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ピアノがうまくなるコツ-『頭をよく働かせる』(2)

ピアノの練習には頭をよく使うことが大切だと書きましたが、例えば「文章の読解力」もそうですね。きちんと理解しようとすると、単語の意味をちゃんと全部知って、文法的に正しく理解できて初めて作者の意図がわかるもので、これも活字だけをぼーっと追っていても決して文章を深く理解できるわけではないでしょう。「速読」だって、やはり「集中力」が重要ポイントだと言われますよね。

読書でも同じですが、音楽においてもある意味まったくその通りで、演奏する人は音一つ一つの意味とそれらの繋がり方、メロディーがどのように展開して、どんな種類のモチーフが出てきてそして最後にどうなるのか、ということをやはり知っていなくてはいけないでしょう。
しかし、それよりもまずは作曲家の意図です。音楽が創られるときには必ず動機があるものです。又はきっかけ、あるいは単に良いメロディーが浮かんできただけということもあるかもしれませんが、それにしてもなんらかの作曲の動機はあります。それを知ることは、文章をなぜ書こうと思ったかという作家の意図を理解するのと同様に大切だと思います。

音楽をどこまで理解しているかによって、演奏においての表現力が全然違ってきます。また、理解力の高さは、譜読み能力にも比例しますし、そして暗譜力にも比例します。だから、理解することによって曲をマスターする時間が短縮されるし、練習の無駄もなくなっていきます。極端なことを言えば、あるパッセージがどうしても弾けなかったのに、それを音楽的な感覚として掴めるとすぐに弾けてしまうこともあります。

頭をよく使うということもありますが、「音楽を体で感じる」ことも大切です。どのように表現したら良いのかがわからない、という人は、まず音楽を感じてみること。音楽には「こう弾かなくてはいけない」という定型があるわけではありません。「この部分は自分はこう演奏したい」というのが自然に出てくるはずです。これは人や先生に訊いてもわからないことです。自分の中にその欲求が出てこなくてはおかしいわけです。

この表現力は創造力と言ってもいいでしょう。自分の中から生まれ出てくるものです。その曲を創った人(=作曲家)と一体になるという感覚。これが高じれば、自分で作曲したいという欲求に繋がっていくわけです。

では、音楽を理解する能力、そして演奏で表現する能力をどのように身につけるか?
これは次回に考えてみたいと思います。

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