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カプースチンが音楽の教科書に!?


私のクラスの教育実習に行った大学4年の学生が教えてくれたのですが、作曲家カプースチンが高校の音楽の教科書に載っていました!ということで、ずっと気になっていたその教科書をようやく手に入れることができました。(笑)

高校の音楽の教科書はいくつかありますが、その中の教育出版の「音楽Ⅱ Tutti+」という教科書の107ページに確かにカプースチンが写真付きで載っていました。なんと西洋音楽から始まったクラシック音楽の歴史の1ページに紹介されるほどの作曲家として、ついにニコライ・カプースチンが教科書に載ったのです!

思えば、私がカプースチンを発見したのは今から25年ほど前の2000年前後。カプースチンの自作自演の音源がCDによって日本を中心にリリースされ始めた頃、世界ではまだこの作曲家の存在は知られていませんでした。もちろん旧ソ連では1980年代半ばにLPレコードで本人の録音は出ていたものの、世界に広く知られるほど認知されてはいなかったわけです。その理由は、カプースチンが当時はまだおもにオーケストラの中で演奏するピアニストとして活動していたからでしょう。84年にはオーケストラをすべて辞めて作曲に専念し始め、その後はものすごい量の作品を生み出していきます。

ただ、世界に広く知られる時期は意外に遅く、ピアニストのニコライ・ペトロフがピアノソナタ第2番を録音した90年代後半、それに続いてオズボーンやアムランなどのピアニストが徐々にCD録音を増やしていきますが、私が2003年に初めてカプースチンに会ったあたりでも、まだCDを実際に聴いた人以外はほとんど彼のことを知る人はいなかったと言って良いでしょう。私が本人とコンタクトをとるようになって2004年に日本の全音楽譜出版社から初めて『8つの演奏会用エチュード』や『24のプレリュード』を作曲家と一緒に作業をして校訂出版を実現、その後20年以上にわたって私はこの作曲家の存在とその作品を広める活動を行ってきました。

おそらくは誰もカプースチンを「いずれは教科書に載る作曲家になるだろう」などと考えたこともなかったわけで、その理由は、一般的な現代作曲家のイメージとはかけ離れていたからだと思います。もちろん私自身はカプースチンほどの作曲家は必ず音楽の教科書にはいつか絶対載るだろうことは確信していましたが、実際に教科書に出ることになった時には特に出版社からは何の相談も報告もなく(当たり前か(笑))、私も後になって知ったわけです。

はい、ということでこの教科書も自分のお金で買いに出かけました。(笑)
まあそれほど嬉しかったということです。感無量です。

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