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昨日の「報道ステーション」

テレビ番組に辻井伸行くんが登場する場合、今までは親しい人や生徒さん関係にもあまり事前に知らせることはなかったのですが、これまでもう大きなニュース番組や生出演だけでも10回以上は出演しているのに、私の生徒でも一度も見たことがないとか、「教えてくださいよー」と言われることが多かったので今回は知らせてみました。すると今度は、番組が始まってから「まだですかぁ?」のメールが携帯にいくつも届くという事態が…。(笑) ニュース番組というのは、本当にいつ話題が変わるかわからないのでずっと見ていなければなりませんからね。ちょっと苦痛だったかもしれません。ゴメンなさい。

だからあまり知らせなかったというのは、テレビ番組の予定というのは、決まっていてもよく変更になるから確実なことは言えないという理由もあります。ニュース番組のような場合は、確実な時間はテレビ局の人も直前までわからないんです。

そんなわけで、何が放映されるのかについても私もあまり知らされていませんでしたが、ショパンコンクールの情景は思ったよりも長かったですね。昨日の番組はもちろん辻井君にスポットが当てられた内容だったわけですが、限られた時間ではうまく伝わらない部分があるのは仕方ありません。でも、それにしてはコンパクトによく描かれていたと思いました。いつもテレビのドキュメンタリーの出来上がりには感心してしまいます。

昨日の放映では、おそらく専門家の人が見ていたら「あれ?」思われるかもしれないところが2箇所ほどありました。
一般の人にとってはたいしたことではないかもしれませんが、彼が2次予選で「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」を最後に弾いて拍手があったように描かれていましたが、あれは編集されていて、私が見てもわからないほどです。実際には、ポロネーズのあとに続けて4曲のマズルカを弾き、そのあとにソナタ3番という順番で演奏していて、最後の曲を弾き切るまで一度も拍手はありません。ショパンコンクールでは1次予選と2次予選で演奏する50〜60分のプログラムは切れ目なく演奏され、基本的に曲間には拍手はありません。昨日の放映では、辻井君のポロネーズのあとに拍手があったように編集されていましたが、実際にはソナタまで続けて弾き、見事に弾き切ってソナタの終楽章の最後の和音が鳴り止まないうちに割れんばかりの拍手があったというのが事実だったことを彼のために言っておきましょう。昨日の映像だと、ちょっと拍手は「パラパラ…」にも見えなくもなかったので「おかしいなー」と思っていました。だから、注意して映像をもう一度見てみると、途中のカーテンコールのところから拍手が突然強くなっていることがわかります。テレビの流れの中では特に不自然でないので誰も気がつかなかったでしょうが…。きっと、あのポロネーズには彼の特別の思い入れがあったということをディレクターの方が知っていてくださって、それを描きたかったということなのだと思います。

もう一つは、これもたいしたことではありませんが、Op.10-1のエチュードが難曲と紹介されていましたが、それを言ってくださるなら、彼がそのほかにあえて選んだもっと難しい2曲のエチュードOp.10-2といわゆる“三度のエチュード”Op.25-6のことも言ってほしいと専門家の人たちは思うのではないかと思いますが(笑)、まあそのあたりも番組の作り方というものがあるのでしょう、確かに10-1もコンクールでは大変難しい曲の一つでもありますから演奏者にとっての緊張は大きかったことは事実だと思います。

でも振り返ってみて、「本当に行ってきたんだなー」と今ごろ実感がこみ上げてきているところです。すごく大変でしたが、でも辻井君の様子もほとんどいつもと変わりなく屈託のない様子が描かれていましたね。

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