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ピアノをなぜ習うの?(1)

 ピアノを習う子供の数が減ってきたとはいっても、まだまだこの楽器は長い人気を誇っています。小さい頃からピアノに親しんできた人というのは、すでにけっこうな数がいるのではないかと思います。そして、現在も多くの子供たちが習っているわけです。最近では、大人になってからピアノに目覚めて、ある程度の演奏ができるようになる人もいます。もっとも、本場ヨーロッパでは、昔から自分の職業のほかに音楽をかなり高度にたしなむ人がいて、楽器の腕前もプロ並みというような人がけっこう存在したようです。現代の日本でも、プロの演奏家以外にもアマチュア演奏家たちの活躍も多く、全体で非常にレヴェルの高い音楽文化が展開されているように思います。

 さて、ピアノを習い始める小さな子たちは、最初は気軽な気持ちで始めたとか、親の勧めであることが多いと思いますが、なぜピアノを子供に習わせるのでしょうか。ピアノの魅力というのは、いったいどこにあるのでしょうか。これを少し考えてみたいと思います。

 最初は、お稽古事の一つとして始めるのだと思いますけれども、毎週規則的にレッスンに通うのはけっこう大変なことだと思います。しかし、才能があるかないかは分からなくとも、長く続ける効用はもちろんいろいろあります。学校の勉強以外に何か他に打ちこむものがあるというのが、まず大事な観点です。小中学生の子供たちは、ほかにも部活動があったり、塾や他のお稽古事もあったりして、ピアノだけに力を入れられるわけではないでしょう。最低限度の強い意思が本人になければ、とてもできることではないと思います。物事には、一生懸命続けなければ得られないものというのがあると思いますが、ピアノはその最たる例でしょう。語学を身につけるのもそうです。ある程度の長い年月をやり続けなければ、一定の結果が出ません。楽器の練習というものは、ストイックな精神力を強いられるし、自己を磨くという意味ではとても大きな意味があると思います。そしてまた、大きな大きな喜びを伴うものです。すぐに手に入るものは、それほど価値のあるものではないのです。

 ピアノを習う時に、お母様が「あくまでもうちは趣味でやらせたいので」とおっしゃることがあります。私は、もちろん趣味でやるのも良いと思っています。親としては、プロの音楽家になるのは難しいし、無理になってほしいとも思わない、ということだと思いますが、これはある意味謙虚な言い方かもしれません。または、コンクールばかり受けさせられ、スパルタ式にやられてはたまらない(笑)ということで、最初に先生に釘をさすつもりでおっしゃるのかもしれません。(現在、そういう厳しい先生のパーセンテージが減ってきたのかどうかは知りませんが…。) ただ、教える側としての私は、「趣味で…」の方にも手を抜かず、本格的にやりたいという子供たちと同じように真剣に接します。だって、もし将来才能が伸びてきた場合は、状況が変わってくる可能性だってあるのですから。子供の将来というのは、両親にもなかなか分からないものでしょう。(本人にも分からないでしょうが。)

 ピアノをやっているということは、音楽が自分の友達になるということです。クラシック音楽というと、両親がよほどの音楽ファンというのでもなければ、普段の生活からは縁遠い世界かもしれません。しかし、音楽というものは実は身近なところにあって、例えばテレビの歌番組やアニメ、映画などを通じて知った曲が、自分にももし弾けたら嬉しいでしょう。また、学校でも合唱の伴奏や、他にも音楽に関係する行事などがあるかもしれません。ピアノが弾けることは、なにより自分自身の財産となります。(つづく…)

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