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CD録音の価値【私自身の録音を中心に】


CD録音ということ自体がこれから減っていくかもしれない、などという話もしましたが、あえて現在までのカプースチン作品が収められたCDについて、その価値について振り返っておきたいと思います。

カプースチン本人による自作自演盤の価値にはもちろん計り知れないものがあり、それについてはあえてここでは紹介せずに、まずは自分自身が録音したものについて覚え書き風に書いておきたいと思いました。ですので、これは決して「カプースチンCDガイド」のようなものではなく、作品名も書かず作品番号だけで説明している部分も出てきます。カプースチン作品の録音は、作曲者本人の次に一番多くCDを録音しているのは私で、合計8枚になります。日本アコースティックレコーズから4枚、オクタヴィア・レコードから4枚です。

日本アコースティックレコーズから出た4枚のうち最初の3枚はピアノソロ、最後の1枚はピアノを含む室内楽作品集として出しました。2004年に最初に全音から楽譜が出版された際にタイアップして2枚のCDをリリース、そしてその後はアラカルトで出したものです。最初はもちろん名曲の収録がメインでしたが、世界初録音となったものや(『シンフォニエッタ Op.49、ほか『フルートソナタ』、『ピアノ・ソナタ第11番、第13番』、ほかOp.78、Op.113、Op.114、Op.118、Op.128など』)、現在でもまだ他の録音物が極端に少ないものもあります。

特に第2集で録音した『ユモレスク』と『「ブラジルの水彩画」によるパラフレーズ』は、その後カプースチン本人が私の録音に触発されて自身もその後CD録音をしたという事件(笑)もあったほどです。これらは作曲家本人も想定外の難曲だったのです。
こちらのCDです↓

またこのCDに入っている『10のバガテル』全曲も作曲者本人以外には私の録音しかなく、この「ピアノ作品集②」はまあまあの自信作です。有り難いことに約20年経った今でもまだ売れ続けてはいます。

対して、オクタヴィア・レコードで「ピアノ作品全曲録音シリーズ」として出した4枚のCDでは、さらに違う価値を持つ成果となったと思います。もちろんこれまで通りにポピュラーなピアノソロ曲もたくさん収録しましたが、ピアノ協奏曲の録音では作曲者本人の第2番以外では初めてとなる『ピアノ協奏曲第5番』がVol.3に入っており、そのほかにOp.71、Op.73、セクステットのOp.79など、カプースチン作品ではまず聴けない作品をこのVol.3で世界初録音しました。ほかに珍しい作品として晩年の作品からソロ曲のOp.133、Op.149、Op.152、Op.153、私に献呈されたピアノ小品Op.137、Op.138など、またマルク=アンドレ・アムラン以外の録音とは違うもう一つの解釈としてぜひ聴いてほしい『5つのエチュードOp.68』、そして個人的には大好きな知られざる傑作とも言える『組曲Op.72』などたくさんあります。

またピアノ・ソナタでは『第8番』『第10番』『第19番』は初の録音としても、またこの演奏自体の解釈としてもぜひ聴いてほしい3曲のソナタです。特にピアノ・ソナタ『第8番』、『第9番』が入っている最新作のVol.4は自分としてもかなりの自信作で、本当に多くの人に聴いてほしい1枚なのです。
以下のCDです↓

ちなみに上の8枚のCD録音はすべて生前のカプースチンに聴いていただいています。思えばずいぶん長きにわたってカプースチンに関わる活動をしてきたものだと思います。今回の「カプースチン祭り」は自分としてはカプースチン活動歴25周年記念というイベントにもなります。ここで一つの区切りをつけようとも思っていますが、録音してきたこれらのCDについては、これまでももちろんずっと売られてはきましたが、ひっくるめて統括的に説明したり内容について宣伝してきたことはあまりなかったと思います。ですので、ここに書いておいたことは今後聴いてくださる方の参考にしていただければとも思います。

まあカプースチンだけでこれだけの枚数のCDを録音すること自体がかなり特殊なことかもしれません。そこだけ見ると変わったピアニストと思われるかもしれないのですが、通常はきわめてオーソドックスでクラシカルなピアノライフを過ごしています。そちらのほうのニーズのほうがもちろん多いですから。

さてこのあとは、ピアニストとしてはやはり分類が難しいかもしれないフランク・デュプレ(ここ数年でカプースチン弾きとして世界に大きく頭角を現し始めた)のCDの価値について紹介したいと思っています。

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