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アムランのコンサート

マルク=アンドレ・アムランというピアニストは一般にはどのように知られているのでしょうね。もし知らない人に一言で説明するとすれば、例えば「ブゾーニのピアノコンチェルトを日本初演したピアニスト」、あるいは、「カプースチンのソナタ2番を日本初演した人」(あと、メトネルのコンチェルト2番もありますね)など、今となってはいろんな言い方ができそうです。どれもすごい業績ですから挙げればきりがないほど形容詞はあるのに、そのわりには意外にまだ十分に多くの人には彼の真価が知られていないような気もします。

だいたい年に1度ずつくらいのペースでしか彼は来日しませんが、今年はコンチェルト2つでした。ブラームスの2番とショパンの1番で3夜あったわけですが、私は7日のブラームスだけ聴くことができました。もちろん彼は本来、知られざる曲の完全網羅ぶりやら超絶技巧、さらにそのさりげない作曲の腕前などでも尊敬されていたと思うのですが、今回のようなオーソドックスな演目での演奏会のみ、というような機会にも、ちゃんと本物のファンたちはみんな聴きに来ているのだなあ、と感慨深く思いました。

年に一度のアムランの演奏会がある時期に必ず集まるというカルチャーが出来上がっているといえます。いつまで続くのかわかりませんが、盆暮れの親族の集まりみたいに、「このメンバーにはここへ来れば会える」みたいなものがあります。私は本来、その外にいたはずなのに、そして今もその仲間に入っているという実感はないのですが、でもどうも引っ張られているかなーという事実もあります。まあアムランへの尊敬の念を持っていることは間違いないので、そろそろメンバーズカードをもらっても良いかもしれませんね。

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