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慣れれば「あがらなく」なるのか?!

ピアノを勉強している人にとっての永遠の課題というか、人前で演奏する機会が多い人にとっては、本番でいつもと同じ実力が出せるか出せないかというのは切実な問題だと思います。

ちなみに私自身、もし「あなたは本番では練習と比べてどのくらいの実力が出せていると思いますか?」と訊かれたら、たぶん長い間「50%くらい」と答えていたと思います。ようやく最近になってもう少しこのパーセンテージは上がっていると思いますが、それほど本番で力が出し切れないなといつも思っていました。実は私がそうだったのは、いわゆるメンタルな部分(精神的な動揺など)によるものではなく、多くはフィジカル(物理的なこと)な部分によるものが理由であったことが多いです。つまり、本番時に手に汗をかいて指が滑るとか(笑)、ピアノの鍵盤の感触やタッチが違うとか、自分の出す音がホールでは全然違うふうに聴こえて最初はなかなか調子が出ない、あるいは指がすぐに思うように動かない…などというようなことです。

ただ、どうやらピアニストの中には本番でも練習時とほとんど変わらないか、逆に本番でこそもっと実力が出せると思っている人もいると思います。そういう人はもう生まれながらの才能なのだというしかありません。

ただ、慣れというものは恐ろしいというか、嬉しいというか、本番経験を積めば積むほどだんだんメンタル面でもフィジカル面でも大きな問題が起きなくなってくるものだと思います。

メンタル面で「あがる」という人は、やはり異常に緊張している場合が多いと思いますが、その理由の第一位に来るのは、まず間違いなく「練習を完全に終えていない気がする」というものでしょう。つまり「今日の本番に間に合わせられなかった!」というあの感覚です。これは当日はもうどうすることもできませんので、本番直前にそう思った場合にはもう腹をくくって「ほどほどの演奏で良い」と割り切って弾くしかありません。実は偉大なピアニストたちだって、毎回の本番で完璧に弾いていたわけではなく、けっこう不十分な練習で本番に出ていたり、「かなり酷かった」などとあとで批評や本などでも書かれるほど悲惨だった演奏をしたという話もたくさんあります。そういうことを知れば少しは心も安らぐでしょう。

ただ、やはり練習、つまり準備だけは納得のいくところまでしっかりやっておくことが大事だと思います。特に現代の忙しい時代には、練習時間を確保することが難しくて困っている人が多いと思います(プロも含めて)。だからこそ、ここを優先的になんとか守り切るというのが第一。あとは、本番でどんな精神状態になっても明るくやり過ごせるように、普段から心の準備をしておくということも必要だと思います。
それから、自分が人前で「あがる」ということは自分がどう見られるかについて過剰なまでに意識しているということもあるかもしれません。まあ普通、人間は誰でもそうだと思うので仕方ないと言えばその通りなのですが、もう少し達観して音楽そのものに集中するとか、自分のことはあまり考えないとか、逆にこれまでたくさん経験を積んできたことに対して自信を持って本番に望むようにすれば、まあまあの結果を出せるのではないかと思います。少なくとも、慣れてくればもう理由なく「あがる」ということはなくなると思います。

本番前に呼吸を整えてステージに出れば、心臓がバクバク鳴るなどということは一切なくなるでしょう。私も演奏前にそういうふうになることはさすがに今ではもうありません。ただ、先日のバッハコンクールの表彰式での審査員講評の時に、事前に「私は今日は講評を喋りませんから(長くなるし)、他の先生方でお願いしますね!」と何度も言っていたにも関わらず、「審査員の先生方全員からひと言お願いします」ということで振られた瞬間に、はからずもステージ上でビックリして心臓がバクバク打ち始めたのを感じました。しかも心臓の鼓動が大きくなると、それを聴いてさらに動揺するものですね。(笑)
久しぶりにそんなことを経験して、「あがる」という気分を思い出してしまいました。加えてその日、自分が何を喋ったかまったく覚えていません。直前まで何も考えていなかったから当然ですが、悲しいものですね。何か良いことを喋ったような記憶もありますが、そうではなかった可能性もあります。(笑)

何事も準備が必要ということです。準備さえしっかりできていれば何でも「喜びを持って」こなせることと思います。
ただ、現実にはそれがなかなか難しいから困っているとも言えるのですが…。

ピアノ練習のヒント : 18:13 : comments (x) : trackback (x)
バッハコンクール審査を終えて

昨日は日本バッハコンクールの全国大会の審査でHAKUJUホールへ行ってきました。私が審査したのは一般Aと一般B部門。この分類は、音楽の専門教育を受けていないか、あるいは受けたどうかを問わない、しかも学生ではない人たちの部門でした。他の学生たちの部門は同時進行で他会場で行われていたことと思います。曲はバッハなら何でも良い自由曲。つまり昨日は朝の9時過ぎから20時頃までかなり長丁場となるバッハで始まりバッハで終わる一日。「それは大変ですね」と思われるかもしれませんが、実際には終日まったくストレスを感じなかった審査会でした。審査員のメンバーにも恵まれていたのかもしれません。ちなみに私が昨日御一緒させていただいたのは(敬称略ですみません)秋山徹也、上野優子、大塚直哉、平井千絵の4名の先生方。たくさんお話もできました。



このコンクールはピティナ主導のコンクールで(東音企画)もう第7回目の開催となります。けっこう定着してきて参加者も多いようです。バッハだけを弾くコンクールで、目的は「音楽の原点を学ぶ」という位置づけで、「バロック期のポリフォニーの作品を学習することで、読譜力や演奏能力の向上を促し…云々」と要項には謳われていますが、実際にはそれ以上の大きな意味があるのではないかとコンクールを聴いていて感じました。

バッハの作品は、ただ楽譜を読んで演奏するだけでは曲にならないところがあります。もちろん背景の知識も必要だし、正しい奏法というような技術的な観点もあるでしょう。ただそれ以上に重要なのは、やはりバッハの精神を感得することができるか、あるいは、音楽の奥深くにあるものを掴んでそれを表現する能力が出せるか、というあたりにも重要な点があるのではないかという気がしました。ある音楽作品の中に、いかに本質的なものを見出して、あるいは曲の性格を理解したり解釈を加えたりして、自分の表現力を駆使して音楽の中の崇高な精神を紡ぎ出すか、というところが重要です。それを必ずしも理論からではなく直感的なもの、あるいは自身の感性やセンスを発揮して、見事に素晴らしい演奏を展開していた奏者もいました。

昨日は、私が大いなる美点を見出した奏者が必ずしも入賞できなかった例もあったことはありましたが、ちゃんと各審査員の評点とコメントが書かれた用紙が一人ひとりに配られるので、納得がいかなかった人もそれぞれの審査の先生が評価した点や感じたこと、アドバイスなどが正しく伝えられていることと思います。その意味でも、単なる順位を決めるコンクールというだけではなく、勉強の場として大きな役割を果たしていると感じるところです。ピティナは特に貢献されていると思いますが、やはり今の時代は人との出会いの場を提供したり、共に学び合える勉強の場を増やしていくことも大事だと思います。


きれいなクリアファイルでした

雑記 : 10:22 : comments (x) : trackback (x)
最近のカプースチン情報から

久しぶりの投稿です。1ヶ月以上もブログを更新しなかったことはあまりないのですが、あっという間に時間が経ってしまった感じです。相変わらず自分の時間がほとんどないので…。

私の生徒たちは現時点でインフルエンザにかかった人はゼロ、風邪も引かずレッスンを休む人もほぼ皆無です。すばらしい。私もお陰様で毎日フル回転です。

さて、カプースチンの新しい楽譜はその後売れ行きも好調のようで、さっそくカプースチン公開講座の依頼が入ってきました。今年は内容を刷新して展開したいと思っています。
3月30日の船橋の伊藤楽器のサロンでの講座を皮切りに、現時点ヤマハ横浜店、スガナミ楽器町田店などから依頼が入ってきたところです。新たにカプースチンを勉強したい人に向けて、演奏のコツ、必要不可欠の知識、そして最新の情報も盛り込まなくてはいけませんね。また、今年は他のカプースチン関連イベントも考えたいところです。

先日1月29日にはバルセロナで無事に西本夏生さんがカプースチンの6番のコンチェルトのスペイン初演を成し遂げたようで、これもカプースチン演奏史においては一つの快挙になるのではないかと思います。まだまだ前例が少ないですから。
特にピアノコンチェルトは録音(CDなど)を残さなければいけないとは思いつつも、演奏するためにはある程度大がかりな準備もいるので、何らかのプロジェクトとして立ち上げて企画しなければなかなか実現は難しいものがあります。

ところで、現在カプースチンについて知ることができるまとまった文献はまだ存在しないと言って良いでしょう。私が2004年頃から楽譜の編集時に執筆した彼のプロフィールや音楽の解説が未だに引用されたりしていることも多いと思います。ただ現在、朗報としてアメリカのウェストバージニア大学を卒業したロシア出身のヤーナ・テュルコヴァさんがカプースチンについての本を執筆中で、ロシア語と英語で同時に出版するべく奮闘中のようです。彼女は、ジャズシンガーでピアニストでもあり、カプースチン本人からはOp.157のソロ曲を献呈されている人です。2015年に大学院を卒業した年にすぐその曲を見事に弾いてすでにYoutubeにもアップされているので、その腕前は確かであることがわかります。2014年末に私がカプースチンを訪問した時にカプースチンはちょうどこの曲を仕上げたばかりで、献呈者の彼女のことは「友達だよ」と教えられ、CDで歌も聴かせてもらいましたが、素晴らしい音楽家でインテリであることは間違いないと思いました。


「Curiosity op.157」の楽譜とYanaさんのCD

おそらく彼女が今書いている本がカプースチンに関する包括的な情報を擁する最初の書籍になることでしょう。私も心待ちにしているところです。

カプースチン : 18:47 : comments (x) : trackback (x)
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