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カプースチン演奏の動画

かなり報告が遅れましたが、先日15日(日)のカプースチンの公開録音コンサートは無事に多くのお客さんに囲まれて終了。私は当日は司会進行役で参加しました!


打ち上げの席での1枚

ピティナでは公開録音コンサートとして、このシリーズの演奏会を機縁として多くの動画をアップしています。たくさんの演奏家によるクラシック作品の演奏が聴けることも嬉しいですが、珍しい作品を聴くことができるのも大きな点であり貴重な情報源にもなっています。特に、カプースチンの曲はどの曲も作品の完成度が高いし、技巧的難易度も高いので、動画で演奏が聴けるのはとても貴重だと思います。

例えば、このシリーズで9月25日に行われた近藤由貴さんのリサイタルに私は行けなかったのですが、その日は珍しいカプースチン作品も弾かれていて、すでにYoutubeにアップされています。この日に演奏された中でも特に「スケルツォ」Op.95はおそらく初演でしょうか。これが聴けるのはカプースチンファンにはとても嬉しいでしょう。またOp.122の「2つの装身具のようなエチュード」も演奏されていてこれも聴けます。この曲が弾かれるのはかなり珍しいでしょう。この曲は、Etude-like Trinketsというのがタイトルなので、「エチュードのような小品(小さな装飾的作品)」というのが本来的な意味です。この曲は、実は私が2006年にサントリーホール(ブルーローズホール)で世界初演をしました。その時には、そのようなタイトルに訳してプログラムに載せました。おそらく作曲者はこの英語のTrinketをロシア語のБезделушка(”小さな飾り物”の意)を想定して付けたと思うのですが、きっと「バガテル」と同じような意味合いを持たせたかったのだけれどもすでに「バガテル」という作品はある(「10のバガテル」作品59)ので、あるいはバガテルと言ってしまうほど小品ではない?という意図もこめて付けたのではないかと私は考えています。もっとも、カプースチンの「10のバガテル」は先日江本純子さんも演奏しましたが、決して「取るに足らない小さな曲」というものではなく、これはカプースチン独特の謙虚な言い方で、十分に1曲1曲が内容も濃いし難易度も高い曲に仕上がっています。Op.122の2曲のTrinketsは、たしかにそれよりももう少しだけ作品の規模は大きいと考えても良いかもしれません。

説明が長くなってしまいましたが、とにかく貴重な作品がアップされているので嬉しいです。近藤さんのカプースチンの演奏も素晴らしいものだと思います。実は彼女と今年初めて東京でお会いしたのですが、その時に前述した私の2006年のサントリーホールでの世界初のオール・カプースチン・プログラムのリサイタルに当時芸大生だった彼女が聴きに来ていたということを聞き知りました。これには私はびっくり(ぎっくり?笑)しましたが嬉しいことですね。その頃からつながっているということです。

それ以外にも、カプースチンを演奏している動画はもちろん国内・海外を問わず数えきれないほど増えています。先週15日の公開録音コンサートの演奏もそろそろ公開されて観ることができるでしょう。カプースチン作品を通じて、多くの人との出会いも増えてきました。これも嬉しいことですね。ここまで大きく広がったので、近い将来、世界のカプースチン情報をきちんと整理したものにまとめる必要が出てきたように思っています。

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