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10度音程はどう弾くべき?

先日のマスタークラスが終わった後に、カプースチンを弾いている方から質問された論点がありました。それは、楽譜に書かれている10度音程が届かない場合、それをどう弾いたら良いか?ということです。

確かに日本人の普通の手のサイズではまあオクターヴは大丈夫として、9度だとギリギリ届くかあるいは微妙、10度だとまず届かないと思う人が多いのではないでしょうか。私もどちらかと言えばそうで、9度や10度音程にはけっこう苦労しています。

それでカプースチンはどうやら手が大きいと見え、いろんな曲の中に10度音程が出てきます。奏者はそれをどのように弾いたら良いかで迷いますが、手が小さい人はその都度何らかの工夫をしていることと思います。

特にカプースチンの音楽はジャズと関係があることから、通常のクラシックのピアノ曲で見られる10度音程とは意味合いが違うことがあります。それは「ストライドスタイル」と呼ばれたりするピアノ音楽、またスウィングジャズの4ビートにもよく出てくるものです。例えば『8つの演奏会用エチュード』なら第7曲とか、『24のプレリュード』なら第17番や第23番など(もちろん他にもたくさんありますが)、あるいは『ビッグバンド・サウンズ』のような曲にもいくつも出てきます。このような音楽のスタイルでよく左手に10度音程が出てくるのですが、多くのジャズピアニストは10度音程などは普通に届くのだと思います。ジャズ史ではかなり古い方に入るアート・テイタムあたりから10度を軽々と(もちろん同時に)弾いてしまうスタイルがとても目立ちます。

その類の音楽では左手にはやはり10度の独特の響きが必要になるので、例えば上の音を抜いたりすることはできませんし、自分が弾ける音程にするために上の音をオクターヴ下げて3度にしたりしてもおかしいわけです。それでなんとかアルペジオ奏法などで切り抜けるわけですが、10度の伴奏型で長くビートが続く場合は音がバラバラして収拾がつかない感じになったり、リズムにも大いに影響が出たりします。

それではカプースチンの曲で10度音程が出てきた場合はどのように弾くのが良いでしょうか?
私が考える優先順位を以下に挙げます。皆さんの参考にしていただければと思います。

♪10度音程が届かない場合…
①アルペジオにして弾く(=最も一般的な方法。場合によってはかなり素速いアルペジオにする。)
②なるべく二つの音を同時に鳴らしたいので、左手だけで無理ならなんとか音楽の流れの中で右手で取ることができないかも考える。10度音程が複数ある場合、右手で取れる場合は1つでも多く取ろうと試みてみる。
③前後のリズムに影響が出ない範囲で音を抜く、あるいはわからないように上から下へばらして弾く。その場合も10度の響きがちゃんと聞こえるように。)
④あとほんの少し指を伸ばせば届くかもしれないという場合は、長く練習しているうちに届いてしまうこともある。(あるいは手首の角度などの発見で解決することもある。ただし多くは短10度の場合と白鍵のみの10度になります。)
⑤それ以外の型破りな弾き方もあります(笑)。ここからは実践でアドバイスするしかありませんが。(なんとしても10度音程の響きを実現したいのです。)

でもカプースチン自身も「広めの10度」は届かない(同時に弾けない)ケースもあるようでした。
実は「10度音程」にも大きく分けて3種類、細かく分けるともっと種類があるのですが、それは生前のカプースチンとやり取りをしている時にあらためて意識しました。

以前ブログでカプースチンからのメールを一通ずつ紹介していましたが、まさにこの10度音程についてカプースチン本人とやり取りをしたメールの投稿記事がありましたので、それを以下にリンクしておきます。ぜひこのトピックも参考にしてください。

カプースチンとの有益で生々しいメールのやり取りはたくさんあって、そのほとんどはまだ公開していないことを思い出しました。また随時公開していきたいと思っています。

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