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ピアノを続ける理想的な方法

何事をやるにつけても、どうやってモチベーションを維持するかを考え続けなければ長続きしないものです。

今考えてみると、辻井伸行君の場合はその意味ではすごく理想的な状況が展開していました。いつも目標というものがあって、目的を持たないでピアノを弾いていた瞬間は少なくとも12年間なかったと言えます。
小さい頃は、毎回新たに挑戦する曲はいつもワクワクするものだったし、小1で小さなコンクールを受けた経験の次には、数段階もレベルの高いコンクールに挑戦したりしました。でも、コンクールはそれでいったんおしまい。あとはコンサートの経験、とりわけ小6からのリサイタル経験は毎年続けてきました。また、海外での本番の経験。それもいろんな国へ行きました。きっかけは決まったものではなく、その都度さまざまでした。もちろん、まだプロとしての仕事ではなく、次々に新しいチャレンジをして経験を増やしていったということです。行く場所も違えば、そのたびに気持ちはワクワクします。
また、中2の時にはオーケストラとの共演を行うようになり、新しい指揮者との出会いやプロ奏者との共演が始まりました。また、作曲や即興演奏への試み、トークコンサートの経験。そして小学生の時からのテレビ出演。しかも、時には収録ではなく生放送での演奏を経験します。
そのように、気を抜く暇もなく次々と新しい挑戦が出てきました。まったく隙間がありませんでした。これはある意味で上達への理想的な環境だったと思います。
その延長線上でのショパンコンクールへの参加。これさえも、最年少での出場という設定が自らのモチベーションを持続するのに大きな役割を果たしたと思います。どの挑戦も、もし違った形だったら気が抜けてしまったり、新鮮さを感じられないこともあっただろうし、飽きが来ることも考えられたと思いますが、彼の場合はそのようなことはなく、ピアノを続ける環境にはとても恵まれていたように思います。また、家族や周りの人によるモチベーション持続への協力もあったでしょう。

何かを本気で求めるのなら、こういう理想的状況を無理にでも自分で作ることがとても大事なように思います。もちろん忙しすぎたり、自分に負荷をかけ過ぎるのも良くないと思いますが、少なくとも、やる気がなくなったり、暇だと感じるような隙があってはいけないと思います。常に本気を出して励むためには、そのことが好きであること(勉強だったら好きになること)も重要ですが、目標を持つことや志を強く持つこと、そして「モチベーションを持続させるための工夫」に尽きると思います。

ピアノの勉強は自分との戦いのようなところもありますが、できるだけ楽しく続けていきたいものです。自分自身のことを考えると、本当は人と一緒に演奏する「コンチェルト」や「室内楽」をやりたくて、というか、そういうのが楽しそうなので子供の時はそれを励みにピアノをやっていたことをふと思い出しました。ところが、音大に入る頃には、知らず知らずのうちに、ソロで高みを目指すことが目標になっていきます。そしてピアニストというものは一度は孤立していく運命にあるのですが、やはり音楽は人とのふれ合いが原点ですよね。

さて明日は地元での例年のピアノ発表会があります。
→詳細はこちら(ゆかりブログ)

多くの人が真剣に取り組んで何かを披露する場所では、必ず良い刺激に満ち満ちていると思います。ぜひ皆さんご参集ください!

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