昨日は渋谷のイープラスカフェにて紀平凱成(きひらかいる)君の20歳の記念のコンサートライブが企画され、私たちは午後の部を聴きに行ってきました。


写真は開演40分前ほどの様子
私がここへ来るのは実は初めてだったのですが、会場の雰囲気を含めてピアノのライブを実体験できました。
通常のコンサートホールでの演奏会とは違います。カフェですから、聴衆は飲食をオーダーして楽しみながら音楽を聴くという設定です。
凱成君もピアニストとして人気が出てきました。本来なら満員になるはずのイープラスカフェですが、コロナ感染対策のために今は客入れは半分だけ。聴くほうとしては広々としていて気分は良いですが、少々もったいない感じはありますね。まあ昨日も昼と夜の2本公演で、曲はカプースチン+自作+アレンジもの+クラシックという、まあピアニストの出し物としては少々異例かもしれませんが、こういうパターンで売っていくようなアーティストも今後増えていくことでしょう。
なんと言っても凱成君の本領というかオリジナリティは、アレンジと作曲の部分に強く出ていると思います。誰にも真似ができない部分を持っているというのは本当に強みになりますね。私は彼にピアノを指導していますが、クラシックの基本や演奏法、あるいはカプースチン、その他いろいろ教えることはできますが、彼自身の中から出てくる音楽のオリジナルな部分はさすがに指導できません。作曲やアレンジの独特なセンスには、これまで聴いたことがない、確かに誰も持っていないと思われるものを彼は持っていると感じます。

楽屋にHAPPY BIRTHDAY 20と飾られており、楽屋自体がアートでした。マネジャーさんの心遣いとセンスでしょうか。
今の時代に生きる凱成君は、もう生まれた時からあらゆる種類の音楽に触れていて、もちろんジャズもクラシックも分け隔てなく、世界中の同時代の新しい音楽を聴いて育ったことでしょう。すべてがミックスされている時代です。そこから出てくる音楽なので、当たり前のことですがチェルニーばかり弾かされていたような私などには真似のできない革新的な音楽性を持っていることを強く感じます。
カプースチンが生きていた頃、私は作曲者自身に楽譜の中の音であまりに自分が理解できない音について、失礼かと思いつつ「この音、本当に合っているんですか?」などと訊くことがあったのですが、よく彼は「そうだよ」と答えていました。それを聞いてもまだ「信じられないな」というくらい私にとっては斬新な音だったりするのですが(どうハーモニー分析しても理解に苦しむという類の)、同じ質問を凱成君にも何度もしたことがあります。そのたびに、彼もやはり「そうだよ」と言うので、ただの不協和音でないことだけは確かなのですが、ひょっとして「やはり天才かな?」などと思ったりよくしました。(笑)
彼の才能が本当に今後大きく花開いていくかどうか、とても楽しみです。
次に彼が出演するコンサートは、2月から延期されていた4人の人気の若手ピアニストによるサントリーホールでのコンサートで、5月3日(月・祝)に行われます。出演者はほかに角野隼斗さん、高木竜馬さん、大井健さんです。確かに見逃せなさそうなメンバーですね。オリジナリティあふれるコンサートになりそうです。詳細情報は「スタクラフェス」と入れて検索してください!