まだまだ引っ越しネタが続きますが、今回すべての荷物の中で分類・整理するのに一番困ったもの、それが何かといえば、コピー楽譜でした。
テープで簡単に製本しただけのコピー譜は、背表紙や表紙がないから一見してすぐに何の曲かわからない。しかもだんだん汚くなっていくし、存在感がどうしても薄れていきます。これが楽譜であれば、どんなに増えてもそれほど古くならなければ本棚に綺麗に立てておくことができます。コピー譜はとにかく見栄えが悪いから人目に付く所には置くこともできない。かと言って、取り出しづらい場所に閉まっておくと、あとでアクセスしたり検索することさえできなくなるからほとんど役立たない、というわけです。
コピーでしか手に入れられない貴重なものは仕方がないですが、楽譜で出版されているものは、ちゃんと楽譜で持っていた方が大きく得をするということにあらためて気がつきました。20〜30年にわたる実験結果です。
だから、ピアノのレッスン等でも最近は皆さんコピー譜を使うことも多いでしょうが、そのコピー譜にせっかくいろいろ書きこんでもそれは将来ほとんど役に立たなくなるであろうことを予言しておきます。とにかく、コピー譜というものは量がたまるばかりで分類・整理・アクセスに大変困るものです。重ねておいても立てておいてもどうにもならないのです。しかも増えれば増えるほど困る。結局、貴重なもの以外は全部捨てることになってしまいます。
それに比べて楽譜は財産です。大切に使えば何十年でも残しておくことができます。
先日、北海道の実家に寄った時に、納屋の中に自分が小学1年生から使っていたハノンの楽譜を見つけたので大切に持ち帰ってきたのですが、最後のページ(60番のラストページ)を見て笑ってしまいました。ハノンが書いた「おわりに」の数行(真の演奏家を志す人は毎日一定の時間60曲を通して弾かねばならない…云々)の文章全体に、いかにも小学生が書いたように太い青鉛筆で不器用にアンダーラインが引いてありました。自分でもすっかり忘れていましたが、その頃からピア二ストを目指していたのだなあ。(ちなみにこれをすぐには実行しなかったが[:にかっ:])