突然ですが、あまりに感動したのでロシア語の文法書を紹介します。
今年2月に出たばかりの新しいロシア語の文法の本ですが、すぐに手に入れて読んでみたのですが素晴らしい内容で感動しました。というのは、これまでのどのロシア語の文法書でも1冊や2冊では網羅できないすべての重要事項、それに細かいけれども知っておかなければいけないほぼすべてのことが網羅されていると感じたからです。ロシア語では、文法の重要度が他の主要な外国語に比べて大きいと思うのです。文法をあまり重要視しなくてもある程度喋れるようになったり、曖昧でもなんとか会話ができたりする学びやすい言語もありますが、ロシア語はやはりそういうふうにはいかないのだな、ということをあらためて納得させてくれる本です。保存版にして良い文法書でしょう。しかも読みやすい。ただ「入門から上級まで」と書いてありますが、個人的には、やはりひととおり文法をすべて学んだ上で、さらに頭の中をきちんと整理するために勉強すべき本だとは思います。著者の匹田剛さんは大学教授でロシア語の専門家ですが、しかしこれはロシア語の研究で何十年にもわたって蓄積してきたことを、きちんとすべて整理しようというある種の気高いこだわりが感じられる気がしました。物事を極めることの素晴らしさを感じてしまい、「ピアノが専門というならやはりピアノが一番うまくなければダメなのだな」と妙な納得をしました。(笑)
また最近、これまでずっと使っていた岩波のロシア語辞書が、すでに表紙も外れてボロボロになって使いにくかったため、思い切って新品を買いました。
1997年に辻井伸行君と初めてロシアを訪れるのを機会にロシア語辞書を買い、それ以来20年近く使っていました。1992年発行なのですが、素晴らしい辞書であり現在でもこの版が使われています。なので、新品と言っても辞書の中身はまったく同じだし、これまで使ってきた辞書には書き込みもたくさんあるし自分仕様になっていて愛着があったのですが、思い切って気持ちを切り替えることにしました。またゼロからのスタートです。

右が買ったばかりの新品。左は使い込んだもの。
同じページ数なのに、並べてみるとこんなに高さが変わっている(笑)。
辞書の内容はだいたい10年も経てば古くなると思うので、私はどの外国語の辞書も紙の辞書は10年で新しいものに買い替えることにしています。電子辞書も5年ごとに数台ずつ買い換えていますが、この岩波のロシア語辞書は20年ほど持ったのです。しかもまだ改訂されていないのに今も売れていて、やはりすごく重宝するので同じものだけど買い替えても良いだろうと思えた不思議な辞書です。
最近はロシア語の文法書や参考書や読み物もかなり増えてきているので、きっとロシア語を勉強する人も増えていると思います。
それにしても、つくづく日本は外国語学習者にとって恵まれている環境にあると思います。書店の語学コーナーヘ行くと、これは外国人が見たらけっこうビックリするレベルでしょう。何もかもが多数そろっている。海外の国ではこれほど外国語の学習教材に恵まれていないと思います。辞書だって、ここまで凝ったものは日本語を介するもの以外にはあまり出合わない気がします。日本人は凄いというか、先人たちの智慧と努力に感謝ですね。おそらく現代の日本人は、外国語を勉強するのに一番有利な環境にあるのではないでしょうか。語学学校もあれば、しようと思えば独学もできるし、外国人から「日本人は外国語が堪能な人が多いですね」と思われても当然という時代になった気がします。自分もまだまだなので頑張らなくてはいけません…。

