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ピーター・ローゼン来日

彼は日本に着いたばかりで、すぐにもう私のインタビューを撮りに現れるという元気さで、アメリカから日本に来る場合は時差ボケはゼロ、向こうに帰ると10日間くらいは辛いと言っていました。

彼の代わりにスタッフが来るのかと思っていたら、なんとピーター本人が単身現れたので本当に感動しました。聞けば、彼自身も幼少の頃12年間もピアノをやっていたのですね。それで、これだけピアニストに関心を強く持っているわけですか。

彼とは伸行君のことはNobuで話しますが、今回は彼の東北ツアーもかなり同行してカバーする予定とのこと。来日はもちろん彼の現在企画中の番組制作のために来ているわけですが、私にあれだけ喋るチャンスを与えてくれたのは大きなことでした。それなのに、なかなか思ったように語れなくて私はいつもより固まってしまったかもしれません。

あらためて伸君のことをいろいろ訊かれると、どのように話したら良いか分からなくなってしまうことがありました。また、外国人の視点はいろいろと違うので、何でそんなこと知りたいのだろう?と思ってしまうこともしばしばでした。

過去のことをいろいろ思い出して語るのはあまり問題ありませんが、例えば今後Nobuはどのようになっていくべきか、ピアニストとしてどのような道筋を歩んでいくべきか、あるいは、私が現在の彼のことをピアニストとしてどのように評価しているか、どんなポテンシャルを彼は持っていて今後さらにどんなピアニストになっていくべきか…など、やはりきちんとロジカルに答えられる自分の考えを持っていなければこういうインタビューの時には困るものだな、とあらためて反省です。当然英語でインタビューを受けたわけですが、外国語で喋る機会はよくあるのに、特に英語で考えるクセは普段からもっとつけておかないと、こんなふうに自分が一人で喋り続けなくてはいけない場合は頭の切り替えが難しく感じることがあるということが分かりました。1時間半も喋らされましたが、最近ちょっと頭が鈍っていたと思います。

とにかく、とても勉強になる経験をさせていただいた気がしました。





今日Peterを東京音大に案内してくださった伸君のマネージャーの浅野さんとも、こんなことをきっかけにいろいろ彼の現在や未来のことについて一緒に考えを巡らせることができて良かったです。お互いに忙しいのでなかなか会えないことも多く、こういう機会はとても貴重でした。いつも本当にありがとうございます。

雑記 : 20:07 : comments (x) : trackback (x)
アーティストのドキュメンタリーDVD

2009年のヴァン・クライバーン・コンクールのドキュメンタリーを制作したアメリカのピーター・ローゼンという人がいます。彼は、辻井伸行君のカーネギーホール・デビューリサイタルのDVDを制作した人でもありますが、クラウディオ・アラウをはじめホロヴィッツやバーンスタイン、ハイフェッツなどとても多くの演奏家のドキュメンタリー映像制作に携わってきたプロデューサーです。

ちょうど再来週あたりに、私は辻井君の先生としての立場でこのローゼン氏が制作する予定の番組のためのインタビューを受けることになっています。それで、この機会に彼の作品の中からピアニスト関連のものをいくつか観させていただきました。





辻井君がハオチェン・チャンとともに優勝した時のクライバーンコンクールのドキュメンタリーは、ある意味私にとっても重要な内容を含んでいるとも言えますが、実はまだ観ておりませんでした。あらためて、つくづくピアニストという仕事は変人のなすべき技というか(良い意味で)、心から愛すべき人種だと思いました。おもに6人のファイナリストにスポットが当ててありましたが、皆が個性的で本当に面白いです。ピアノを弾いているカットばかりでなく、インタビューなどして直接喋っているところの映像も多く、彼らの人となりがとてもよく分かりました。ソン・ヨルムさんも本当に面白いですね。個性が強くてしかもインテリです。彼女はあのクライバーンコンクールの数年後、カプースチンの変奏曲を弾いてチャイコンで入賞したわけで、とても興味をそそります。本当に一度会ってじっくり直接話をしてみたいと強く思います。

クラウディオ・アラウは1984年に17年ぶりに故郷のチリでコンサートをしましたが、その時のドキュメンタリーです。一人のピアニストがあれだけ熱狂的に迎えられて国民的アイドルともなっている姿は、現在ではもうあまり見られないのではないかと思います。アラウは1903年生まれ。同時代生まれのルドルフ・ゼルキンやウラディーミル・ホロヴィッツと並べられることもあります。ホロヴィッツにも共通のあの熱狂的な聴衆とステージが思い出されます。
まあ現在では、ベートーヴェンのピアノ協奏曲「皇帝」をあのアラウのように弾いたところでそれほど凄いこととは思われない時代ですが、たかだか30年前ですが古き良き時代という感じがします。1930年代生まれのアシュケナージや、それこそヴァン・クライバーンその人もコンクールで大きな話題を振りまいた人たちですが、それ以降、1950年代以降生まれくらいのピアニストたちはもう同じような形でデビューしてもどうにもならない時代になってきていると言って良いのではないでしょうか。「皇帝」をアラウのように弾けるピアニストは世界に何百人も何千人もいます。

そんなことを思ったりもしましたが、この映像の価値はすごく大きいと思います。ローゼン氏は個人的にたくさんのアーティストと仲が良かったようで、本当に多くのドキュメンタリーを残してくれていますが、演奏家という人種に愛情を持って接してくれているのが分かります。こういう人の存在は音楽家にとって本当に大きなものだと思います。
さて今回、私自身がどのくらいお役に立てるのかわかりませんが、今回の取材はかなり楽しみにしているところです。

雑記 : 13:32 : comments (x) : trackback (x)
あらためてピアノ曲のレパートリーを考える

ずいぶん空いてしまいました。

バッハの次に考えていたのは、実はハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンという順に不滅のピアノ曲レパートリーを紹介していこうと思っていたのですが、ハイドンのソナタについて書こうと思った段階で、「ところでクラシック音楽の行く末はどうなんだろう??」とあらためて考えるものがあって、思考がいったん止まってしまいました。

一般にクラシック音楽はポピュラー音楽に比べて人気がない(認めましょう)のと、最近耳にしたのですが、ある大先輩ピアニスト先生が言っていた「もう君たちの時代は、これまでのようなリサイタルはなくなるだろう。昔の作曲家の作品をピアニストが弾いてただ披露するというスタイルの演奏会の時代はもう終わるだろう」という言葉が気になり始めました。というか、いつも考えていたことではあるのですが、たしかに大きな流れから見ると、クラシック音楽が今のままでずっとファンをどんどん増やし続けていくというのはあり得ない感じはします。だから、「この先、クラシック音楽を扱う演奏家はどう変わっていかなければいけないのだろう?」と真面目に考えなくてはいけないと思うのです。どう見ても、ポップスの人気の凄さを見ると、クラシック音楽は多くの人に求められているものではないとは思います。

だから、例えばハイドンの作品ばかりを深く追求したり研究したりすることは、この時代には必要のないことかもしれません。過去に逆流することになってしまう感じがします。今の若者だったら、誰でもハイドンよりもカプースチンのほうにより魅力を感じると言うのではないでしょうか。カプースチンを弾く前に、ハイドンの曲をすべて勉強せよとはもう誰も言えないでしょう。
ただ、ピアノを勉強したいと思う人は、将来たとえ芸能系やメディアで活躍したいという理由で始めたとしても、通常はクラシック音楽から入るはずです。ピアノ教育の現場はそのようになっています。「私はポップスが弾ければ良いのです」という人には違うやり方もあるでしょうが、でもそれでは一生ショパンは弾けないでしょう。それで良いのならもちろん良いわけですが、普通にピアノが上手くなりたいと思っている人は、当然の道筋としてクラシック音楽を勉強することになると思います。そうなると、バッハかその時代あたりの作曲家から始めて現代に繋がるひととおりのスタイルの音楽を勉強していくことになると思います。その流れの中に音大のピアノ科もあるわけです。いわゆるバロックから近現代まで。過去から現在まで非常に多くの作曲家が存在しますが、それをひととおり勉強した上で、特に自分が気に入った作曲家のことは深く勉強しても良いと思うし、そうしたいと考える人にとって今の時代はかなり恵まれていると言えるでしょう。ただ、すべてを深くやっている時間はないと思うし、やる必要もない時代に突入したかもしれません。

私が挙げようとした10人の作曲家のもっとも定着したレパートリーというものも、そういう観点から見るとあまり意味をなさないかもしれないと思いました。究極的に大事なのは、音楽(すべてのジャンルを含む)の本質をつかみ、数多ある音楽の中から自分が本当に良いと思うものを選びとって、それを自分なりにオリジナルな手を加えて大衆に向けて提供していくことだと思います。現代の作曲家カプースチンもそのようにして自分の芸術を完成させた一人ですし、演奏家であっても、同じようにして現代の時代に合った発信というものを考えていかなくては今後生きていけないかもしれません。

ただ、クラシック音楽というものは、大衆性がないというだけで価値がないとは言い切れません。また、ポップスのほうがすぐれていると言いたいわけでもありません。やはり芸術の高みを目指して無から有を生み出してきたクラシックの作曲家たちの作品はとても素晴らしいですし、決してクラシックとは古い音楽だけを指すのではなく、今も新たな高みを求めてこれまでになかった音楽を創造し続けている作曲家もいます。その人たちは来たる未来に「クラシック作曲家」と言われる人たちです。


さて、今日は福岡に来ています。

明日から2日間、飯塚新人音楽コンクールのピアノ部門の予選会があります。皆さんの演奏を聴かせていただくのが楽しみです。
きっと新しい発見が何かあると期待しています。

雑記 : 22:32 : comments (x) : trackback (x)
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