Site Overlay

プロの演奏家になるためには

音楽家になりたい人へ、専門的なこと以外のスキルについて書きましたが、それ以前にやはり専門的な能力のほうがはるかに大事ですので、演奏家になるために大切な専門的能力についても書いてみたいと思います。

◎楽器を高度に操る能力
まず自分の楽器が自由自在になることが必須です。これが第一です。これなくしては何も語れません。そのための研鑽を積むことを決してやめないことです。ものすごく長いスパンでやっていかなくてはいけないことなので、これが意外に難しいことです。もうこれ以上はダメかなと思う瞬間が何度でも現れますから、長く続けられることも才能の一つです。

◎音楽への専門的知識
知識的なことは、楽器の演奏に直接結びつかないように思いますが、それは違います。ある音楽を深く理解すればするほど、演奏の質は変わっていきます。それは表現の確信にもつながります。

音楽は本来、自分の中から流れ出てくるべきものだと思いますが、クラシック演奏家の場合は、作曲家が書いた通りに演奏することが求められます。だから、自分がその作曲家その人になったような気持ちになるところまで深く掘り下げないといけないのです。
どうやってこの音楽が生まれたのか、その一音一音が存在する理由を100%に近いところまでわかっていなくてはいけないと思います。

◎アガらない能力
これは、ステージに上がって何かをしようと思っている人には、必ず解決しなければいけない問題です。人前で本領が発揮できるかどうかは、性格によるところもある程度はあるかと思いますが、やはり解決していける問題です。

やはり音楽家たるもの、やはり繊細な部分も持っているものです。少々アガるのは当たり前です。ステージ上で普段とまったく違う状態になってしまう人もいますが、一生そのような状態が続くことはないでしょう。
およそ本番なんて完璧にはいかないもので、それでよしとしなければいけません。でも人のステージを見ているとなぜか完璧に見えるものですし、実際、本当にあまりアガらないと言い切る人もいます。でも、アガる人は、そういう人とは同じようにはいかないと思って良いと思います。他の自分の強みを磨いていくうちに、この部分はきっといつか克服されます。あとは経験を積につれて必ず楽になってくる瞬間が訪れます。

また、「今日は全然アガらずに集中して弾けた!」と思っても、聴衆からはあまり良い演奏ではなかったと言われることもあるし、逆に、すごく舞い上がって何を弾いたか覚えていないというステージでも、「すごく良かった!」と言われることもあります。悲しいけれどもそんなものなのです。すべてが、自分の思っているとおりにも、狙ったとおりにも人は反応してくれません。なので、あまり結果は完璧を求めないくらいでちょうど良いと思います。

◎体力
プロの演奏家に一番大事なものがこれです。この「体力」は、絶対必要条件です。これをあえて音楽家が必要とする専門的能力の一つに入れたいと思います。
体力がなければいざという時に負けてしまいますし、長く良い活動を続けることもできません。悔しいですが、技術よりも体力のほうが大切です。ピアニストの人たちは口をそろえて皆そう言うので、多くの人が切実に感じていることなのでしょう。普段から自分を体力的に鍛えあげてなくてはいけません。これをやっていないとすぐに辛くなってくるでしょう。

上にスクロール
Translate »