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初演は楽しい?!

前々回のブログで紹介したJoshua Chandra君の新曲「グランド・ワルツ」の楽譜は本人によって公開されました。なかなか良い演奏会用の作品なので、興味のある人は以下の彼のサイトからダウンロードしてみてください。ほしい人はどなたでもどうぞ!、とのことですので。

http://www.joshuachandra.com/

“Works”のところから入って、曲名のところをクリックするとpdf.ファイルでダウンロードできます。
私が「あの日の演奏すごく良かったですよ。本当におめでとう!ぜひ近いうちに楽譜を読んでみますね。」と言うと、「アジアで初演してもらえることを思うと今からワクワクします。」という彼らしいコメントでしたが、楽譜の冒頭にけっこう長い序文があって、作曲の経緯などが書いてあるのですがその内容もとても興味深くて面白いです。一端の作曲家になりきって書いているあたりが好きですね。すでに彼はコンポーザー=ピアニストの道を歩み始めたと言っていいでしょう。

初演といえば、私はいよいよカプースチンのピアノ協奏曲第6番の譜読みに取りかかっているところです。この曲は世界のどこでもまだ演奏されてないので楽譜しか頼りになるものがなく、譜読みはなかなか大変な作業です。オケスコアとピアノ譜の両方を持っていますが、手書きですので不確かな音やリズム、作曲者の書き間違い(あるいはそうではない?)と思われる箇所、読みにくい箇所など数十箇所ほどはありそうです。もう演奏会本番の日は2013年3月12日(紀尾井ホール)と決まっているのですが、はたして間に合うのだろうか、と思いたくなるほど難しそうです。ちなみにこのコンチェルトの作曲年は1993年です。

先日6月にカプースチンのピアノ協奏曲第4番を弾いたのも日本での初演ではありましたが、アンゲロフが数年前に世界初演をしてくれていて音源が存在したからずいぶん楽でした。今度はまったくどんな音楽さえわからないので、作曲家の意図を解読しながら音を読んで作り上げていく、しかも、それを初めて演奏するオーケストラともその作業をある程度一緒にしていかなくてはいけないでしょう。先日のように「リハ1回だけ」で本番を迎えることはさすがに不可能な気がしています。とにかく、今のところまだ全体像がわからない状態でやっている(新曲なので仕方ない)わけですが、ひょっとしたら凄い曲かもしれません。そんな曲が20年間も放置されていたのですから、作曲家はどんな思いなのでしょうかね。とにかく、新しい曲を一曲一曲公開できることは演奏家にとっては本当に楽しいことです。

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