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5月~6月のカプースチン公開講座(銀座・横浜・新潟)

今月末から楽器店のイベントスペースなどで、続けて「カプースチンまるわかり講座」を3本ほど行なう予定です。
それぞれの楽器店のWebサイトで告知されているようでしたので、下にリンクを張っておきますので詳細をご覧いただければと思います。

◆5月28日(日)14:00~山野楽器銀座本店
https://www.yamano-music.co.jp/a/shops/ginza/score/course#0528

◆6月16日(金)10:00~ヤマハ横浜店
http://www.yamahamusic.jp/shop/yokohama/event/kawakami-masahiro_seminar.html

◆6月29日(木)10:30~ヤマハ新潟店
http://www.yamahamusic.jp/shop/niigata/event/kokai-kouza.html

「カプースチンまるわかり講座」というのはヤマハさんが名付けてくれたタイトルです。私の頭の中からは思い浮かばなかったものです。(笑)
今やカプースチンの音楽にアクセスする人は、おそらくYoutubeなどで演奏を聴いて好きになって、そして「自分も弾きたい」と思って楽譜を求める人が多いのではないかと思います。そういう意味では、すでに聴いて音楽としては理解しているでしょうし、どう弾きたいというセンスもお持ちの人が多いのではないかと思います。そうすると、他の作曲家と同様に楽譜を正しく読んで、あとは好きに楽しく弾けば良いのではないかと私などは思うのですが、簡単にそういうわけにもいかないらしいです。あるいは、ピアノの先生方には「カプースチンを教える」というニーズも出てきたようです。

実は、全音版が2004年に初めて出た際には、1年間にカプースチン講座をちょうど40回やった年(2005年)もあります。それから10年以上経ち、今年はショット社から新たに国内にも輸入されたことで、カプースチンを弾く人もますます増えていくでしょうし、カプースチンという作曲家がクラシック化していく一つの節目になるかもしれません。

ショット社から出た楽譜は、明らかに全音版で私が初めて編集した際の楽譜を元にしているので、カプースチン自身の運指番号が入っています。これは当時私がカプースチンに直接お願いして入れてもらったものです。それまで録音でしか知られていなかったこの作曲家=ピアニストのテクニックが、初めて公開されたということで貴重な資料になったと思います。
それほど価値のあるものですから、先日ショット社とも話したのですが、私が全音版等でこれまで作曲家自身の運指番号を入れて編集して出版した楽曲については、すべての作品においてショット版でも運指を入れるべきということで決定しました。これから出版される新たな作品については、さすがにもうカプースチン本人にそれをお願いすることができないので、それらは指使いナシの楽譜で出版しようという話になりました。これは私自身の意見ではあるのですが、皆さんはどう思われますでしょうか。もちろん、例えば私が校訂者として運指を入れても学習用には役に立つとは思うのですが、作曲者自身の指使いと比べるとその価値にはやはり差が出てくると思われるので、何も入れないほうが良いかなと考えています。まあ、それによってショットから出るカプースチンの楽譜は、親切に指使いが入っている曲と、まったく運指番号がゼロという二種類の楽譜が出ることになりますが、はたしてどうでしょうか?

日本で出版される楽譜には、だいたい校訂者による指使いが親切に入っているのが普通かと思います。それに対して、外国版では運指がまったく入っていないものも多いです。なので、日本の学習者は例えばドビュッシーやラフマニノフ、その他近現代の作曲家の曲を外国版の楽譜で勉強する際には、指使いを自分で決めなければなりません。それによって譜読みが遅くなったりすることも多いかと思います。
一応ショット社との話し合いでは、今後のカプースチンの楽譜の運指番号を入れるか入れないの考え方については上記のように決めたのですが、皆さん(ユーザーの方々)のご意見も聞きたいと思っています。もちろん日本のユーザーの意向だけで決められることではありませんが、少なくとも私からショット社さんにはお伝えできますので、ぜひ多くの方々のご意見を伺いたいと思っています。

カプースチン : 19:18 : comments (x) : trackback (x)
ショット本社を訪問!(2)

今回の訪問時に、ショット社さんは私に一冊の楽譜のプレゼントを用意してくれていました。それはヒンデミット作曲の『ルードゥス・トナリス』の楽譜で、なんとヒンデミット自身によるカラーのイラストが描かれた限定ファクシミリ版の楽譜です。



曲の冒頭からライオンが描かれています。このライオンのイラストがこの作品中さまざまな形で出てきますが、すべてヒンデミット自身が描いたものです。なぜライオンかと言うと、実はヒンデミットの奥様が獅子座であることと関係しています。奥様の50歳の誕生日記念にこのイラストを描き、この楽譜が特別に制作されたわけなのです。それにしてもヒンデミットの遊び心と絵を描く才能には感嘆させられますよね。

この『ルードゥス・トナリス』(音の戯れ)という曲集は、調性と対位法を駆使して書かれたヒンデミットの重要な作品なのですが、意外に日本のピアノ学習者にはあまり知られていません。
実はこの曲に関しては面白い話があります。もう10年以上も前のことですが、私がカプースチンの自宅を訪ねた際に、カプースチンの作品の話になり、私があまり深い意味を込めたわけではないのですが「あなたの音楽にはヒンデミットの音楽を彷彿とさせるものがあると感じました」と言ったことがあるのですが、そうしたらカプースチンがすぐに、「これかい?」というような感じで『ルードゥス・トナリス』の一節を弾き始めたのです。それははっきり覚えているのですが、以下のフーガ(Fuga secunda in C)の冒頭でした!(以下の写真冒頭)



この曲をすぐに弾き始めたのもすごいと思いましたが、やはりいろんな作曲家の作品をよく勉強されているということを強く思ったものです。私がこの時のカプースチンとの逸話をショットの人にすると、彼らはとても興味深そうに私の話に耳を傾けていました。

ところで、この楽譜にはどのページにもライオンのイラストが出てくるのですが、面白いのは、フーガのテーマが現れるたびにその箇所にライオンの絵が描かれているのです。そして、例えば「拡大テーマ」が出てくる箇所ではライオンの胴体がダックスフントのように長~く描かれたり、反転するテーマではライオンが逆さに描かれたりしています。何というヒンデミットの遊び心でしょうか!(嬉しくなります。)



言ってみれば、ショット社にもこのような楽譜を出版する遊び心があるということでしょうが、ショット版の楽譜にはイラストや装丁など(もちろん子供用の教材にも)、さまざまな芸術性を付け加えているところが素晴らしいと思います。

ショット本社の建物の中には博物館のように重要な資料が保管されている部屋もありました。そのいくつかの部屋を拝見させていただきましたが、ベートーヴェンの『第九』やワーグナーの重要な作品『ニーベルングの指輪』や『パルジファル』など、ショット社が出版したスコアや初演データ(ポスター等)など、200年以上にわたる貴重な仕事の中身を具体的に知ることができました。






リゲティの作品には、上の写真のように図形というか記号というか、このようにカラフルに描かれたまるで楽譜とは思えないような楽譜も存在します。ショット社には、このように伝統的な記譜法を逸脱した現代作曲家の作品などを手がけたり、新しい未知の作品にも果敢に取り組む姿勢を持っているということでしょう。

今思えば、ショット社がカプースチンを手がけるのも時間の問題だったとも思えます。でもカプースチンは、他の現代作曲家たちと比べるとまだ保守的でわかりやすい作曲家とも言えますね。


資料室はロベルトさんが詳しく案内してくださいました。感謝です。

雑記 : 10:28 : comments (x) : trackback (x)
ショット本社を訪問!(1)

ピアノを学習している人で楽譜出版社ショットの名前を聞いたことがない人は、おそらくあまりいないでしょう。マインツに本社があるドイツの最大手の音楽出版社ですが、もう創立200年以上にもなる老舗です。もちろん私なども、もう長い間さまざまな作曲家の作品を弾くためにショット版の恩恵を受けてきました。

今回のドイツ旅行でようやくこのショットの本社を訪ねることができました。



今回わざわざ訪ねた目的は、ショット社が2~3年前からついにカプースチンの作品出版を手がけるようになったからです。ショット社は多くの現代作曲家の作品を手がけてきたことでも有名です。今年になって日本国内にもカプースチン作品の輸入版楽譜が手に入るようになってきましたし、今後もカプースチン作品はショット社が力を入れて世界に向けて出版していくという方向がはっきり見えてきたので、もうこの辺でショット社よりずっと早くからカプースチン普及のための活動を続けている私としては、一度足を運んでおくべきだろうと思いました。



ショット本社の正面玄関を入ってすぐ左の壁に、私のフルネーム入りで『ようこそいらっしゃいました!』というプレートを見つけました。私が来るのを楽しみに待っていてくれたようです。素晴らしい中庭を持つ大きな建物ですが、その中の一室に案内され、さっそくカプースチンの楽曲の出版編集担当、編集部長、作品管理担当、協奏曲作品などのレンタル担当者たち等々すべての関係者にお会いできました。(レンタル関係の人だけは担当者ご本人が休暇中で、代理の方とお会いできました。)
最後に「よろしかったら、ぜひ社長も同席するので昼食もご一緒にしましょう」と言われたので、お言葉に甘えて、近くのグーテンベルク広場で時間を潰していた家内まで(笑)がお邪魔させていただいて一緒に歓談しながらお昼を頂きました。





この席でショット社のトップであるDr.ペーター・ハンザー=シュトレッカー氏にもお会いできたのですが、彼自らが契約の際にはモスクワのカプースチン自宅まで訪ねて行き、そのモスクワ訪問時の写真を綺麗で立派な装丁を持ったアルバムにして(この行為自体がとてもショット社っぽい!)後にカプースチンにプレゼントしたらしいのですが、実はその素晴らしいアルバムを私は2014年にカプースチンを訪問した際にカプースチン本人から見せてもらったことを思い出しました。
ハンザー=シュトレッカー氏自身がカプースチンの音楽について意識が高かったのはもちろん、もっと驚いたのは、スタッフ全員がカプースチンに関してかなり高いレベルまで話が通じたことです。また彼らは音楽全般にも詳しく、人間的にもすばらしく、あらゆる意味でバランス感覚に優れていました。私の窓口になってくれているロベルト氏などもピアノを専門にやってきたわけではないのに、『変奏曲』Op.41を自分でもすでに弾いたと言います。他のスタッフたちも名刺を見るとほとんどが「Dr.~」です。彼らはインテリで、かつ音楽をとても愛していることが分かりました。(実際、会社の人たちの半分は楽器が演奏できるのではないかと推察しました。)

今後は私もチームの一人として協力していくことになりました。あらゆる現代作品に手慣れてきたとは言え、ショット社にとってもカプースチンは手強い作曲家であることは認めているようで、私のサポートをとても喜んでくれています。まだ具体的にはこれからですが、少なくともカプースチンを取り巻く環境はさらに良くなっていくことと思います!

雑記 : 18:17 : comments (x) : trackback (x)
ドイツから(2)

昨日は長い一日でした。
午前中は辻井君のコンチェルトのゲネプロに立会い、その後はそのゲネプロの録音演奏を聴きながら今や専属ディレクターのフリーデマン氏と一緒にこの日のライヴ録音と、さらに演奏会終了後の収録に向けての準備を伸行君自身と一緒に行いました。



午後は、ベルリンでロシアの作曲家メトネルを非常に詳しく研究する音楽学者であり、作曲家でもあり、そして国際的なメトネルフェスティバルや自身が主催するメトネルに関するあらゆる情報を世界に送ってくれているWendelin Bitzan氏に会うことができました。お互い忙しい合間を縫っての1時間半弱の濃い会話(笑)でしたが、とても楽しいひとときを過ごしました。

そして、夜は20:00からフィルハーモニーホールでドイツ・ベルリン響のコンサートで辻井君の演奏の本番です。





ここ数年の彼の演奏の中では久しぶりの熱演で、お客さんの反応もなかなかのものだったと思いました。私も今回は結果として大いに関わることになりましたが、それにフリーデマン氏のこだわりの要求が加わったりして期待大のコンサートとなりましたが、伸行君はそのプレッシャーに見事に応えてくれました。しかも、コンサート終了後も22時過ぎからさらに録音セッション(これは指揮のアシュケナージもオーケストラをも巻き込んでのセッションでしたが)があって、23時近くまで演奏者は全員ホールにいました。しかも誰も疲れを見せず。我々もその後ようやく夕食です。
少なくとも午前2:00頃までは食べていたと思います。私はギブアップして途中で帰ったのですが。(笑)

伸行君は、翌日朝早く起きて、また飛行機に乗ってシンガポールへ10時間弱、そこで2時間のトランジットがあってさらに10時間強のフライトでオーストラリアまで行ったはずです。(私の記憶に間違いがなければ。) そしてその翌日がすぐリハで、その翌日から再び本番。いつも時差ボケがまったくないと豪語していた辻井君ですが、さすがに今回のスケジュールは話を聞いただけで心配してしまうほどの強行軍です。でも、あとでこのスケジュールによる時差ボケに耐えられたかどうかを訊くことを約束しました。本人もどうなるか楽しみなようです。(ここが変人です。笑)

さて、私は今日はライプチヒにいます。ライプチヒと言えば、もちろんバッハが活躍したトーマス教会のある町ですし、シューマンやメンデルスゾーンも活躍したことで有名でしょう。ゲヴァントハウスもあります。ただ、1日ほど滞在したらまた移動です…。


(背景にアシュケナージ氏も見えます…!)

雑記 : 05:35 : comments (x) : trackback (x)
ドイツから(1)

ブログがここ3~4日間くらい、メンテナンスと設定変更の作業のためにずっと見れない状態が続いていたようですが、ようやく復旧したようです。皆様にはご迷惑をおかけしました。

今、ベルリンに来ています。
ちょうどいくつかの仕事をうまく組み込むことができて、辻井伸行君の今日のベルリンのフィルハーモニー・ホールでのアシュケナージ指揮のショパンの2番の本番に居合わせることができました!
本番はちょうどこれからです。





お昼のゲネプロはほとんど通しがメインでしたが、今回はCD録音も兼ねているので、こういう時はアーティストは二重に神経を使います。一方ではライブとして効果的な演奏、もう一方では録音のことも考えながら演奏しなくてはいけません。ゲネプロが終わっても、伸君はディレクターと一緒にゲネプロのプレイバックを聴いて、それを反映して演奏を調整した上で夜のコンサートに望みますから神経も体力も普段より余計に使います。しかも、今日は演奏会終了後もそのまま録音セッションが22時半まで続けられる予定ということです。
そんなこんなでソリストはいつも大変です。

ただ、今回はけっこう一緒の時間たっぷり過ごすことができ、予期せぬ展開となったことは嬉しかったです。
ベルリン初日からなんと総勢9名で夕食! 伸行君お気に入りのアスパラガスとヴィーナー・シュニッツェルを全員が注文しました。(笑)





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辻井伸行×服部百音コンサート/「カプースチン・フェスティバル2018」

先日5月2日には辻井君のコンサートがあったので、東京オペラシティへ足を運んできました。辻井君とやはり新進アーティスト(ヴァイオリン)の服部百音さんがそれぞれソロ曲を1曲と読響との共演でコンチェルトを1曲弾くというプログラムで、服部さんが前半でショスタコのコンチェルト一番を辻井君は後半でショパンの1番を弾きました。そして、アンコールは二人の共演で1曲。このオペラシティ公演が一連のシリーズ前半の最終日でした。



服部百音さんは今注目のヴァイオリニストで当日は彼女へのマスコミ取材も多く入っていました。私たち一行は辻井君の楽屋へ行きましたが、こちらにもアーティストや有名人が何人か来ていましたね。ところであまり知られていない事実かと思いますが、この二人はどちらも東京音楽大学付属高校で特待生として学んでいるのです(いたのです)。


思わずシャッターを押してしまいましたが、辻井君の左手はお母さんのいつ子さん、右手にいるのは神田うのさんです。仲良いのかな。

最近の私にとっては珍しいことですが、来週もまた続けて辻井君の演奏を生で聴きに行く予定です。(来週は外国での話になりますが。)
辻井君は6月にもまだ上のコンサートのシリーズで後半の6公演が続きます。それが終わると7月はプレミアム・リサイタルのシリーズで新レパートリーを含むリサイタルの国内ツアー。さらに8月・9月・・・年末まで国内と海外を行き来しながら途切れないスケジュールのようです。


話は変わって、長らくお待たせしていた次回の『カプースチン祭り』がようやく企画されました。開催日時は2018年1月8日(月・祝)で、4月にオープンしたばかりの新しい「浦安音楽ホール」にて行われます。全国からカプースチンファンが集う盛大なイベントになることが予想されます。ファンの方々、カプースチンの音楽、演奏に興味のある方はぜひ予定を空けておいてください。例年にならって、今回も三部構成で企画中です。
演奏会出演者の募集は秋頃になる予定です。また告知したいと思います!

雑記 : 09:34 : comments (x) : trackback (x)
モスクワ音楽院付属中央音楽学校のこと

最近、ある近しいピアノの先生からモスクワへピアノ教育に関する取材に行きたいということで相談を受けた際に「モスクワ音楽院付属中央音楽学校」のことが話題になったので、この機会に少し書きたいと思います。

最近はカプースチンに関する修士論文を書く学生も増えてきて、先日の伊藤楽器で行なった公開講座の時にはカプースチンの熱狂的なファンを自称する伊石有里さんも関西から駆けつけてくれて、彼女が書いたばかりの論文も頂きました。多くの修士論文をこれまで見てきましたが、なかなか良く書けていて感動しました。ただ、カプースチンに関する日本語の文献がまだ少なすぎることからくる苦労と努力の跡は見られました。でもかなり多く参考文献や情報を手に入れていて頑張られたのだなーと感じました。
伊石さんの論文では、一部どうしても原典に当たれない部分は2006年に初めてカプースチンについて書かれた芸大の斎藤君の論文等から孫引きするしかなかったものもあるかと思いますが、特にカプースチンがモスクワ音楽院に入る前にアフレリアン・ルッバーフ先生についてピアノを勉強した音楽高校について、私はこの学校の日本語の正式名称は「モスクワ音楽院付属高等音楽学校」(あるいは「~音楽高等学校」)とするのが良いのではないかと思います。ちなみに、この学校は「モスクワ音楽院付属~」という名を冠する2つの学校うちの1つですが、上記の「中央音楽学校」とは違うほうです。

これら「モスクワ音楽院付属~」という名を冠する2つの学校の名称は、実はロシア語ではまったく違った名称で、それぞれ書くと次のようになります。①が中央音楽学校、②がカプースチンの通っていたほうの学校です。

①Центральная музыкальная школа при Московской консерватории
②Академическое музыкальное училище при Московской консерватории

皆さんロシア語が読めますでしょうか。(笑)
本来は、「モスクワ音楽院」に付く正しくてもっと長い形容詞があるのですが(外国の音大は正式名称がやたら長いのが多い)、一応これが正式な学校の名称です。後半には「モスクワ音楽院付属~」とまったく同じ語が使われているものの、前半を見ると、①は通常の「学校」という語школаが使われており、②のほうは、やはり学校ですが中等教育を行なう学校という語のучилищеです。

歴史は②のほうが古いのですが、一般的には①の中央音楽学校(頭文字をとってцмш(ツェー・エム・シャー)と呼ばれる)のほうが有名かもしれません。そして①は多くの日本語の本の中で「児童音楽学校」と書かれることもあります。というのは、この学校は7~8歳から入って音楽の高度な教育を教わる10年制で、しかも音楽以外の一般教科も学ぶので、初等教育と言っていいのか中等教育と言っていいのかわからないからでしょう。もちろんどちらも含むわけで、この学校からモスクワ音楽院へエリートたちの教育は続いていくわけです。
この①中央音楽学校は、あのゴリデンヴェイゼル(晩年はモスクワ音楽院でカプースチンの先生でもありました)の主導で1932年に設立された学校です。(「中央音楽学校」という名前になったのは1935年。)当初はネイガウスやイグムノフなどモスクワ音楽院の名教授たちが一緒に協力する形で始まり、この中央音楽学校がモデルになって、その後ソビエト全土に24校の「特別音楽学校」が設立されていったということです。カプースチンが生まれた1937年にはレニングラード(サンクト・ペテルブルク)に次ぐ3校目としてウクライナのキエフにもすでに存在していたようで、ロシア(ソビエト)の音楽教育はこの頃からものすごく専門性が高かったことがわかります。実際このようなシステムの中で、多くの音楽家たちは育ってきたと言えます。

もともとはモスクワ音楽院が存在したわけで、ある時、「やはりもっと低年齢から音楽の専門教育を施す学校が必要だろう」ということで下へ降ろされてきたという経緯です。これ自体は、日本での音楽大学に付属高校などが存在するのとある部分似てはいます。
また、モスクワではグネーシン記念ロシア音楽アカデミーも有名です。このグネーシンの付属音楽学校もあります。今年は我が東京音大にもグネーシン・アカデミーのトロップ教授がまた来られるようですし、エリソ・ヴィルサラーゼなども来られる予定で、ロシアの現役教授陣は広く健在です。ピアノを勉強している人たちにとっては、偉大な作曲家たちとその膨大なレパートリーの重要性を考えると、ロシアはまだまだ勉強しなければいけない未知の宝庫のように思います。

ロシアに関しては今でもまだ日本語の文献が十分存在するとは言えないし、英語の文献を読んでも結局ロシア語の知識がなければはっきりわからないことが山ほどあるので、今後の好奇心旺盛な学生たちや研究者たちの活躍に期待がかかるところです。

雑記 : 10:22 : comments (x) : trackback (x)
カプースチン「まるわかり」講座

今年は数年ぶりにカプースチン公開講座を再開することとなりました。
特に現在ヤマハさんが相当な思い入れでカプースチンの楽譜を国内に普及してくださっているので、それにともなってカプースチンを上手く(楽しく?)弾くための公開講座(=ピアノ公開講座)の需要が出てきたというわけです。

まずは明後日3月30日(木)に船橋の伊藤楽器での講座です。
ぜひWebサイトを御覧ください。
http://www.ito-ongaku.com/info/info-15782/

カプースチンを弾くためのコツ、あるいは指導者に向けての知識的な部分を提供するということではこれまでと変わりませんが、チラシのテイストは少し以前とは変わりました(笑)。
私自身のカプースチン歴がもう17年とけっこう長くなってきたので、多くの作品に通じて頭の中がずいぶんまとまってきたし、カプースチンを弾く、あるいは教えるためのコツもかなり身についてきたように思います。そのあたりに加えて、講座では最近の新しい情報も交えてカプースチンについて語りたいと思っています。

現時点で今年秋あたりまでに日程がすでに確定しているカプースチン公開講座は以下のとおりです。

◆5月28日(日) 山野楽器(銀座)(14:00~16:00)
◆6月16日(金) ヤマハ横浜店(10:00~12:00)
◆6月29日(木) ヤマハ新潟店(10:30~12:30)
◆10月30日(月) スガナミ楽器町田店(10:30~12:30)

また、日本カプースチン協会主催としてこれまで数回行なってきた『カプースチン・フェスティバル』も、また参加したいという声があちこちから聞こえてきますので、おそらく開催は秋頃になるかと思いますが、今年も行われる方向で動き始めています。
詳細が決まったら、またこのブログでも告知していきたいと思います!

カプースチン : 17:43 : comments (x) : trackback (x)
濃い3日間でした!

久しぶりの投稿になりました。
この3日間、故郷の旭川に来ておりまして、縁あって旭川永嶺高校の吹奏楽局の定期演奏会で2日にわたって共演させていただく機会を得ました。吹奏楽のコンサートにピアノコンチェルトの演奏で呼ばれるというのは少々珍しいケースかとは思いますが、とても素晴らしい経験となりました。この学校は昨年から2校が統合されて校名が変わったため第1回定期演奏会ということでしたが、長年にわたり華々しい実績を作ってきた凌雲高校の吹奏楽局が母体で、その指導を続けてきたのが東京音大で私の2年後輩に当たる吉川和孝先生です。



約3時間に渡るプログラムはとにかく盛りだくさんで、吹奏楽というものがここまで進化しているとは私は知りませんでした。これほどまでに多彩なプログラムで、もう私は心の底から尊敬してしまいますが、それにしてもこのようにプログラムの表紙にまで私の写真を載せてくれるなんて光栄というのを通り越して少々恥ずかしいくらいです。私はオマケで十分だったのですが、それでも一緒にグリーグのコンチェルトを共演させていただき、2日間ともソリストアンコールまで弾かせてもらえたのは有難かったです。ちなみにアンコール曲は、1日目はラフマニノフの「アンダンテ・カンタービレ」(パガニーニの主題による狂詩曲より第18変奏)、2日目は吉川先生に乗せられて思い切ってカプースチンのトッカティーナ(作品36)を弾きました。

永嶺高校の吹奏楽局は、北海道でまだ数校しかやっていないという「ダンプレ(ダンス&プレイ))というものをいち早く取り入れ、非常にノリの良い激しいダンスとともに楽器を吹いたりするのですが、飛び跳ねながら吹いても全然音がぶれないし、もう圧倒的な迫力でした。さらに普通に演奏するだけでなく、ミュージカル、合唱、マーチングなどすべてを取り入れ、そのすべてが非常に高いクオリティで感動しました。実際、私は自分の演奏が終わったあと第2部を2日間とも観させていただきましたが、最後は泣いてしまったほどです。



この旭川市民文化会館は、私自身が小さい頃からずっと通っていたコンサート会場ですが、この1500人の大ホールで2回公演はもう毎年やっているとのことです。もう開場の1時間前から大勢の聴衆が並んでいたのが印象的でした。


水野雅文先生(左)と吉川和孝先生(真ん中)

水野先生は、私が旭川東高校時代の音楽部(合唱部)の先輩です。母校に赴任して合唱部指導をされ、一度はNコンの全国まで導きました。その時は私もNHKホールへ応援に行ったり、また旭川でのさまざまな大きなイベントの時には呼んでいただいたりするなどその後もずっとお世話になっています。今回もお互い忙しい中お会いできました。





それにしても、永嶺高校の吹奏楽局の皆さんは本当にパワフルで、朝から晩まで練習や打ち合わせ、そして寝る時間もないほどの準備が必要だったと思います。一人ひとりがプロ意識を持って取り組んでいると私は感じました。これからも応援していきたいです!

雑記 : 06:57 : comments (x) : trackback (x)
慣れれば「あがらなく」なるのか?!

ピアノを勉強している人にとっての永遠の課題というか、人前で演奏する機会が多い人にとっては、本番でいつもと同じ実力が出せるか出せないかというのは切実な問題だと思います。

ちなみに私自身、もし「あなたは本番では練習と比べてどのくらいの実力が出せていると思いますか?」と訊かれたら、たぶん長い間「50%くらい」と答えていたと思います。ようやく最近になってもう少しこのパーセンテージは上がっていると思いますが、それほど本番で力が出し切れないなといつも思っていました。実は私がそうだったのは、いわゆるメンタルな部分(精神的な動揺など)によるものではなく、多くはフィジカル(物理的なこと)な部分によるものが理由であったことが多いです。つまり、本番時に手に汗をかいて指が滑るとか(笑)、ピアノの鍵盤の感触やタッチが違うとか、自分の出す音がホールでは全然違うふうに聴こえて最初はなかなか調子が出ない、あるいは指がすぐに思うように動かない…などというようなことです。

ただ、どうやらピアニストの中には本番でも練習時とほとんど変わらないか、逆に本番でこそもっと実力が出せると思っている人もいると思います。そういう人はもう生まれながらの才能なのだというしかありません。

ただ、慣れというものは恐ろしいというか、嬉しいというか、本番経験を積めば積むほどだんだんメンタル面でもフィジカル面でも大きな問題が起きなくなってくるものだと思います。

メンタル面で「あがる」という人は、やはり異常に緊張している場合が多いと思いますが、その理由の第一位に来るのは、まず間違いなく「練習を完全に終えていない気がする」というものでしょう。つまり「今日の本番に間に合わせられなかった!」というあの感覚です。これは当日はもうどうすることもできませんので、本番直前にそう思った場合にはもう腹をくくって「ほどほどの演奏で良い」と割り切って弾くしかありません。実は偉大なピアニストたちだって、毎回の本番で完璧に弾いていたわけではなく、けっこう不十分な練習で本番に出ていたり、「かなり酷かった」などとあとで批評や本などでも書かれるほど悲惨だった演奏をしたという話もたくさんあります。そういうことを知れば少しは心も安らぐでしょう。

ただ、やはり練習、つまり準備だけは納得のいくところまでしっかりやっておくことが大事だと思います。特に現代の忙しい時代には、練習時間を確保することが難しくて困っている人が多いと思います(プロも含めて)。だからこそ、ここを優先的になんとか守り切るというのが第一。あとは、本番でどんな精神状態になっても明るくやり過ごせるように、普段から心の準備をしておくということも必要だと思います。
それから、自分が人前で「あがる」ということは自分がどう見られるかについて過剰なまでに意識しているということもあるかもしれません。まあ普通、人間は誰でもそうだと思うので仕方ないと言えばその通りなのですが、もう少し達観して音楽そのものに集中するとか、自分のことはあまり考えないとか、逆にこれまでたくさん経験を積んできたことに対して自信を持って本番に望むようにすれば、まあまあの結果を出せるのではないかと思います。少なくとも、慣れてくればもう理由なく「あがる」ということはなくなると思います。

本番前に呼吸を整えてステージに出れば、心臓がバクバク鳴るなどということは一切なくなるでしょう。私も演奏前にそういうふうになることはさすがに今ではもうありません。ただ、先日のバッハコンクールの表彰式での審査員講評の時に、事前に「私は今日は講評を喋りませんから(長くなるし)、他の先生方でお願いしますね!」と何度も言っていたにも関わらず、「審査員の先生方全員からひと言お願いします」ということで振られた瞬間に、はからずもステージ上でビックリして心臓がバクバク打ち始めたのを感じました。しかも心臓の鼓動が大きくなると、それを聴いてさらに動揺するものですね。(笑)
久しぶりにそんなことを経験して、「あがる」という気分を思い出してしまいました。加えてその日、自分が何を喋ったかまったく覚えていません。直前まで何も考えていなかったから当然ですが、悲しいものですね。何か良いことを喋ったような記憶もありますが、そうではなかった可能性もあります。(笑)

何事も準備が必要ということです。準備さえしっかりできていれば何でも「喜びを持って」こなせることと思います。
ただ、現実にはそれがなかなか難しいから困っているとも言えるのですが…。

ピアノ練習のヒント : 18:13 : comments (x) : trackback (x)
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