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カプースチン祭り出演者募集/来週福岡で演奏

2018年1月8日に『カプースチン祭り2018』が開催されます。
本日の朝0:00よりこのイベントの第1部出演者の募集が開始されました。
多くのカプースチンファンが全国から一堂に集まる機会です。この素晴らしい環境でぜひカプースチンの演奏にチャレンジしたいという方は、どうぞこの機会をお見逃しなく。
早くも、すでに本日午前中の時点で7名(7組)の応募があったということです。全部で17名(17組)の応募で受付終了になると思いますので、出たいと決めていた人は曲目がまだ完全に確定していなくても早めに申し込むほうが良いかもしれません。(後で、万一の場合は曲の変更も可能ではありますので。)

詳細は以下です。
http://www.kapustin.jp/p/blog-page_30.html

もう一つ、カプースチンとは関係ありませんが、私は来週8月9日(水)に福岡あいれふホールにちょこっと出演しますのでお知らせしたいと思います。
東京音大の校友会(県人会)主催の演奏会ですが、現役の大学生と大学院生、卒業生とともにゲストとして2曲ほど弾きます。
私が弾くプログラムは今回は珍しくハイドンとメトネル。(実はカプースチンの『ソナタ・ファンタジー』を弾こうとも思っていたのですが、やはりここは「クラシック・レパートリー」ということで。)

詳細は以下のチラシで。



ご来場よろしくお願いいたします。

雑記 : 21:05 : comments (x) : trackback (x)
辻井伸行@紀尾井ホール公演

少しブログ更新の時間が空いてしまいました。
今年度からうちの大学では年間スケジュールが変更になって付属高校の試験の日程が繰り上がってこの時期に前期実技試験です。私は一昨日と昨日の2日間でピアノ演奏家コースの生徒を54人ほど聴いたのですが、ホール内が暑かったこともあってさすがに少々バテました。今年から教授陣に加わったハンガリーのファルカシュ・ガーボル先生も2日間一緒でしたが、日本の音大の試験の審査は大変だと感じるのではないかとドキドキしました。(実際、彼はまったく疲れを見せませんでしたが。)

そして、昨日の試験後にはそのまま私は紀尾井ホールへ辻井伸行プレミアムリサイタルシリーズ10回公演のフィニッシュ(最終日)公演に駆けつけることができました。





ほぼ開場時間とともにホールはお客さんでごった返していましたが、それだけ期待も大きなコンサートだということがわかります。今回のプログラムはベートーヴェンのソナタ2曲(8番、30番)、ドビュッシー、そして今回新たに加えたレパートリーのリスト『超絶技巧練習曲』の3曲。特に最後に弾いた「マゼッパ」は本当に力演だったと思います。前の方の席の人たちにはきっと汗が飛んできたのではないでしょうか(笑)。余談ですが、私にとっては昨日の高校生の試験でも2人がこの曲を弾いたので、一日に「マゼッパ」の生演奏を3回聴くという珍しい経験にもなりました。

公演の成功を祝って、終演後はスタッフや演奏家たちと一緒に中華料理で盛り上がりました。(なんだかベルリンの時と同じシチュエーションですが。笑)


辻井君左隣はエイベックスのスタッフ(中村さん)

ちなみに、辻井君は8月には指揮者のゲルギエフに招待されてウラジオストクの音楽祭で演奏することになっていますが、ウラジオストクの「沿海新聞」でそれが告知されているのを先日偶然見つけたのですが、このゲルギエフ率いるマリインスキー劇場の極東の音楽祭に関しての記者会見で、ゲルギエフ自身が辻井君のことを「聴衆の皆さんには大きな期待を持って来てほしい」「彼との共演は毎回が奇跡です」などと語ってくれているのを発見して本当にすごいなと思いました。
昨日、中華の席でたまたまウラジオストクヘ行くんだよねという話をしていたら、辻井君ともたびたび共演している同席していたヴァイオリンの三浦文彰さんが、「えっ、ウラジオストク?僕も演奏で秋に行くよ」と反応したのでビックリしました。極東のロシアを訪ねる機会なんて滅多にないように思うのですが、皆さん本当に世界のあちこちで活躍しているのですね。

雑記 : 11:16 : comments (x) : trackback (x)
カプースチンの楽譜出版…現況は?

その後、私には新たに楽譜の校正という仕事が大量に発生することとなりました。もちろんカプースチンの話です。複雑な譜面の数々…。マインツのショット社とは現在頻繁にやり取りをしています。例えば近刊を予定している楽譜のうち、以下の作品は私もしっかり校正を行いました。
これらは近いうちに出るはずです。

♪スウィート・イン・オールド・スタイル Op.28
♪トッカティーナ Op.36
♪Something else Op.160
♪The Moon Rainbow Op.161

これ以前にすでに出版されていたものには私は目を通していませんが、今後のカプースチンの新たな楽譜の出版と重版(既刊も含めて)の際にはおそらくすべて関わっていくことになると思います。正式には次の『ピアノソナタ第2番 Op.54』では解説・運指も含めて校訂者として関わることが決まりましたし、新しい装丁で準備中の『ソナティナ Op.100』も現在手がけているところです。カプースチンファンの方々にはぜひ今しばらくお待ちいただければと思います。

上の作品160と161などはカプースチンの一番新しい作品なので、まだ誰も聴いたことも弾いたことも見たこともない作品ですが、こういう文字通りの「現代作品」を恐れることなくどんどん先に出していけるというところがさすがはショット社と言って良いでしょう。

売れ筋の『8つのエチュード Op.40』と『53のプレリュード』も、あらためて私もまた目を通して校正させてもらいましたので、おそらくこちらも近いうちに重版になって国内にも入ってくるものと思います。

今年の年初にヤマハさんがカプースチン楽譜出版情報のリストを含めた『ニコライ・カプースチン大解剖』というパンフレットを作成してくださっていましたが(ヤマハショップ等で入手可能でした!)、その商品リストのデータがもう古い内容になってしまっていると思うので、最新データとしてここに少し新たな情報を更新させていただきました。

カプースチン : 14:24 : comments (x) : trackback (x)
ヤマハ横浜店でカプースチン講座

昨日はヤマハ横浜店の地下1階スペースMusic HARBORでカプースチンの公開講座でした。個人的には懐かしい場所です。


(この写真はやはり来月ここで公開講座を行なう末高明美先生がいらしていて撮ってくれました(^^))

というのは、ここで確か9年ほど前に収録用の講座を2本撮ったことを思い出したからです。その時は「レベルアップピアノ術」のような内容と、「ハノンの効果的な練習法」についてだったと思います。あまり細かくは聞いていないのですが、ヤマハさんではおそらくその講座を配信用のものとして使っていたことと思います。
そんなこともあって、昨日はカプースチン講座の中でなぜか珍しくハノンの話に脱線したりもしました(笑)。ハノンの楽譜は古くなると私はすぐに買ってしまうので、これまでに8冊も買ってしまったという話は本当です。全部暗譜しているのになぜか買ってしまうわけです(笑)。それだけ入れ込んでいる理由は、私はハノンで「脱力」のすべてを知ってしまったからです。そのせいかどうかわかりませんが、それ以来オールカプースチンの超絶プログラムをやろうが、一日8~9時間練習しようが、有難いことに手に支障をきたしたことはほとんどありません。
…またハノンの話に脱線してしまいました。



昨日は平日のお昼間でしたが、大勢の方々が来てくださりカプースチンの話に花を咲かせることができました。(私が勝手に花を咲かせていただけかもしれませんが。)
実は、ヤマハ横浜店でカプースチン講座を初めてやったのが2006年で、その頃は「カプースチンって何?」という感じだったと思いますが、それから11年も経ってずいぶん浸透してきたという感じを受けました。驚いたのは、その時にも来てくださった方や、先月の山野楽器の講座にも来てくれていた人などがまたいらしてくれていて、内容を少し変えておいて良かったと思いました。いつも来てくださるカプースチンファンの方もいらっしゃるので、自分の講座の内容も毎回少しずつ進化させていかないといけないなと思いました。

カプースチン : 08:10 : comments (x) : trackback (x)
音大卒業生の活躍について①

このブログでも一度くらい紹介した記憶がありますが、今年ピアノ科で私のクラスを卒業したばかりの増井咲さんが、テレビCMに音楽担当でデビューしました。一昨日からもうCMで流れているということですが、イオンのランドセルのCMの音楽を作曲したということです。
こちらです↓ぜひご覧ください。このCM自体がとても可愛いですし、音楽も覚えやすくて素晴しいです。
https://youtu.be/0WjANbmx9YA

ロングバージョンはこちら↓
http://www.aeonretail.jp/kidsschool/cm/

大学を卒業したばかりでこんな仕事が依頼されるなんて一般的には不思議に見えますよね。でも、そういうふうにチャンスの場が展開していく人は学生時代からすでに何らかの萌芽が見られることが多いです。ひょっとしたら他の多くの人たちの参考にもなると思うので書きますが、ピアノ科の中でも彼女が他の学生と比べて明らかに違っていた部分がいくつかありました。まず、自主的に作曲をしていたということ。この3月(大4の時)には自身の『ダッタン人の踊り』の編曲作品が認められてリットーミュージックの「PIANO STYLE」にも掲載されましたし、それ以前にも絵と音楽、あるいは動画に音楽をつけたりするなど、少しずつですが創造的な作曲活動を機会を逃さず着々と経験を積んでいました。私にもその都度、出来上がった作品を聴かせてくれたりしていたので、やはりその頃から才能は見えていました。また、彼女は身近な仲間たちとやはり自作を披露したり、ジャズのセッションなどもやっていました。ジャズのセンスは独学にしてはすごいなと思えるレベルで、作曲のセンスにもはっきり生かされています。ポピュラー音楽ふうにアレンジしたり即興できるレベルとジャズのアレンジでは音楽上はっきりした一線が引かれますが、私が聴く限り、彼女の作品にはポピュラーの域を超えて、明らかにジャズを知らなければ生まれてこないはずの音楽的要素が入っているので、いつの間に学んだのだろう?と不思議になったものです。ちなみに彼女はレッスンにカプースチンを持ってきたことは一度もありませんでした。(笑)これだけいろんなジャンルの音楽を知っていながら、カプースチンをまったく弾いたことがないという人が出てくるほど時代が変わってきたということでしょう。また、多様な音楽に簡単にアクセスできる時代にもなったということでしょうね。いずれカプースチンも一つの古典になっていくのでしょう。

とにかく、活躍の場を自分で切り開いていっている姿が嬉しかったので書きました。

ところで、私もこのCMの音楽が昨日から耳について離れず、思わず口ずさんだりしています(笑)。しかもこのランドセル、ほしくなってきました(笑)。

雑記 : 08:58 : comments (x) : trackback (x)
シドニーでの辻井伸行君の演奏が公開されてます!

先週シドニーで行われた辻井君のショパンのピアノ協奏曲第2番。私も先ほど録音を聴いたところですが、これまでの中でも特筆に値するとても素晴らしい演奏だったと思います。
オーストラリア国営放送のWebに一昨日にアップされたので、こちらにご紹介します。
https://radio.abc.net.au/programitem/pge6QyyOa6?play=true

この日のコンサートのすべてのプログラムが通しで聴けますが、辻井君のショパンは2曲目です。拍手に応えてアンコールも1曲弾いています。

ベルリンではいつになく音楽について彼と深く語ったり、ライヴ録音のためのハードなセッションもありましたが、それを反映した渾身の演奏だと感じました。
それにしても、ベルリンからシドニーへのほとんど地球の裏側への約24時間のフライトも無事にクリアして、体調も感性も万全なコンデションでやり切ったことが伺えます。恐るべき実力だと思います。

上記のURLで聴ける期間は限られているようです。
皆さん、ぜひお早めにお聴きいただけると良いかと思います。

ちなみに辻井君は、今日再び国内ツアーでオケとのリハーサルが始まり、ショパンの第1番を弾くためにもう関西へ発ちました。忙しいですね。

雑記 : 22:28 : comments (x) : trackback (x)
カプースチン公開講座at山野楽器

今日は山野楽器本店での公開講座が無事に終わりました。



考えてみるとここの7階イベントホールで自分が何かをさせてもらうのは初めてだったような気もします。来たことは何度かあるはずなのですが、自分が聴衆ではなくステージ側に立ったのは初めてかもしれません。記憶が怪しいのですが…。そんなわけで、この銀座のど真ん中に、今日は人がどのくらい集まるのか、検討もつかず内心心配だったのですが、ありがたくも満席の聴衆に恵まれて楽しくカプースチン講座をやってまいりました。



これまでこういう形の講座は少なかったと思うのですが、この会場は長テーブルに3人ずつ座って楽譜を開いたりしながら聴講できるスタイルです。そして、今日は皆さんが本当に熱心な感じが伝わってきてびっくりしました。あまりギャグを言ってはいけないかな…という感じで(笑)。
なんと小学校6年生の男の子が一人で最前列の端の席に座って最後まで聴いてくれていました。私は通常このような場では大人に向けて話をするので、その小学生は私の話に退屈しなかっただろうか…と気がかりでしたが、その聡明そうな顔をした彼は、サイン会の時にどこかで待っていたらしいお母さんとともに私の所に満足げな表情をして来てくれたのでたぶん大丈夫だったのかな。



その他に、聴衆の中にはジャズにすごく詳しそうな方々(いつも一定数いらっしゃる)や、もちろん優秀なピアノの先生方、演奏する人、その他たくさんのカプースチンファンが来てくださったと思います。

私はカプースチンの話なら10時間でも喋り続けることができるのですが、毎回その中から2時間分くらい、その日の気分で喋ってしまうので、ひょっとしたら聴衆が求めているものを100%与えられていない可能性もあると思うのです。それで、いつも最後には質問コーナー的に聴衆との双方向のやり取りをするのですが、今日もある若い男の子(先ほどの小学生とは違います)が、現在練習しているという『ソナタ・ファンタジー』のペダリングなどについて質問してくれたりして嬉しかったです。

カプースチンの楽譜が今日はお店に山積みにされていましたが、楽譜もたくさん売れたようです。





サイン会では必ず新しい人と出会いますが、何度も来てくださっている顔見知りの方にも会えることがあります。嬉しいですね。

余談ですが、今日の聴衆の中には自分の生徒の中の一人が来ていて、最後になんと私に「誕生日おめでとうございます!」と言ってお菓子を渡してくれてから帰って行きました。自分のことなど忘れかけていたのでとても嬉しいサプライズでした。どうもありがとう!

カプースチン : 22:21 : comments (x) : trackback (x)
5月~6月のカプースチン公開講座(銀座・横浜・新潟)

今月末から楽器店のイベントスペースなどで、続けて「カプースチンまるわかり講座」を3本ほど行なう予定です。
それぞれの楽器店のWebサイトで告知されているようでしたので、下にリンクを張っておきますので詳細をご覧いただければと思います。

◆5月28日(日)14:00~山野楽器銀座本店
https://www.yamano-music.co.jp/a/shops/ginza/score/course#0528

◆6月16日(金)10:00~ヤマハ横浜店
http://www.yamahamusic.jp/shop/yokohama/event/kawakami-masahiro_seminar.html

◆6月29日(木)10:30~ヤマハ新潟店
http://www.yamahamusic.jp/shop/niigata/event/kokai-kouza.html

「カプースチンまるわかり講座」というのはヤマハさんが名付けてくれたタイトルです。私の頭の中からは思い浮かばなかったものです。(笑)
今やカプースチンの音楽にアクセスする人は、おそらくYoutubeなどで演奏を聴いて好きになって、そして「自分も弾きたい」と思って楽譜を求める人が多いのではないかと思います。そういう意味では、すでに聴いて音楽としては理解しているでしょうし、どう弾きたいというセンスもお持ちの人が多いのではないかと思います。そうすると、他の作曲家と同様に楽譜を正しく読んで、あとは好きに楽しく弾けば良いのではないかと私などは思うのですが、簡単にそういうわけにもいかないらしいです。あるいは、ピアノの先生方には「カプースチンを教える」というニーズも出てきたようです。

実は、全音版が2004年に初めて出た際には、1年間にカプースチン講座をちょうど40回やった年(2005年)もあります。それから10年以上経ち、今年はショット社から新たに国内にも輸入されたことで、カプースチンを弾く人もますます増えていくでしょうし、カプースチンという作曲家がクラシック化していく一つの節目になるかもしれません。

ショット社から出た楽譜は、明らかに全音版で私が初めて編集した際の楽譜を元にしているので、カプースチン自身の運指番号が入っています。これは当時私がカプースチンに直接お願いして入れてもらったものです。それまで録音でしか知られていなかったこの作曲家=ピアニストのテクニックが、初めて公開されたということで貴重な資料になったと思います。
それほど価値のあるものですから、先日ショット社とも話したのですが、私が全音版等でこれまで作曲家自身の運指番号を入れて編集して出版した楽曲については、すべての作品においてショット版でも運指を入れるべきということで決定しました。これから出版される新たな作品については、さすがにもうカプースチン本人にそれをお願いすることができないので、それらは指使いナシの楽譜で出版しようという話になりました。これは私自身の意見ではあるのですが、皆さんはどう思われますでしょうか。もちろん、例えば私が校訂者として運指を入れても学習用には役に立つとは思うのですが、作曲者自身の指使いと比べるとその価値にはやはり差が出てくると思われるので、何も入れないほうが良いかなと考えています。まあ、それによってショットから出るカプースチンの楽譜は、親切に指使いが入っている曲と、まったく運指番号がゼロという二種類の楽譜が出ることになりますが、はたしてどうでしょうか?

日本で出版される楽譜には、だいたい校訂者による指使いが親切に入っているのが普通かと思います。それに対して、外国版では運指がまったく入っていないものも多いです。なので、日本の学習者は例えばドビュッシーやラフマニノフ、その他近現代の作曲家の曲を外国版の楽譜で勉強する際には、指使いを自分で決めなければなりません。それによって譜読みが遅くなったりすることも多いかと思います。
一応ショット社との話し合いでは、今後のカプースチンの楽譜の運指番号を入れるか入れないの考え方については上記のように決めたのですが、皆さん(ユーザーの方々)のご意見も聞きたいと思っています。もちろん日本のユーザーの意向だけで決められることではありませんが、少なくとも私からショット社さんにはお伝えできますので、ぜひ多くの方々のご意見を伺いたいと思っています。

カプースチン : 19:18 : comments (x) : trackback (x)
ショット本社を訪問!(2)

今回の訪問時に、ショット社さんは私に一冊の楽譜のプレゼントを用意してくれていました。それはヒンデミット作曲の『ルードゥス・トナリス』の楽譜で、なんとヒンデミット自身によるカラーのイラストが描かれた限定ファクシミリ版の楽譜です。



曲の冒頭からライオンが描かれています。このライオンのイラストがこの作品中さまざまな形で出てきますが、すべてヒンデミット自身が描いたものです。なぜライオンかと言うと、実はヒンデミットの奥様が獅子座であることと関係しています。奥様の50歳の誕生日記念にこのイラストを描き、この楽譜が特別に制作されたわけなのです。それにしてもヒンデミットの遊び心と絵を描く才能には感嘆させられますよね。

この『ルードゥス・トナリス』(音の戯れ)という曲集は、調性と対位法を駆使して書かれたヒンデミットの重要な作品なのですが、意外に日本のピアノ学習者にはあまり知られていません。
実はこの曲に関しては面白い話があります。もう10年以上も前のことですが、私がカプースチンの自宅を訪ねた際に、カプースチンの作品の話になり、私があまり深い意味を込めたわけではないのですが「あなたの音楽にはヒンデミットの音楽を彷彿とさせるものがあると感じました」と言ったことがあるのですが、そうしたらカプースチンがすぐに、「これかい?」というような感じで『ルードゥス・トナリス』の一節を弾き始めたのです。それははっきり覚えているのですが、以下のフーガ(Fuga secunda in C)の冒頭でした!(以下の写真冒頭)



この曲をすぐに弾き始めたのもすごいと思いましたが、やはりいろんな作曲家の作品をよく勉強されているということを強く思ったものです。私がこの時のカプースチンとの逸話をショットの人にすると、彼らはとても興味深そうに私の話に耳を傾けていました。

ところで、この楽譜にはどのページにもライオンのイラストが出てくるのですが、面白いのは、フーガのテーマが現れるたびにその箇所にライオンの絵が描かれているのです。そして、例えば「拡大テーマ」が出てくる箇所ではライオンの胴体がダックスフントのように長~く描かれたり、反転するテーマではライオンが逆さに描かれたりしています。何というヒンデミットの遊び心でしょうか!(嬉しくなります。)



言ってみれば、ショット社にもこのような楽譜を出版する遊び心があるということでしょうが、ショット版の楽譜にはイラストや装丁など(もちろん子供用の教材にも)、さまざまな芸術性を付け加えているところが素晴らしいと思います。

ショット本社の建物の中には博物館のように重要な資料が保管されている部屋もありました。そのいくつかの部屋を拝見させていただきましたが、ベートーヴェンの『第九』やワーグナーの重要な作品『ニーベルングの指輪』や『パルジファル』など、ショット社が出版したスコアや初演データ(ポスター等)など、200年以上にわたる貴重な仕事の中身を具体的に知ることができました。






リゲティの作品には、上の写真のように図形というか記号というか、このようにカラフルに描かれたまるで楽譜とは思えないような楽譜も存在します。ショット社には、このように伝統的な記譜法を逸脱した現代作曲家の作品などを手がけたり、新しい未知の作品にも果敢に取り組む姿勢を持っているということでしょう。

今思えば、ショット社がカプースチンを手がけるのも時間の問題だったとも思えます。でもカプースチンは、他の現代作曲家たちと比べるとまだ保守的でわかりやすい作曲家とも言えますね。


資料室はロベルトさんが詳しく案内してくださいました。感謝です。

雑記 : 10:28 : comments (x) : trackback (x)
ショット本社を訪問!(1)

ピアノを学習している人で楽譜出版社ショットの名前を聞いたことがない人は、おそらくあまりいないでしょう。マインツに本社があるドイツの最大手の音楽出版社ですが、もう創立200年以上にもなる老舗です。もちろん私なども、もう長い間さまざまな作曲家の作品を弾くためにショット版の恩恵を受けてきました。

今回のドイツ旅行でようやくこのショットの本社を訪ねることができました。



今回わざわざ訪ねた目的は、ショット社が2~3年前からついにカプースチンの作品出版を手がけるようになったからです。ショット社は多くの現代作曲家の作品を手がけてきたことでも有名です。今年になって日本国内にもカプースチン作品の輸入版楽譜が手に入るようになってきましたし、今後もカプースチン作品はショット社が力を入れて世界に向けて出版していくという方向がはっきり見えてきたので、もうこの辺でショット社よりずっと早くからカプースチン普及のための活動を続けている私としては、一度足を運んでおくべきだろうと思いました。



ショット本社の正面玄関を入ってすぐ左の壁に、私のフルネーム入りで『ようこそいらっしゃいました!』というプレートを見つけました。私が来るのを楽しみに待っていてくれたようです。素晴らしい中庭を持つ大きな建物ですが、その中の一室に案内され、さっそくカプースチンの楽曲の出版編集担当、編集部長、作品管理担当、協奏曲作品などのレンタル担当者たち等々すべての関係者にお会いできました。(レンタル関係の人だけは担当者ご本人が休暇中で、代理の方とお会いできました。)
最後に「よろしかったら、ぜひ社長も同席するので昼食もご一緒にしましょう」と言われたので、お言葉に甘えて、近くのグーテンベルク広場で時間を潰していた家内まで(笑)がお邪魔させていただいて一緒に歓談しながらお昼を頂きました。





この席でショット社のトップであるDr.ペーター・ハンザー=シュトレッカー氏にもお会いできたのですが、彼自らが契約の際にはモスクワのカプースチン自宅まで訪ねて行き、そのモスクワ訪問時の写真を綺麗で立派な装丁を持ったアルバムにして(この行為自体がとてもショット社っぽい!)後にカプースチンにプレゼントしたらしいのですが、実はその素晴らしいアルバムを私は2014年にカプースチンを訪問した際にカプースチン本人から見せてもらったことを思い出しました。
ハンザー=シュトレッカー氏自身がカプースチンの音楽について意識が高かったのはもちろん、もっと驚いたのは、スタッフ全員がカプースチンに関してかなり高いレベルまで話が通じたことです。また彼らは音楽全般にも詳しく、人間的にもすばらしく、あらゆる意味でバランス感覚に優れていました。私の窓口になってくれているロベルト氏などもピアノを専門にやってきたわけではないのに、『変奏曲』Op.41を自分でもすでに弾いたと言います。他のスタッフたちも名刺を見るとほとんどが「Dr.~」です。彼らはインテリで、かつ音楽をとても愛していることが分かりました。(実際、会社の人たちの半分は楽器が演奏できるのではないかと推察しました。)

今後は私もチームの一人として協力していくことになりました。あらゆる現代作品に手慣れてきたとは言え、ショット社にとってもカプースチンは手強い作曲家であることは認めているようで、私のサポートをとても喜んでくれています。まだ具体的にはこれからですが、少なくともカプースチンを取り巻く環境はさらに良くなっていくことと思います!

雑記 : 18:17 : comments (x) : trackback (x)
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