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ピアノがうまくなるコツ①~手首のこと


ピアノを長くやってきた人でも「どんな練習をすれば自分がもっとうまく弾けるようになるのだろう?」と思っている人は多いと思います。練習のコツというか、どうすればトータルでもっとうまくなるのか、ということが知りたいと思います。小さい頃にピアノを始めて音大に行ったような人でも、あるいはピアノは少し遅れて始めたけど社会人になってもずっとピアノを弾いている人、どちらであってもスランプであるとかその後に大きな伸びが感じられない、という人もいるのではないかと思います。

それはひょっとしてテクニックに何かまだ問題があるのか、これ以上もう自分の指は言うことを聞いてくれないのか(笑)とか、あるいは自分の音楽の捉え方や感じ方やセンスに問題があるのだろうか、とかさまざまなことはあるだろうと思います。
そこでまずはテクニック(奏法)に関することで、どうしても一点意識するべきと思うことを書きたいと思います。

例えば自分の弾き方がなんとなく不自然だと感じられるのはなぜか? 体の使い方に問題があるのか、それとも指や手の動きが硬くてそのように見えるとか、いろんなことはあるでしょう。そこで、指の使い方にももちろん何らかの問題はあるかもしれませんが、まずは「手首」に注目したいのです。ピアノを弾く際に、鍵盤に手を置いた時に手首が不自然に高すぎても低すぎてもいけない、ということは誰でも思うでしょう。ただ、演奏しながら手首は実際にどんな位置にいつもあるべきなのか。角度とかも関係があるのかどうか。例えば白鍵だけを中心に弾いている時と、黒鍵を多く弾く場合では意識して手首を向こうへ持っていったり自分のほうへ引きつけたりしなければいけないでしょう。また、鍵盤に手の重さをかける際に、指はもちろんしっかり支えなければいけませんが手首はどう使うのか、どういうタイミングで手首は上下に動くべきなのか、その加減はどのくらいなのか…ということについては意外に人から教えられることは少ないのではないでしょうか。指の使い方、腕の使い方、それ以外に体全体のことを意識することはあっても、手首に注目して何かを指摘されるようなことはピアノのレッスンにおいても少ないかもしれません。

ここでショパンが言ったことを少し紹介してみたいのですが、いったん手首のことは忘れて、「弟子から見たショパン」の著者のエーゲルディンゲルの言葉とショパン自身の引用を読んでみましょう。

以下( )内はショパンの言葉↓
—ショパンによれば技術とは、名人芸を身につけることよりもまず音の響き具合であり、タッチの用い方なのだということをもっと認識する必要があるのではないか。「だからタッチにふさわしい腕の位置さえ覚えてしまえば、このうえなく美しい音色は自ずと得られ…(後略)」
「すべては運指法の熟達にかかっている。(中略)指の造りを利用しなければならないのだから、手の他の部分、つまり手首や肘や腕も使わねばならない…(後略)」

実はショパンと同時代のほとんどの人(ピアノを弾く人)はもっぱら指を動かし、手首はたまにしか使わなかったが、ショパンはもうそんなことでは我慢できなかった、ということなのです。つまり「肩から指先までが一つにつながっているという感覚こそがショパンがもたらした技法の一大革新の根本である」ということをエーゲルディンゲルが指摘していますが、まさにそうだと思います。
特に今の時代のピアノ(特にグランドピアノ)で演奏する場合、またおそらく現代において一般的に演奏されているピアノ演奏のスタイルから想像すれば、このショパンの奏法が99%以上正しいと思ってピアノ技法を身につけるべきではないかと思います。この肩から腕や手首まで全部使う奏法の感覚がわかってさえいれば、それ以前の古典派やバロックの作品を演奏する際にはそれにふさわしい弾き方が調整できるはずです。特にバロック作品を弾くなら、全体に力を入れすぎないようにして指先に集中する奏法が良いでしょう。でもテクニック的な基礎力としてロマン派以降の作品を演奏できる技量がなければ、現代のピアノ奏法としては十分なものが得られないのではないかと思います。

それで手首に戻るのですが、ピアノを弾いている人の手首の使い方を見ると、その人が理想的な腕や肘の使い方をしているか、また肩から指までが繋がっているという意識を持っているかどうか、あるいは全体的に無理のない弾き方をしているかどうか、といったことが一目瞭然でわかるのです。ということは、練習時においても手首の位置や使い方、力のかけ方や抜き方を意識して、その際に手首の動きに注目するというのはとても有益なことではないかと思います。というのは、手首を理想的に使うというのは意外にとても難しいことだからです。手首(それから指、という順番!)の動きをまず意識してハノンなどを弾いたり、そこから指の使い方や肘の動かし方などへと広げていくとわかりやすいと思っています。一度に全部を直すというのはとても難しいことだと思います。

長くなりますので、このテーマはまたどこかで続きを書きますが、手首をマスターするとテクニック的に自分には難しくて弾けないと思われていたパッセージが簡単に弾けるようになったりします。しかもテンポが速く音符の多いパッセージがあっても曲が正確に弾けるようになったりもするのです。(驚くべきことだと思います。)

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