Site Overlay

留学する意味とは?

クラシック音楽を勉強している人はよく留学をしますが、先日いろんなアマチュアのピアノ弾きたちも集まった会で、たまたまこんな素朴な質問を投げかけられました。「アメリカに留学する人もいますが、なぜですか?」ヨーロッパは本場だからわかるけど…ということだと思いますが、確かに不思議に思うのはわかる気がしました。特に今は日本に居てもかなり良い勉強ができますし、また英語留学でもないのに、なぜアメリカへ?ということです。

特にピアノを勉強する場合、「本場」という意味ではどこがそう言えるのでしょうか。正統といえるようなものを教えてくれるところはあるのか。だいたい過去の巨匠ピアニストの系列を考えたとして、その中で誰が正統派といえるのか、作曲家の作品を限って考えたとしてもそんなものはきっとないという結論に達するかもしれません。

ドイツやオーストリアで例えばフォーレを教えてくれない教授もいたりしますが、まあ一般的に若いピアニストたちが行く場所としては、ドイツ、オーストリア、フランス、ショパンのポーランド…くらいはすぐに挙がります。メジャーな作曲家が少し少なくなりますが、イタリア、スペイン、スイス、イギリス、北欧…、逆にメジャーな作曲家は多いのに留学生がまだ多いとはいえないロシア…などもあります。考えてみると、これだけでもかなり国際的に広い選択肢がありますよね。

だからアメリカだって、ジャズの国とも言えるけれども、クラシックを勉強するにも一定の意味を見出すことは可能だと思います。また、良い教授陣もヨーロッパからたくさん流れてきていて、活発なイベントもたくさんあります。世界中で、ピアニストや教師が国際的にあちこちの音楽院に散らばっていますし、各地で音楽祭も多く行われています。そういう意味でも、日本だけにいるよりも、外へ出たほうが豊富な経験が積める可能性はグンと広がると思います。

単純に、外国の先生や友人たちと直接に触れ合うことができること、そのために外国語を勉強すること。また現地の国の人や文化、歴史に触れたりする機会があって教養を深めるという意味だけでも、留学の意味は大きいでしょう。音楽の勉強といっても、奏法や解釈を学ぶのが目的ではなく、広く人間を理解し、歴史を知り、感性を養うということがあるわけです。こういう意味でも、一定の期間海外に出て貴重な経験をしてみるということはとても大切なことだと言えます。

上にスクロール
Translate »