Site Overlay

週末の「情熱大陸」レビュー/今週のヴェルビエ音楽祭


一昨日に放送された辻井伸行君が出演した回の「情熱大陸」をようやく録画で観ることができました。
大きく宣伝されていたので多くの方は興味を持って観られたことかと思います。確かに彼のスタジオにカメラが入って譜読みのシーンを録ったりするのは初めてのことだったでしょうが、私の正直な感想としては、まああれだけでは視聴者はあまり分からないのではないかとも思いました。もちろんテレビ番組というものはどんな場合もそうですが、限られた時間の中で象徴的なシーンなどを使って視聴者に届けたいメッセージだけをメインに届ける、という形になるので、まあ仕方ない面もあるかもしれません。それでも「感動した」という多くの声はたくさんお聞きしました。

番組中で「スコアアシスタント」という位置づけで、おもに楽譜の内容を使える役目をしているスタッフの岩下翔さんが紹介されていました。彼は辻井君の身の回りのことも含めてとてもよくやってくださる方です。物腰も柔らかく、細かいことにこだわらず機転もよく利く人で、私も話していてとてもコミュニケーションがとりやすいという印象を持っています。辻井君とはやはり相性が合うという意味でも良いことがたくさんあります。
譜読みのことに関しては、テレビでも「耳コピ」などという言葉が使われてしまっていてよくわからない部分があったと思います。それでは誤解を生むので本当はもう少し説明が必要です。やはりテープに録音するという形を離脱してもほぼ独力で新曲を譜読みできる力を持つということ、これが辻井君の大きな挑戦であったと思うのです。これを最近までにここまでやってのけられるようになったということが一番大きな進化の一つだと私などは思う訳ですが、これについての彼自身の努力とか彼の能力がさらに進化したこと、そしてそれがどんな意味を持っているのかなどについては番組では決して伝えられない部分です。というよりも、彼自身が「そんなことは人に知られなくても良い」くらいにしか思っていないのだとも感じます。(それがまたすごいことなのですが。)

でも辻井君のことをとてもよく知っているような私たち(夫婦)でも、彼が一体何を言いだすか、計り知れないような部分が今でもあります。先日の番組で言えば、例えば彼が釣りのシーンで「魚の声をよく聞くことが大事」と言ったりするのを聞いて妻が手を叩いて喜んでいました。(笑)

さて話は変わって、現在スイスではヴェルビエ音楽祭2026が開催されているところですが、今年も辻井伸行君は出演が決まっています。もうほぼ常連と言っても良いアーティストの一人になってきた感がありますね。この音楽祭は世界的に活躍しているアーティストが多く集まる場所として有名ですが、今回もピアニストだけに限っても紹介したい人や言及したい人がたくさんいます。そのすべてを語ることはできないので、詳しくは音楽祭のホームページなどをぜひご覧ください。

ただ今回私の個人的なトピックとしては、このサイトでもたびたび紹介してきたピアニスト、フランク・デュプレがこの音楽祭に参加するというニュースが入ってきました。彼はカプースチンの演奏や録音で華やかな活動を展開していますが、今回ヴェルビエ音楽祭になんと室内楽のコンサートで出演するということです。カプースチンはプログラムに入っていないようですが、彼の公演は明日7月22日の夜、そしてなんと辻井君が翌23日のマチネ(11:00~)でリサイタルというスケジュールなの。なんという偶然でしょうか。世界的なカプースチン弾きとして共通点を持つ二人が、ほぼ同日にそれほど接近する機会は珍しいので、なんとか現地で二人が会えると良いな、と思っているところです。デュプレはカプースチンのCDを出し続け、コンチェルトをあちこちで弾くなど目立つ活動をしているし、一方の辻井君はカプースチンの『8つの演奏会用エチュード』全曲を2年前のヴェルビエ音楽祭でプログラムに入れたピアニストです。どちらもお互いに強い興味を持ってもおかしくないのではないでしょうか。

ということで、私はその二人のどちらにもこの情報を流して「ぜひ現地で会ってね!」とメールを書いておきました(笑)。二人が現地でカプースチンの話題で意気投合でもしてくれると嬉しいなあ、などと楽しい妄想を抱いているところです。

上にスクロール
Translate »