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2つの楽章からなる協奏曲Op.30

この曲は、この9月30日にカザルスホールで演奏する予定のカプースチンの作品です。今回は、4手のための編曲版を演奏しますが、もとはオーケストラのために書かれた曲でまだ世界のどこでも演奏されていません。

ついに先日、作曲者自身によるオーケストラ用に書かれた原曲スコアを手にしました。演奏する前に届いて本当に良かったです。

それにしてもすごいスコアです。
1ページ30段(!)の楽譜で、全ページそのまま30段分の楽器パートが続いていきます。通常は音の少ないところで演奏していないパートは五線が省略されるケースが多いのですが、この曲はほとんどすべての楽器が常に必要というわけなのです。
オケのスコアはやはりピアノ用の譜面の数十倍の情報量がありました。これに目を通しておくのと通さないのとでは雲泥の差だと思いました。

例えばハープやギターが入っていること、そしてカプースチンらしくビッグバンド風にドラムやピアノも入っている編成です。打楽器にはドラムだけでなくティンパニやトライアングルも使われるし、木管・金管楽器だけではなく弦楽器セクションもしっかり使われている…と、まあ言ってみればフルオーケストラです。こんなことも楽譜を実際に目にしてみなければ分からないことです。
例えばこのメロディーはオーケストラでこの楽器で演奏されている、というのがわかると、ピアノで演奏する場合の奏法もまったく変わってきます。聴いた印象もガラリと変わるでしょう。
それにしても、まだ誰も演奏していないというのに、どうしてこんなに綺麗に清書されたスコアだけが存在しているのか…。

このスコアを参照して、今回演奏するピアノ版の楽譜にオリジナルの楽器の割り振りを書き込みました。けっこう大変な作業でした。
カプースチンはオーケストラと活動していた時代にオーケストレーションを独学ですべて学んだと言っていましたが、この楽譜を見てそのスキルは本当にすごいと思いました。
もう一つ言えば、ピアノ4手用の編曲もあらためて見るとすごく精緻に出来ています。本当に頭の良い人なのですね。

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