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プロデュース能力

音楽大学で勉強しているような人は、ただ「音楽が好き」、「演奏するのが好き」という人が多いと思うのですが、やはりこれからはプロデュース力も大事です。

楽器を一生懸命練習することももちろん大切ですが、ただ与えられた曲を練習して、与えられたことをやっているだけでは、仕事ができる人材、社会に必要とされる音楽家になるのは難しい時代だと思います。
しかし、例えば一つコンサートを企画するというのも、ゼロからやるのは大変な努力が要ります。経験も必要ですし、すぐにできることではありません。音大では、興味のある学生にはそのようなマネジメントを勉強する機会も皆無ではありませんが、ただ、あまり重視されているようには思えません。ですから、一人一人が「何か新しいものを生み出そう」と自分から思うことは大事だと思います。

その意味では、先日7/14の記事で紹介した学生たちの活動などは重要な意味を持つと思います。彼らは、もう1年以上前にグループに名前をつけて活動を始め、老人ホームでの演奏等から始まり、学校コンサートその他のイベントで演奏の場を作って多くの人の役に立っています。現在はボランティアでの演奏が多いようですが、とても喜ばれ、これがきっと大きな動きに発展していくことでしょう。まったく何もないところから自分たちで行動を起こした結果、協力してくれる人が集まったということです。

プロデュース力は、簡単に身につけられるものではありませんが、誰でも何かを生み出すことは可能だと思います。「何もないところから何かを生み出す力」です。特殊な才能を持っている人は、音楽を作ることができたり、詩を書いたり、絵を描いたり、物を作ったりできる人もいるでしょう。これは立派な創造物です。また、商品を作ったり、番組を作ったり、イベントを作る…という人もいます。何もないところからこういうものを企画をするのがプロデュースということです。もっと言えば映画を作ったり、さらには誰も見たことも聞いたこともないようなものを生み出したり…。

学生のうちから、できれば高校生や中学生の頃からそのような発想を持っていると良いでしょう。プロデュース力を磨く前に、当然まずは学校での勉強をいろいろしなくてはいけないでしょうが、それを基礎にして、何ができるか発展的に考えていくことです。例えば、お互いある才能を持った人同士のコラボあたりから始めるのも良いでしょう。これは自己プロデュース力を含む形になります。音楽でも何でも良いですが、それを発表する場を作ること、そして宣伝をして人を集めること。これだけでも立派なプロデュースです。
これがもっと大きくなると、ホールを借りるとか、経費をどうするかとか、多くの協力者を得てより大きなイベントを考えていくということにつながっていくでしょう。良い人間関係もとても大切です。

そういうことができるようになるためには、いろんなイベントを多く見聞きすること、人の多様な個性を理解することや才能を見抜くこと、それから、現実的に何にどれだけお金がかかるのか、などの具体的な計算ができたり、多くの情報を持っておくことが必須です。また、あらゆる意味でのバランス感覚も必要でしょう。
少なくとも、物事を作っていくプロセスが最後の部分まで大雑把に見えていなければ、行動にまで移れないものです。自分のわからない部分がたくさんあるうちはまだ無理ですが、知識がある程度勉強や経験によって増えてくると、小さなことから実現可能になってきます。そして実現すれば大きな達成感が得られます。
特に音楽をやっている人は、どんな分野の仕事を目指している人であれ、そのような考え方が今後はとても重要になってくるのではないかと思います。

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