ピアノの練習時間は、では何時間ぐらいが理想的かということですが、これはもう人それぞれというしかありません。子供の場合は、勉強時間のようにピアノも一日何時間(何十分?)と決めてやるのが良いかとは思いますが、無理なくやるのが良いでしょう。男の子などは(私もそうでしたが)、負けん気が強い場合は、親に言われてやるのはとても嫌だったりします。逆に、気持ちがなかなか乗らなかったり、意思がそんなに強くない(多くの人がそうかもしれません)子には、親が言ってあげなければ練習しない子もいるでしょう。でも、練習しないからといって、そんなに焦る必要はないのではないかと思います。どちらにしても毎週1回はレッスンがあって先生のところに行かなければいけないのだから、本人も自分が恥ずかしくないと思う程度には準備するでしょう。ただ、両親のどちらかがピアノの経験や知識がある場合は、練習につきあって一緒にやってあげることはとても助けになると思います。なかなか、一人でピアノに向うというのは難しいことだと思うのです。自分から弾きたいと思う気持ちが強くなってくると、自然にピアノに向うようになるでしょう。好きな時には、一日中弾いている日があっても良いと思います。
自分の子供の時のことを考えると、レコードを聴いたり生の演奏を聴いたりして感動したのがきっかけで、自分からショパンの曲などを弾いてみたいと思って、自分で練習し始めるようになりました。参考になるかどうか分かりませんが、私は小学校2年生までは、ピアノが弾けた父親に譜読みを手伝ってもらっていました。耳から曲を覚えるのが得意で、楽譜から音楽を起こすのはとても苦手だったのを記憶しています。ショパンに目覚めてからは、自分でも良い曲を作ってみたいと思い始め、確か小学校3年生の頃には簡単な作曲をしたりして楽譜に書き取るようになりました。いま考えると、楽譜が書けたのは、ピアノと一緒に聴音のレッスンも小学1年生の時からやっていて、それが功を奏したということなのかもしれません。(ただし、自分の作曲においては間違いだらけの記譜の仕方で、例えば、「シャープを3つ使う調性の曲を作っている」、ということを自分で発見したは良いが、ド・ファ・ソの順番に調号を書いたりしていた。)
私は、小学生の子供たちなどは「遊ぶのが仕事」という時期ですから、もちろん他の勉強もあるし、ピアノは楽しくやってほしいと思っています。中学生でもまあ同じでしょう。ピアノを弾くこと以外にも長所があったり、勉強もだんだん自分の興味のあるものに強く惹かれるようになっていく頃です。その年代になって、やはり音楽に一番強く惹かれるというのであれば、そろそろある程度の研鑚を積み始めるのが良いかとは思いますが、そうでないのなら他の勉強にも力を注いでほしいと思っているのです。プロの音楽家になる可能性のある人を含めて言っても、特に小学生くらいだと、練習する曲もそれほど長くはないでしょうから、そんなに大量の時間を毎日練習に当てる必要はないのであって、まあ毎日やるなら30分、又は1時間もやれば十分だと思うのです。(ただし、練習不足で先生に怒られたときに、「一日30分で良いと言われましたー」などと言われては困ります。稀には、小学生でも必ず一日2時間もやっているという人もいます。そういう人はもちろん偉いですから、これからも続けてほしいです。)