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今年(2021年)1年を振り返って


大晦日になりました。
コロナ禍という特異な状況でほぼ2年が経ちましたが、世界の様子はパンデミックに入った当初からあまり変わっていないようにも思います。こんな中でも11月頃には海外では大きな国際コンクールがいくつか行われたりして人の移動は一部あったことは確かですが、観光などはまだ普通にはできない状況のまま2022年を迎えることになりました。
私などもイタリアの音楽祭やマスタークラスに今年は3つほど招待されていましたが、残念ながら2年連続でヨーロッパには行けませんでした。やはり隔離や自粛のルールが撤廃されない限り、基本的に海外はまだ行けないと思っています。もちろん絶対に行けないというわけではないですが、いろんな話を聞くとリスクはまだ相当大きいと感じています。

辻井伸行君などは(先日話したのですが)、このコロナ禍で約2年の我慢の時を経て、ついに先月海外(パリとミラノ)での公演が実現して無事に帰って来たようです。でもアーティストによってはイベントが数日前に突然中止になったり、水際対策のルールが急遽変わって空港に着いた日に自粛期間が延長されたり、あるいはイベントに参加できなくなってスケジュール変更を余儀なくされたような経験をされている方も多いと思います。

自分自身の今年を振り返ると、どちらかと言えば演奏活動はかなりおとなしく、いくつかのテレビ番組や講演会、演奏会で演奏したりしましたが、当初は3月末に予定していたカプースチンのCD録音が、ホールのピアノのハンマー総入れ替えのハプニング(?)のため延期になったのをきっかけに、カプースチン全曲録音はいったんストップしています。
実はだいたい1枚のカプースチンの新しいCDをリリースするのに、どう計算しても練習時間だけで毎回400時間以上は費やしています。これだけの時間を捻出するのはなかなか大変です。毎日3~4時間弾いて4か月ほどかかる時間です。これだけの時間があったら何か他のことができるのではないだろうか(笑)とも思うことはあります。まあそれとは関係ないかもしれませんが、今年は大学やプライベートの生徒もずいぶん増えて、とにかくレッスンをたくさんした年になったように思います。

来年2022年はまた少しアクティブに活動していこうと思います。
もちろんコロナはまだどうなるかわかりません。今はまだ慎重に物事を見ながら判断していかなければいけないことも多いですが、日本と世界の状況を見ながらできることを一つ一つ積み上げていくことが大事な気がします。

ピアノを取り巻く環境は最近何かが変わってきているように思います。コロナ禍と関係あるかどうかはわかりませんが、ピアノ人口は実は増えてきているのではないでしょうか。最近は日本中に散見されるストリートピアノで素人かプロかわからないような本格的な演奏を聴くことも多いし、やはりピアノという楽器の魅力は普遍的なのですね。クラシックが今後どうなっていくのか、という根本的な問題よりも、音楽のジャンルはさまざまに交差するのが当たり前の時代に入ってきたし、そこに無限の可能性も出てきたと思います。作曲できる人、ジャズが弾ける人、即興演奏ができる人など今後どんどん増えるでしょう。ユーチューバーたちも活躍しているし、特に若い世代に特異な才能を持ったピアニストがたくさん出てきました。この現象は新しいと思います。音楽の行く先はきっと明るいのではないでしょうか。

今年も一年間、ご苦労様でした。
来年も多くのアイデアを出し、みんなで力を合わせて新しいものを創っていきましょう!

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