最近発売された楽譜とCDを紹介します。
一つ目はヤマハミュージックメディアから発売された「オシャレな響きのクラシック」という楽譜です。

収載曲はカプースチン、ラヴェル、ドビュッシー、ガーシュイン、ラフマニノフからの小品で、カプースチンのみは原曲どおり、他の曲は作曲家の先生方により少し簡単にアレンジされています。面白いコンセプトでまとめられた楽譜だと思います。
カテゴリーとしては「近現代」でフランス、アメリカ、ロシアが混じって入るのですが、「オシャレな響きの」クラシックという一つの共通点を持っています。実は、ラヴェルとガーシュインが没した1937年にカプースチンやアシュケナージが生まれているので、世代としては入れ替わりでカプースチンは完全に「現代」に括られるはずなのですが、このように一緒に「近代」っぽい感じで収まる作曲家になってきたわけですね。
この曲集の中では、当然ながらカプースチンのエチュードだけが難易度としては突出して高いと思われますが、もう難易度を気にせず取り組める曲(ショパンのエチュードも難易度は最高だが普及している)として認知され始めたということですね。日本ではひたすらに難易度を気にする学習者は多いのですが、本来は楽しめれば良いのです。カプースチンは速いテンポで弾けなくても大いに楽しめます。
2つ目のアイテムは、発売されたばかりの辻井伸行のCDモーツァルト・アルバム。

さっそく聴いています。
音楽雑誌をたまたま見ていたら良い批評が出ていたので少し気になっていたのですが、やっと聴けました。彼にしか演奏できないモーツァルトが確かに奏でられています。このCDでは彼の演奏の良さがはっきり出ているのですが、それを実現するのはライブでない限りなかなか難しいこともあるのですが、このCD録音ではそれが実現できていると思いました。録音技術者もプロデューサーもかなり高いレベルなのだと思います。
辻井君に関しては、自作自演の音源も楽譜も普及していますが、楽譜はヤマハミュージックメディア出版でかなり網羅してくれています。最近の映画等のテーマ曲やもっともっと若い時に作った古い曲も含めて数年前から楽譜化されていて、最近では子供たちの発表会でも取り上げられるようになってきました。私も彼を教えている時代に、彼が作曲した「ウィーンの街角」など、いくつか自分で採譜した楽譜もあります。
彼は、作曲の才能も演奏の才能も、無理せず自分のペースで一歩一歩着実に磨きをかけ、そうしているうちに時を経て本当にすごいところまで来ることができた、という感じです。そのやり方が成長の王道ではないかという気がします。勉強の発展途上ではいろいろ誤解を受けることもあります。でも、決して焦ることなく、人にどう思われようとも自分のペースを守りぬくことがいかに大事かということがわかりますね。