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紀平君とカプースチン

4日ほど前に、日本テレビ『スッキリ』に紀平凱成(きひらかいる)君が生出演してカプースチンを演奏したのですが、放送がちょうど先日の自分の紀尾井ホールのコンサートの翌朝だったので事前に告知するのをうっかり忘れてしまいました。

でもきっと観られた方も多かったと思います。

朝9時過ぎに生出演して、カプースチンのエチュードを一発で弾くというのだから緊張したことかと思います。しかし、実際には本当に申し分のない演奏でした。私もリアルタイムで観ていました。もうこれでカプースチンの『冗談』(「8つの演奏会用エチュード」の第5番)を彼は3回ほどテレビで演奏しましたでしょうか。テレビの生演奏でのカプースチンのエチュード披露は、私が記憶する限り、ずいぶん昔の辻井伸行君が弾いた第2番『夢』以来かもしれないと思います。その頃はまだカプースチンという作曲家自体がまったく知られていなかった時期です。楽譜も出版されていなくて、たまたま私が持っていたから演奏が実現したということがありました。

先日の私たちが演奏した紀尾井ホールでのコンサートでも、ラストのカプースチンの四重奏曲が一番インパクトを与えたように思います。紀平君もカプースチンを世界に広め始めていますが、おそらく多くの皆さんには意外であろうことに、私がカプースチンを弾かせているわけではなく、どちらかと言えばカプースチンが私と紀平君を合わせてくれたという訳なのです。3年ほど前の「カプースチン祭り」で彼に初めて出会った時、現在のこのような展開はまったく予想もしていませんでした。

辻井君が今世界のあちこちでカプースチンのエチュード第1番『プレリュード』をアンコールなどで披露して、どこで弾いても大拍手の渦だそうですが、もはや私の預かり知らぬところでカプースチンが広まってくれるのは嬉しいことです。その辻井君に、先日さっそく紀平君の存在をインプットしてきたのですが、彼はそれを聞いて感嘆していました。

さて、紀平君は来月初旬に浜離宮朝日ホールで、いよいよ東京のメジャーなホールでデビュー・コンサートを行うのですが、前回の番組の影響でしょうか、550席のチケットはもう完売ということです。皆様方にはまたの機会を楽しみにしていただければと思います。(私としてはゆっくり粛々と世の中に出て行ってほしいと思っているのですが…。)

とは言え、一部テレビなどで披露された即興演奏や作曲の能力など、あれは本物の才能ですので、これら全部を伸ばしながらオリジナリティあふれるアーティストになってほしいと思っています。彼について書きたいことは山ほどありますが、それはまた次の機会ということにいたしましょう。

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