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F. デュプレーのカプースチン『ピアノ協奏曲第3番』ヨーロッパ初演がアップ!


先日10月30日にシュトゥットガルトでフランク・デュプレーのピアノソロ、SWRビッグバンド(オーケストラ)でカプースチンの『ピアノ協奏曲第3番』が演奏されました。このコンサートはYoutubeでライヴストリーム配信されましたが、その後もそのまま観ることができます。(おそらく3~4週間は視聴可能なようです)
デュプレー本人から演奏直後にこの動画の情報をもらっていたのですが、本日ようやく聴くことができました。
以下のURLです。
https://www.youtube.com/watch?v=N6_DDx7g9eA&t=4568s

カプースチンのピアノ協奏曲は彼のソロで6曲すべてが収録されたCDボックス(4枚組)が11月6日にリリースされます(日本でも同日に発売予定)が、ライヴ演奏としての『ピアノ協奏曲第3番』はこれが「ヨーロッパ初演」です。そのことを大きくアピールしていました。ちょうど10年前に私が世界初演をして、その後の第2回目のライヴ演奏ということになります。

この動画ではコンサート全部を通して聴くことができますが、カプースチンのピアノ協奏曲第3番はプログラムの2曲目です。その演奏の直前の幕間にデュプレーとインタビュアーによる長めのインタビュー(ドイツ語ですが)も聞くことができます。今現在の彼自身によるカプースチンの曲に対する見解などを聞いて、以前から比べてもまたかなり発展したなと感じました。彼が本当に世界をリードする一人前のカプースチン弾きになったということをひしひしと思いました。

動画はライブ配信時のチャットもそのまま表示されるので、それが流れるのをチラチラ見ながら聴いていたのですが、コメント(ほぼ全部英語)の中にはこの曲によく通じていて、彼の演奏を「川上バージョン」と比べてどうのこうのなどと、少し専門的でコアなファンにしかできないであろう感想をやり取りしているのもあって面白かったです。まあ私たちが演奏したバージョンは正式な録音ではなかったのですがYoutubeのどこかに音源が残っているでしょう、そのような録音もファンにとっては貴重な資料で世界中で多くの人が聴いているというのは驚きではあります。

動画でデュプレーがカプースチンの『ピアノ協奏曲第3番』を演奏した後、彼のトリオの3人(ピアノ、ベース、ドラムス)によってアンコールにガーシュインのプレリュードを1曲演奏していました。確かにこの協奏曲の中ではドラマーとベース奏者の役割は重要でしたし、今回リリースされるCDボックスにもトリオの演奏も入っていますから、「デュプレー・トリオ」の存在をこの場で大きくクローズアップすることも大事だと思われました。
そしてアンコール後にさらに司会の人とデュプレーの二人でステージでトークを続けていました。間違いなくこのコンサートでは彼に一番スポットが当たっています。そこで司会者が近々リリースされるボックスCDの現物を持って宣伝をしてくれたり、デュプレーにさらに質問をたくさんしていました。その中でデュプレーはこれまでカプースチンの楽譜が入手しづらかったことや、現在ではショット社のお陰で状況が大きく変わってきたこと、そしてなんとピアノ協奏曲第3番についての話の中で「この曲なんて演奏される機会はほとんどなく、ちょうど10年前に一度だけ日本のピアニストによって演奏されただけなんです」などと、私のことについても言及してくれていたのは驚きでした。

『第3番』の世界初演は東京音楽大学の大ホールで曽我大介さんの指揮、そしてオーケストラのほとんどの奏者は東京音楽大学の学生によるものでした。今聴いてもその演奏はなかなか良い味を出していると思います。録音そのものはあまり良くないはずなのに、演奏によって楽曲のテクスチュアやハーモニー、そして作曲の意図がよく感じられる箇所もあると思います。テンポはおそらく私の好みでどの楽章もデュプレーの演奏より遅めの箇所が多かったかとも思いますが、それによって逆にあの演奏でしか聴くことのできない表現や味わいがあります。
あの初演時にはこの曲の楽譜はまだ出版されてなくて、私が持っていた自筆譜スコアから急ごしらえで楽譜を作成して(ショット社の手も借りましたが)演奏しましたが、今考えればよくやったなとしみじみ思います。

デュプレーが今回のCDに『ピアノ協奏曲第3番』を録音したことは快挙でしたが、彼がドイツでこの協奏曲のライヴ演奏を実現させたのもまた大きな一歩だったと思います。とても感慨深いです。 今回のCDリリースはデュプレー自身も動画などを使って前宣伝を大きくやっていますし、日本でも発売前からこれまで以上にカプースチンが話題に上っているようにも感じられます。これによってまた新たなカプースチン・ブームが起こることを期待しているところです。

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