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カプースチンに易しい曲はある?


初めてカプースチンに興味を持った方に「どの曲から始めれば良いでしょうか?」とか、「初心者が最初にやるとしたらどの曲が良いでしょうか?」と訊かれることがあります。

結論から言えば、カプースチンにはあまり簡単と言える曲はないかもしれません。おそらく多くの人がカプースチンを初めて聴いてインパクトを受けるのは『8つの演奏会用エチュード』か『変奏曲』あたりなのではないかと思います。だからピアノを弾ける人が最初に取り組むとしたら、やっぱり自分が感動した曲から弾いてみるのが良いかもしれません。譜読みには少しばかり時間がかかるかもしれませんが、きっとそれも楽しく充実した時間になるはずです。

実際カプースチンには子供のための作品はほとんどないのです。『ソナティナ 作品100』だけは意図的にやさしく書かれた曲と言われていますし、あと『24のプレリュード』は1曲1曲が短いので数曲は取り組みやすい曲があると言えるでしょう。私はほぼすべてのカプースチンのピアノ曲を知っていますが、やはり取っつきやすさという点においても、あえて難易度を度外視して言えば『8つのエチュード』などに勝る曲はないと思います。これは彼の楽曲の魅力でもあるのですが、すべての作品が何の制約もなく純粋に彼自身の芸術的欲求に基づいて作曲されているので、弾きたいと思のであればとにかく譜読みを始めてみるのが良いと思います。音楽的に理解しやすいものであれば、少々難しくても練習しているとやはりだんだん弾けるようになってくるものです。

カプースチンは生前いろんな人から「初心者でも弾ける曲をぜひ書いてください!」「きっともっと売れますよ」などと言われてお願いされていましたが、結局それは叶いませんでした。日本のファンや楽譜出版の関係者などからよく言われていましたが、普通作曲家ならそのような要望があれば少しは手加減するなどして多くの人の納得が得られる作品を創作できそうなものですが、カプースチンはそうはいきませんでした。彼は本当の芸術家なのでしょう。
でも彼の作品には大衆の人気を得る可能性がある作品はまだたくさん存在すると思いますので、一見難しく思えてもこれから皆が弾いていくことでもっともっと広がっていくのではないでしょうか。

さて、今から3日後の5/11(月)にベヒシュタイン東京のホールで行うマスタークラスで演奏される予定の曲は、実はそのほとんどがそれほど簡単な曲ではありませんが、カプースチンを知るためのエッセンスはどの曲にもふんだんに含まれています。よくぞこれだけ多様な曲を選んでくれました!と言いたくなるようなプログラムです。カプースチンの作曲家としてのプロ意識や音楽センス、そして楽曲の本当の素晴らしさがきっとわかるようなイベントになるのではないかと思っています。公開されていたプログラムは、その後受講者と曲目の一部が変更になりましたが、ぜひ多くの方に聴講していただけたら嬉しいです。私も今から当日がとても待ち遠しいです。

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