2日前のブログで話題にしたピアニストのクルティシェフですが、その後本当にすぐ私にサンクト・ペテルブルクで彼が弾いたというメトネルのピアノ協奏曲の動画のリンクを送ってくれました。そして早速聴いたのですが、これは本当に素晴らしい演奏です!
彼の演奏自体ももちろんですが、オーケストラも録音もすごく良いのでぜひここにあらためて紹介したいと思います。
リンクは以下です。
https://www.youtube.com/watch?v=KzNDIrNzl8U&t=2189s
メトネルという作曲家にこれまであまり興味がなかった人でも、ピアノの協奏曲(コンチェルト)というものに興味がある人はぜひ聴いてほしいです。ピアノ音楽史の中では絶対外せないピアノ協奏曲の一つだと思います。私はメトネルのピアノ協奏曲は3曲とも大傑作だと思っていますが、特に『第1番』は演奏される機会は多いです。しかいこれまで多くのこの曲の演奏を聴いてきましたが、この演奏はその中でもひときわ飛び抜けていると思いました。何よりもクルティシェフの骨太なタッチによってテクスチュアが明確で、またオーケストラのバランスも良く、指揮者も音楽をよく理解していると思われます。また録音の音質も良いので、この作品の素晴らしさがよくわかると思います。
メトネルは1880年生まれの作曲家ですが、同じコンポーザー=ピアニストとしてラフマニノフと親交が深かったことはよく知られているかと思います。もちろんラフマニノフと音楽的な共通点もたくさんあります。この曲を聴くと、いやこの演奏を聴いてラフマニノフに特徴的だと思っていた要素を再発見する人もいるかもしれない。あるいは、もっと違った味わいのあるハーモニーや音楽の展開に惹かれる人もいるでしょう。またプロコフィエフに繋がるような少し現代風の音の使い方、そして部分的には私にはジャズのハーモニーに聴こえる(第2番や第3番にはあまり感じられない)ような箇所もあります。生まれた年代的にもラフマニノフとプロコフィエフの間に位置する作曲家ですが、音楽的にもそのような橋渡しのようなものを感じる部分はあります。
この曲では一つの主題がさまざまに扱われて展開するのですが、その主題労作にはバッハやベートーヴェンに通じるところがあります。ある主題が反転したり拡大したり縮小しても、それは単なる音楽上の遊びであるのではなく、曲を貫いている主題や雰囲気を損ねることなく音楽が自然に展開していきます。全体的には音楽は重厚ですが、その中に名技的で華やかな要素もたくさん魅力として詰まっています。この完璧に思えるような構成感で、これだけ長い曲を飽きさせることなく聴かせることのできる作曲家(演奏家にとっては難しいが)はそう多くはないでしょう。そんなことを深く考えさせられる演奏でした。
不覚ながらクルティシェフがメトネルのコンチェルトをここまで精魂込めて演奏をしていたとは知らず、あらためてビックリしたのですが本当に嬉しいです。彼もこの演奏をぜひとも私に聴いてほしかったのでしょうね。確かにこの動画は多くの人に視聴してほしいです。
そしてアンコールの選曲もうまい。ボロディンの小品がすごく効果的で味わいのあるパフォーマンスに化けています。これはもうピアニストの手腕というところですね。