナルのサインをすることになるでしょう。演奏家になろうと思っている人は、プロになってから、あるいはCDや本など何か世に出したあとにサインを求められるようになるわけではありません。ピアニストの卵たちでも、例えば国際コンクールを受けると、演奏を聴いていた聴衆から話しかけられてサインを求められることがしょっちゅうあります。外国などではそういうカルチャーがあります。
また、イラストが描ける才能を持っている人も得ですね。自分の本や出版物を作る時にも役に立つことがあるでしょう。とにかく芸術的センスが大事です。

●アピール力
プロになるためには、これも必要です。性格的に目立つ人になれという意味ではなく、自分の良いところを正当にアピールすることが、人前に出ようと思っている人にはどうしても必要です。自分を客観的に見ることができることが大切です。自分をどのように見せるか、ということです。トータルな人間力というようなものが出てしまいます。
それは人それぞれに違って良いと思います。演奏スタイルにオリジナリティがあるとか、あるいはトークの面白さ、ヴィジュアルなど、いろんな強みを持っていることが考えられます。

あるいは、良いものを世に出したいという気持ち。多くの人を説得したり、あるいは自分が発見して、皆がまだ知らないようなものを、人にもわかる形にして見せる技術も必要でしょう。一般的な職業から見たら、音楽家はかなり特殊で少数派です。ほとんど理解されない部分のほうが大きいと思います。だから、普段からアピール力を身につけることが大事だと思います。

●語学力
この能力も一体なんのために身につけるのか、よく分かっていない人が多いように思われます。大学でもいくつかの外国語を選んで勉強する人は多いと思いますが、ただ単位になるからとっているという人もいるでしょう。

やはり最低でも英語はなんとか使えるレベルまで早いうちに持ってこなくてはなりません。
どうすれば外国語が身につくかと言えば、どうしても勉強しなければいけない状況に身を置くこと。これに尽きます。留学することも良いでしょう。あるいは外国で何かを成し遂げようとか、世界的に活躍しようとかいう目標を持つこと。
今の時代、まったく外国にも行かず、外国人とも接することもなく生きて行くのは悲しすぎます。世界は決して日本だけで完結しているわけではないのですが、この日本という国は周りが海に囲まれているということもありますが、本当にある意味孤立している感があります。若者であっても、国際情勢にもまったく疎いとか、そういうのでは本当に困ります。

語学力と言っても、ただ外国語が堪能なだけではなく、視野を広げること、偏った物の見方から脱することなど、世界を知ることで自分自身が大きくなります。これは、そのような気持ちを持って生きて行くのと考えていないのとではすごい差ができるということです。
本当に多くの人に本気で外国語を学んでほしいと思っています。

少なくとも英語に自信が持てるレベルまできた人は、音楽をやっていても、今後必ず何かに役に立っていくということをお約束したいと思います。

ピアノ練習のヒント : 21:08 : comments (x) : trackback (x)
辻井伸行~チャイコフスキーピアノ協奏曲



一昨日に2枚組のCDのほうを紹介しましたが、この2月に新たにリリースされる音源はこちら、チャイコフスキーのピアノ協奏曲盤のほうです。
エイベックスさん、ありがとうございました。
3年前に出したラフマニノフの第2番協奏曲がすでに12万枚の売り上げを記録したということで、今回は昨年12月にBBCのスタジオでコンサート翌日に録音されたチャイコフスキーの協奏曲第1番が公開されました。
このCDにはチャイコフスキーの協奏曲のほかに、シューマンの「パピヨン」Op.2が収録されています。

私もさっそく聴かせていただきました。
世間的にも、「辻井伸行のロシアものもなかなかいいじゃないか」などと言われ始めていて、彼もすでに底知れぬ器になってきつつありますね。

いよいよ3月には、このBBCフィルハーモニックと佐渡裕さんとの日本全国ツアーが始まります。世界と日本をつなげてくれる役割も果たしていて、彼は本当に頼もしい存在となりました。

雑記 : 18:00 : comments (x) : trackback (x)
ピアニストも進化する

昨日、大学入試の実技試験の審査員の仕事で菊地裕介さん(彼も大活躍中の若手ピアニストです!)と一緒になり、昼食をとりながら珍しくたくさん話をしました。

チラシを見せてもらったのですが、彼はこの6月に名古屋でベートーヴェンのピアノソナタ32曲を2日間で全曲演奏するリサイタルを開くそうです。ということは、1日にソナタを16曲。午前11時から始めて、全部弾くのに夜遅くまでかかるでしょう。体力勝負でもありますね。

これだけでもすごいと思う人もいるかと思いますが、彼の本心は1日で全32曲を連続して演奏するリサイタルを開きたいそうです! 東京でもそれをやりたいそうですが、どこを探しても、夜間までホールを開けてくれるところがないので困っている(笑)ということ。確かに、午前11時から始めて休憩を数回とっても午前1時半頃までには32曲をすべて弾き終えることができる計算にはなります。数年前の大晦日のコンサート企画で、16人のピアニストが2曲ずつベートーヴェンのソナタを弾く32曲全曲コンサートというのはありました。辻井伸行君も出たので覚えています。菊地さんもそのコンサートに出演したから、それがきっかけとなってもいるのだろうし、横山幸雄氏のショパンのピアノ曲全曲リサイタルにも明らかに刺激を受けたようですが、これが実現したらほとんどギネスものですね。

これまでの常識では、ベートーヴェンのピアノソナタを4曲でプログラムを組んで1回のリサイタルを行う。それを8回こなして32曲演奏するソナタ全曲演奏会という感じでした。そして、それぞれの演奏会の間隔は少し空けるのが通例でしょう。ところが、それを1日で全曲演奏できるピアニストが出る時代となったということです。一昔前までは、ハンマークラヴィア・ソナタ(第29番)1曲演奏するのさえ大変だと言われていました。ベートーヴェン自身は、「このソナタは誰も弾けないだろう」とまで言ったとか。それを考えると、ものすごい進化です。

たしかに、このくらいのことならもう軽くできるということを証明したいと思うピアニストが出ても不思議ではないかもしれません。人類はベートーヴェンのソナタをもう200年も弾き続けてきたのだから、そのくらいの学習効果がないようでは後世の人間としてダメかもしれませんよね。(笑)

そう考えてみると、「カプースチンなんて簡単すぎる!」なんて言われる時代も、きっとやって来ると思います。当然そうなっていくような気がします。

ピアノ練習のヒント : 18:26 : comments (x) : trackback (x)
『辻井伸行~奇跡の音色』いよいよ発刊!

今月末、アスコムより新刊書籍が出ます。
タイトルは『辻井伸行~奇跡の音色』(神原一光著)。



著者は、昨年のNHK「心の遺伝子」の番組を担当してくださったディレクター氏です。番組の反響が大きかったので書籍化の企画がなされたということですが、本の内容はその後の取材でさらに大きく膨らんで、とても良い出来上がりとなりました。私自身も、有難いことにこの本の制作に協力させていただきました。

この『辻井伸行~奇跡の音色』は辻井伸行くんと私の12年の歩みの真実に迫ったものですが、恥ずかしながら、私自身の半生にもスポットが当たり、今まであまり語られてこなかった部分の大半がこの本で明らかになります。
また、伸行くんの素顔や本性、私自身の考え方や行動の源にあるものなど、さまざまな観点から12年間の真実がある程度深いところまで描き出されています。さすがは、多くの人間を相手に仕事をしている著者のひらめきによるところも大きいと思いました。

ところで、辻井伸行くんはさらにNewCDが来週発売の予定のようです。



こちらは、チャイコフスキーとラフマニノフのピアノ協奏曲。
このCDは2月23日発売。

本のほうは2月28日発売ということですが、都内の大型書店等にはもう少し前に並ぶ可能性があるということです。ぜひ多くの方に読んでいただけますと嬉しいです。

雑記 : 08:45 : comments (x) : trackback (x)
勉強を仕事に結びつけるためには

この話が、実は一番大事なことかもしれません。
学校で勉強したことがどのように役立つのか。あるいは、音大で勉強したことがどのように具体的な仕事に結びつくのか。

ピアノを何年もやってきて、音楽大学をかなり優秀な成績で出たにもかかわらず経済的自立ができないというケースです。ケースというよりも、それが普通かもしれません。そんな状況で、さらにまだ一心不乱に練習ばかり続けている若者を見ていると、「うーむ、これはどうにかしなければ…」という気持ちになります。

やはり勉強をする必要があります。勉強する理由は、「人に伝えるべき内容を持つ」ということです。
もちろん、音楽大学では西洋音楽史など音楽の歴史的な勉強があるし、一般教科もありますが、それほど切実に学ばなくてはと思っている人は意外に少ないかもしれません。学校の音楽の先生を目指す人なら教職関係の講義は真面目に聴いているかもしれませんが、半分演奏家を目指しているつもりでいる人は、専門の勉強以外に関してはそれほど意識が高くないような気がします。

でも、実際には勉強した内容がその後とても大切になってくるのです。大学で講義を適当にやり過ごして遊んでいたら、どちらにしても卒業したあと自分の努力で勉強していかなくてはいけなくなります。そうしなくては収入さえままならないと思います。音楽を専門的に勉強した人も、いずれは社会に出るのだから、やはり他の職業の人たちと同じように、何か仕事をして稼いでいかなくていけません。
音楽家が純粋に「演奏する」という仕事のみで食べていくなどという世界はどこにもないと思います。それは単純な妄想であって、実際には人前で演奏を聴かせることにそれほど需要はありません。(需要を作るという仕事はもちろんあると思いますが。)
世界のトップ級のアーティストであれば、もちろん演奏することで稼いでいるとは思いますが、彼らの人間的魅力はやはりそれだけではないように思います。やはり教養があったり、しっかりした考え方や思想を持っていたりする人たちです。そういう人たちは、おそらく他のことをさせても、それなりに納得のいく仕事ができると思います。

結局、「多くの人に喜ばれる内容を持っているかどうか」、極論を言えば、職種を問わずこれが求められるのだと思います。自分が伝えたいと思うこと、人に与えたいと思うことを、客観的に認められる形で出していくことができるためにいろんな勉強が必要になってくるのです。

音楽を専門にやって生きた人は少し特殊な世界に住んでいるとは思いますが、それでも次のような能力は必要かもしれません。
例えば、文章を書く技術。
大学では、論文指導などもありますが、それだけでは足りないと思います。
あるいは、人前でトークができる才能。
話す内容がなくては始まりません。また、話が面白いことも大切です。そのためには、やはりいろんな勉強や話す経験自体も必要でしょう。
また、ショー的な要素を何か持っているとか、そういうことも価値を持つことがあるでしょう。
それから、企画する能力、説得・交渉する能力。
プロデュースする能力。
新しいアイデアを出す才能。
新しいものを生み出す能力。
音楽に携わっている人にとっても、いろんな能力を磨くことが大切で、これらは、磨いていけばいくほどきちんと経済効果も生み出していくと思います。

芸術方面でやっていこうと思う人は、経済感覚に疎い人が多いので、あるいはお金に罪悪感を持っている人も多いのかもしれませんが、純粋に自分の芸術だけを追求していくタイプがいます。でもある意味で、それは自分のことしか考えていないという言い方もできるのであって、それではやはり大きなことはできないでしょう。

人に影響を与えていこうと思う人は、純粋に芸術を追求しているだけでは道が開けなくなることがあると思います。人間はもともとひとりで生きているのではないわけで、やはり社会の中で自分の才能がどう役に立っていくのか、ということを明瞭にイメージできることが、音楽家として自立することにつながっていくと思います。

ピアノ練習のヒント : 20:01 : comments (x) : trackback (x)
音楽家を志す理由

音楽をやっている人に、あまり「勉強」というものに熱が入らないのには理由があると思います。

そもそも「音楽をやりたい」と思うきっかけは、頭で考えたわけではなく、「好きだから」とか、「楽しそうだから」とか「感動したから」などという感情的なものだと思います。まずは楽器を習い始めて、そしてひたすら上達を目指して歩んできた人が多いことでしょう。音楽にはワクワクさせる何かがある。あるいは音楽で気持ちが発散できるとか、達成感があるとか、楽しいとか、心が揺さぶられる感動を経験するとか、優しい気持ちになれるとか、ほかのものでは代用できない計り知れない価値がいろいろあると思います。

音楽への情熱は、一つにはこれを伝えたいというところから始まるでしょう。「自分にも何かできるかもしれない」という期待感です。そして多くの人を感動させられることを夢見て、技術を磨いていきます。それは大きな喜びです。楽器演奏の技術や表現力というものは、上を目指せばどこまでも高いところまで行くものだと思います。本当にすごいところまで行けば、その人の存在は社会的に大きな意味さえ持ってきます。

私は小さい頃から、モーツァルトやショパンが生み出した数多くの曲を聴いて、これは本当にすごいことだなと、子供の頃からその事実に驚愕していた者の一人です。そのことに心を動かされました。そしてピアノに熱中するようになったわけですが、今でもその気持は薄れていません。もちろんそのような興味の対象が、年月を経てショパンからカプースチンに移っていったりということはありましたが、音楽そのものに感じる価値と、良いものを産み出したいとか、良いものを育てていきたい、あるいは伝えていきたいという情熱は変わらないような気がします。

専門的にピアノを勉強していくにしても、ただ自分が好きだから、という理由を越えて、その先にもっと大きな目標や目的を考えていかなくてはいけないと思います。それは、音楽を志望する人なら大学在学中あたりに考えるべきことかもしれません。

自分の才能と技術を磨くことは当然ですが、それがどのような段階にあるかに関係なく、あるいはどれだけ可能性があるかに関係なく、自分が素晴らしいと思うものを徹底的に追求していくこと。そうすれば、自分が認められるかどうか、自分が成功できるかどうか、ということを越えて、いずれその人は素晴らしい仕事をしていくことになると思います。そしてその時には、そのことが人々に喜ばれていると思うし、自分の勉強に終わりがなくなります。そういうことを感じる瞬間が必ず来ると思います。

ピアノ練習のヒント : 20:02 : comments (x) : trackback (x)
音楽の勉強のノウハウ

モノが溢れる時代になったからこそ、逆に勉強の仕方がわからなくなったという人もいるかもしれません。

例えば、自分が練習しているピアノ曲を勉強するのに、まずどのCDを聴いたら良いか、選択肢がありすぎてわからない、ということがあったりするでしょう。それで、手っ取り早くとりあえずユーチューブを検索したりします。
あるいは、ある事項についてどの本を調べて良いかわからない時は、やはりネット上でウィキペディアだけを読んで終わりにするという人もいるでしょう。
そのように、「教養」になる前の「情報」の段階で終わってしまう人もいます。いや、情報にもなっていないかもしれません。特に、ちょっと専門的なことになると、ネット上の情報だけでは現在でもまだ大いに偏りがあると思います。ほとんど頼りになりません。

あるいは、例えばある作曲家のことを調べるならどの本から読むべきか、そしてその本をどのように入手するか、ということにちょっとした努力が必要な時代になりました。昔であれば、出版されている本を買ったり、図書館で借りたりして全部読めば良かったわけです。ある意味で重要な本、良書しか存在しなかったので楽だったのです。でも現在では、例えばベートーヴェンについて知りたい読みたいと思った時に、日本語で読める伝記だけでも数十冊以上はあるでしょう。有難い時代ですが、逆にいつでも読めると思って1冊も読まない人、あるいはよく考えないで1~2冊読んで終わってしまう人などがいます。

CD等についても同じで、録音がたくさんありすぎて、じゃあ名盤と言われるものから聴こうと思って、本や雑誌や口コミによって得た情報をもとにお店へ行っても、運良く在庫があるとは限らない。また、CDを店頭で買うというスタイルは、この先さらに減っていくことも考えられるくらいです。

例えば、ナクソス・ミュージック・ライブラリー(NML)はとても重宝するサイトです。それほど高くない年会費で、ナクソスほかいくつかのレーベルの広範な音源を聴くことができます。ただ、聴ける音源にもちろん限りはあるので演奏家も限られてきますが、大きな利点もあります。それは、すでにかなりマイナーな作曲家や作品までひととおり網羅しているので、ある種の百科辞典的な役割を果たしているところです。また、有名曲であれば複数の音源を聴き比べることもできます。私などはピティナの会員の特典の一つとしてNMLを無料で聴けるので、ときどき利用させていただいています。同時接続の人数制限はありますが、ほとんどの場合は問題なく、とても重宝しています。

CDや書籍は、もしほしいアイテムがはっきり分かっていて現在も出版されているという場合は、楽器店や書店で買うのではなくネットで買うのが一番でしょう。商品にアクセスするための交通費もかかりませんし、必ず手に入るということがわかるし、時間的にも効率が良いわけです。

ほかには、音大等の図書館を利用する手も大きいです。ここには、少なくとも名盤や名著と言われる音楽関係の文献はほとんどあるはずです。逆に、出版されたばかりの新しいアイテムはほとんど存在しませんが、それ以外のものはかなり検索できます。図書館は、うまく利用して将来の自分の仕事に役立てれば、何百万円かそれ以上の価値を生み出すほどのものですが、音大生は意外にそのことに気がついていないようです。なんともったいないことかと思いますが、勉強する情熱に欠けているようにしか見えません。図書館の効果的な利用は、学生たちにももちろんプロの研究者たちにも絶対にはずせないものだと思います。

と、ここまで書いて、図書館に延滞している資料を持っていることに気がつきました。ヤバいヤバい…。
すぐに返却しまーす!

ピアノ練習のヒント : 18:17 : comments (x) : trackback (x)
音楽と勉強の関係(2)

音楽の勉強の話の続きですが、私が子供の頃などは、ショパン一つとっても、存在するレコードなどはできるだけ多く聴こうと努力していたと思います。もちろん、当時は音源自体が少なかったということもありますが、中学生の時に親に買ってもらったLPレコード20枚組・全232曲のショパン全集を擦り切れるほど聴いた覚えがあります。また、ショパンの楽譜はすべて手に入れて、最終的に20曲の歌曲以外のショパン作品はすべて譜読みしました。
そういうハングリーな感じがありましたが、今考えてみると、これがけっこう役に立っています。「ショパンは全曲知っている」という自信があって、これが力になっています。だから辻井伸行くんがショパンコンクールを受けると言った時も、躊躇はあったけど「やれる」という自信もあったのを思い出します。

だから専門知識も、突き詰めればもちろんそれなりの力にはなります。でも、やはりそれだけでは足りなくて、音楽家もかなり広範囲に勉強しなければ、一般社会で認められる活躍はできない時代になったと思います。そのことに若い人たちは早く目覚めなくてはいけません。

日本には、なかなか海外で通用するほどの活躍ができる人がまだまだ少ないように思います。知識や教養においては、明らかに劣っているという感じがして、もう少し堂々と世界に出られる人が多くなっても良いと思います。
例えば演奏家を目指すという人であれば、海外に国際コンクールをただ受けに行くというだけではもの足りなくて、やはり対等に仕事ができるレベルの人がもっと出てこなければいけないと思います。でもそのコンクールさえも、海外にまで受けに行くということを現実的に考えている学生は少ないのも事実です。かなり実力のある人でもまだまだそんな感じで、とても国際的とは言えない感覚で生きている若者が多いのもちょっと情けない感じがします。

音大生は、実技を磨くと同時に、卒業前の段階で視野を広く持ってたくさん勉強していくこと。学生であるうちに自分の能力の可能性を探り、より自分に合った分野に広く進出していこうという気持ちが大事だと思います。それをしない人は、なかなか世の中に出られないでしょう。

やはり日本発で、もっともっと世界に太刀打ちできる人材を輩出していきたいものですね。音楽分野に限らず、ぜひそうなってほしいと願っています。

ピアノ練習のヒント : 20:03 : comments (x) : trackback (x)
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