2007年のチャイコフスキー国際コンクールで1位なしの2位(=最高位)になったピアニスト、ミロスラフ・クルティシェフについては、その後には私の大学からも招かれるようになったのでそのあたりからよくお会いすることはありました。その彼がちょうどこの数日間また大学に招聘されていて、希望するピアノの学生数名(抽選で決定)のレッスンと、それに続いて今日はホールで演奏&レクチャーがあって久しぶりにお会いできました。
通常あまり会うことのない人とたまに接触するのは良いものですね。珍しい情報や新しい知識がいろいろ更新されます。たまたま今回は自分のクラスの生徒の一人もレッスンを受けることができました。私はその通訳をしたので個人的にも少しお喋りする機会があって良かったです。会う直前に彼のことをネットで検索していて2か月前に行われたリサイタルの動画を見つけたのですが、そこで彼はミャスコフスキーの4番のソナタなどという珍しい作品も弾いていました。その話題を本人にも出したら、「それもそうだけどメトネルのピアノ協奏曲第1番を弾いたんですよ」ということを教えてくれました。その曲のことを話題にするのは、おそらく私が昔からメトネルという作曲家に興味を持っていたのを知っていたのでしょうか。私自身はメトネルについて熱心に彼に話したことがあったかどうかはすっかり記憶が飛んでしまっていたのですが、なぜか彼はそれを教えてくれたので、ぜひともすぐ検索してみようと思いました。メトネルのコンチェルトはおそらく今でもそれほどたくさんのピアニストに演奏されているわけではないように思います。ちなみに彼は3曲のコンチェルトの中では第1番が一番好きだと言っていました。
レパートリーや音楽の捉え方などについて私の好みとも共通点はあるのですが、どちらかと言えば全然違うテイストを持ったピアニストです。それでもこの10年ほどの間にレッスン通訳で3~4回ほど立ち会ったことがありましたが、彼は明るくて面白い個性を持っていて、また演奏も会話も魅力的なので話していてもとても楽しいのです。演奏活動は多く世界のあちこちを飛び回っているようですが、住んでいる場所や活動場所、仕事の種類も接する人たちも私たちとは全然違う環境にいるピアニストだと思います。そのような演奏家とたまに会うのは刺激があってとても良いことだと思いました。
その彼から教えてもらったメトネルのコンチェルトの演奏ですが、Youtubeでさっそく探してみたところ日本語や英語での検索では簡単にはたどり着けず、ロシア語を駆使してようやく見つけました。それは2年前のヴォルゴグラードでの演奏。今日彼に「見つけたよ」とそのことを話したら、「あー確かにそれもあるけど、実はその後サンクト・ペテルブルクでも弾いたんですよ、その動画も検索はちょっと難しいけど(笑)絶対あるはずですよ」ということでした。それは後でリンクを送ってくれるということです。楽しみにしたいと思います。
今日の大学での公開演奏&レクチャーのテーマはなんとショパンのバラード全4曲。私は以前から彼の演奏はスクリャービンやラフマニノフあたりしか聴いたことがなかったので意外でした。今日は4曲のバラードを全部演奏してくれました。どうやら近年もずっと活発に演奏活動やマスタークラスを行なっているようで、そのレパートリーは私などが考えていたよりもはるかに膨大で幅広いことを知りました。
(ちなみにカプースチンの話には今のところまったく反応がありません(笑)。同じチャイコン覇者でもクルティシェフ入賞回の4年後のソン・ヨルム、そのまた4年後のマスレーエフなどはカプースチンを弾いていますが。)