昨夜のNHKの辻井くんの番組を拝見しました。
番組では、もちろん先月のカーネギー・ホールでのリサイタルも取り上げられていましたが、今回は彼の作曲活動の部分にスポットが当てられていたという意味で、珍しいというか、ある意味初めての試みだったと言えるでしょう。秘密だった部分もあったかと思います。
カーネギーで彼が演奏した映像としては、アンコールの自作品「ジェニーへのオマージュ」作品1のみに限り、そのことに関連して一番重要だと思えるのが小学6年生の時の台湾のリサイタルでのアンコール曲なのですが、その映像を初放映したあたりにもディレクターのK氏のこだわりが感じられました。あの演奏は(一部でしたが)辻井くんのこれまでの数多い番組の中でも初めて公開されたと思うのです。さすがです。というのは、彼が今回アメリカの作曲家フォスターのメロディーを用いて作曲したことに、明らかにあの10年前の台湾のリサイタルで経験したことが繋がっているからです。
既存のモチーフを使っての作曲が彼にとって難しいこととは思えませんが、今回の番組で加古隆さんから与えられた作曲法のアドヴァイスの中の「左手を封印する」という言葉にこだわり続けたのも、ひょっとしたらK氏のこだわりではなかったかと私は推測しています。(笑)
つまり作曲するのに、ギリギリの状態に追い込むまで彼に左手の伴奏を弾かせなかったのはディレクター氏ではないかと。決して「ヤラセ」ではなかったと信じていますが、私には伸くんを見ていて少々痛々しくは感じました。
それでも、すべてを肯定的なプロセスとして自分のものにしてしまう伸くんの手腕には相変わらず感動してしまいます。終わり良ければすべて良し、というか、逆にそのプロセス自体が必要なドラマだったようにさえ見えました。さすがはK氏という言い方もできるでしょうか。
さて、話は変わって年明けのカプースチンイベントですが、まずお伝えしているように1月7日(土)にヤマハ池袋店でpiaNAによるデュオがあります。そして翌月には、2月5日(日)にカワイ表参道『パウゼ』にて、オールカプースチンのコンサート形式のイベントを行います。この日は、ピアノ協奏曲や未発表の初演曲も含めたプログラムになる予定です!
詳しくはまたお知らせいたします!
カプースチンの楽譜は、今回の『シンフォニエッタ』のほかに、来月さらに新刊として「ピアノ協奏曲第4番」や「6つの小品(作品133)」がプリズムから次々と発売されます。最新のプリズムのチラシに新情報がたくさん載っておりました。チラシは1月7日にヤマハでもお配りしたいと思います。現在のところ、カプースチンの楽譜出版ではまだ日本が世界を大いに引っ張っていますね。この勢いでこれからも発信していきたいと思います。
それでは、今年もあとわずか数時間になりました。
どうぞ皆さん、良いお年を!!