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コンクール動画視聴で「表現力」を磨こう!


先日からブログで「演奏にはInterpretation(解釈)が大事だ」という話をしていましたが、同時に表現力を身につけることも大事です。もちろん解釈がなければ表現も生まれないわけですが、多くの人を感動に巻き込む演奏ができるまでには一定の修行が必要だとは思います。

さてショパンコンクールは昨日ちょうど二次予選進出者が決まったところですが、一次予選で演奏されたものはすべてYoutubeで視聴することができて、まあすごい時代になったものです。この恩恵を生かさない手はないと思います。もちろん全部を聴く時間はなかなか作れないかもしれませんが、ピアノを勉強している人ならぜひ自分の気になるコンテスタントや話題になっている人の演奏だけでも視聴すると良いと思います。私は誰の演奏が良かったとか悪かったとかはここでは特に書きませんが、ぜひ皆さんにも聴いていただいて、「同じ曲でもこれほど表現の仕方や音楽の感じ方、解釈の仕方に違いがあるのか!」と驚いてほしいと思いました。聴き比べは本当に勉強になると思います。

さまざまな若手演奏家の演奏はアイデアの宝庫でもあるので、自分自身の音楽性を磨くことにもきっと役に立つと思います。ただ漫然と聴くのではなく、繊細な心を持ってじっくりと自分が気に入った演奏家の演奏を堪能すると良いと思います。知らず知らず自分の表現力にも良い影響を受けるのではないでしょうか。

多くの人はパソコンで観たり聴いたりしているでしょうが、不思議なことに、演奏家によって音や響きが本当に違うことがわかると思います。音色が違うと感じられる場合はピアノのメーカーの違いによることもありますが、それ以上にピアニストそれぞれが持っている自分の音というのが本当に違いすぎてビックリするほどです。それは微妙なテンポの感じ方や音のバランス感覚、音楽の流れや構築においての違いやセンスやアイデアによって生まれてくるのだと思います。でも、その音の違いはもし現地のホールの客席で聴いたらもっともっと違うと思うし、演奏から受け取るものや感動のレベルがまったく違うと思います。

私もワルシャワ・フィルハーモニーホールで過去にショパンコンクールを聴いたことがありますが、ステージから一番遠い3階席のような場所で聴いても、ステージから届くピアノの音は細かい音までクリアに、そして素晴らしくまろやかな響きが伴っていて、素晴らしい演奏家が弾けばそれはそれは極上の音色を聴くことができます。でも、家のスピーカーを通してでも演奏のクオリティの違いはかなりはっきり聴き取ることはできます。

どちらにしても、このような大きな国際コンクールで世界発信のストリーミングが始まったのは2005年前後からでしたから、もうかれこれ20年になります。すでにこれが当たり前と思っている世代も多いと思います。ですが、このような技術の恩恵はぜひ享受すべきで、クラシック音楽を勉強している人ならぜひ時間を作ってコンクールの一部だけでも聴いてみてください。また恒例の「ショパントーク」もあってコンテスタントのお喋りや素顔を観たり聴いたりすることもできます。私は特にショパンだけが好きなわけではない、という人でもきっと何らかの刺激と学びはあるのではないでしょうか。

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