昨年から私もショット社版のカプースチン楽譜の校正に加わっていますが、すでに私がチェックした作品は25点を超えました。ピアノ曲だけでなくヴィオラやチェロの曲も含みます。ちなみに昨年の夏以前に出されたものは私は関わっていません。
「指使い」については、私がカプースチン本人と一緒に校訂して出版した日本版楽譜ですでに出ていた作品については、ショット社もそのまま使っています。おそらく権利の譲渡などは会社同士で行われていると思うので、編集した私自身がまったく知らなくてショット版を初めて目にした時にビックリしたということはありました。「あんなに苦労して編集した楽譜を勝手に使われていると感じた」と言ったら語弊があるかもしれませんが、それに似た心境にはなりました(笑)。それだけ多くの時間と労力をかけて作り上げたものであったというのは本当のことです。
ただ、現在では公にお手伝いをさせていただいているので、今後のカプースチン作品の出版に関してはほぼすべてに私は目を通させていただくつもりです。「指使い」も新たに書き入れる仕事も始めました。現在ちょうどピアノ・ソナタ第12番の運指書き入れを完了したところです。1~2ヶ月も経てばこの曲の運指番号入りの版が出版されるでしょう。
例えばピアノ・ソナタ第1番などは、最初ショット社は他の楽譜を底本にして編集したらしく運指が入っていませんでしたが、重版の際に運指番号が入りました。その際には私もチェックをしました。
これに加えて、あとピアノ・ソナタ第10番、第11番などが運指番号付きで出版される流れになりそうです。
すでにまったく指番号の入っていない楽譜が出てしまっていますが、やはり指番号が書いてなければカプースチンを練習するのはけっこう厳しいと思うので、今後もその仕事も行なっていきたいと考えています。
追記:ところで、私はショット社から電子データで送られて来るPDFファイルの楽譜に運指を書き込むのですが、大量に書き込まなければいけない一つ一つの数字をマウスで書いています。マウスは細かい文字を書くには不便で、数字が曲がってしまったりするので何度も書き直したりします。毎回あまりにも時間がかかり大変な作業なのですが、誰かもっと良い方法をご存知ないでしょうか?(笑)