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バッハのピアノ(クラヴィーア)曲

世界中のピアノ学習者がとても頻繁に演奏する、あるいは、必ず勉強するというピアノ曲レパートリーというものを考えてみたいと思います。ピアノのための音楽は今も増え続けています。もちろん同時代の作曲家による作品も出版されていきますが、過去の埋もれていた作品が発掘されるケースも多くなりました。いろんな条件が重なって、今まで誰も知らなかったような作品にまでアクセスできるようになりました。

ただそういう時代ではありますが、その中で誰もが名曲とみなして演奏し続けている作品、これは世界のピアニストたちがよく演奏するレパートリーと一致しているわけですが、それはかなり限られた範囲に収まります。その中には、ピアノを勉強する人が必ず通らなければいけない作品もあり、あるいは古今の名曲あり、また音大の試験やコンクールでよく弾かれる曲とも重なっています。確実にあと数十年、ひょっとすると今から100年後も演奏され続けているであろう作品というものを考えます。主要な作曲家10人を取り上げてピアノ曲の紹介をしていきたいと思います。

まずはバッハから。
バッハには膨大な数の「クラヴィーア」曲が存在します。当時ピアノという楽器はまだ発明途上できちんと存在しなかったと言っても良い時代だったので、オルガン曲以外はおもにチェンバロで演奏されていたと思います。それを現在のピアノ学習者は当然ながらピアノで演奏します。ちなみに、クラヴィーア(Klavier)という語はドイツ語では今では普通に「ピアノ」のことを指します。ピアノ曲の楽譜は、現在市場で手に入る楽譜はかなりの範囲を網羅していますが、実際にメジャーなものとしては以下の作品あたりでしょうか。

・インヴェンションとシンフォニア
・フランス組曲
・イギリス組曲
・平均律クラヴィーア曲集(第1巻・第2巻)
・6つのパルティータ
・イタリア協奏曲

これ以外にも、「ゴルドベルク変奏曲」や「半音階的幻想曲」など、タイトルも有名でよく知られている曲はありますし、音大のピアノ科学生がよく取り上げる特定の作品もあります。でもそれらは誰もが取り上げる作品とは言えません。また、もっと易しい曲集もありますが、演奏会で取り上げられないものは除外します。上の作品群も、決してすべてが演奏会でよく弾かれるというわけではありませんが、ピアノの学習においては最重要な作品と言えると思います。

たったこれだけの上記のレパートリーですが、これをすべて弾いたことがある人は、よほどのバッハマニアかプロのチェンバロ奏者以外にはいないと思います。平均律だけでも、プレリュードとフーガで1曲として24の調性で2巻分48曲ありますから、音大のピアノ科の4年間、あるいは大学院まで含めて6年かけても全部を弾く人は普通いません。ただ、バッハ自身は弟子のH.N.ゲルバーに平均律全曲を3回も弾いて聴かせたという話が残っていて、それが一体どれだけ素晴らしい演奏だったか想像してみたくはなりますが、実際に自分で弾くとなるとかなり大変でしょう。音大のピアノ科学生でも、4年間で「平均律」は半分こなせれば十分かもしれません。ただ、楽譜上での勉強ということなら音源を聴いたりして全曲に通じることは可能です。

バッハは、教育的立場から自分の曲集を効果的に使い、インヴェンション(とシンフォニア)からフランス組曲、イギリス組曲、そして平均律へと段階を上げながらレッスンをしていたと言われています。現代でも、だいたいこの順序でバッハを網羅的にレッスンされている先生は多いと思います。「6つのパルティータ」は、かなり大規模な作品なので手をつけない人も多いかもしれませんがとても重要な作品です。

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