
[2005年6月19日]
「親愛なるマサヒロ!
もちろん『ユーモレスク』というタイトルには「ユーモア(諧謔)」という意味がありますよ。でもユーモアといえば、他のタイトルの『10のバガテル』のほうが顕著だな。この作品はそう呼ぶにはとても難しいばかりでなく、あまりにも長すぎる。
おそらく日本のアマチュアピアニストたちはヨーロッパのプロピアニストたちより上手いんじゃないかな。最近イタリアのピアニスト〇〇〇〇が私の作品だけを録音したCDを送ってくれたのだが、まったく私の心を動かすほどのものではなかった。もちろん礼儀のために彼を誉めなければいけなかったがね。
あと8月には別のもう一人のイタリア人ピアニスト〇〇〇〇のCDが出る。でもご存知のとおり、彼の演奏は控えめに言ってもとても変わっているんだ。いったいイタリア人はどうしたのだ? 現代のブゾーニ、ベネデッティ・ミケランジェリ、ポリーニはどこにいる?
・・・後略・・・」
この時期私が録音したばかりの曲にカプースチン作の『ユモレスク』という曲がありましたが、あまりに難しく「この曲のどこにユーモアがあるの??」と思ったので、率直にカプースチンに質問したメールに対しての答えです。あまり答えになっていませんでしたが。(笑)
『10のバガテル』のほうは確かに笑えるというか、こちらもなぜそんなタイトルを付けたのでしょうね? それは作曲者本人にもわからないことのようです。それ自体がカプースチンのユーモアということなのでしょうか…。
2段落目では、日本ではアマチュアピアニストがカプースチンをたくさん弾いていて、しかも皆さん上手いんです!という話を私がカプースチンにかなり吹き込んでいた頃の話です。それに対しての彼のコメントでした。日本のピアノ弾きたちのレベルは彼もどこからか知っているようではありました。(Youtubeがまだ全盛になる前の話でしたが。)
その後に、ちょうどその当時送られてきて聴いたという2枚のイタリア人ピアニストからのCDの感想が述べられていましたが、私にここまで言ってしまっていいのだろうか??(笑)と思うほど、赤裸々に不満足な演奏であったということを伝えてきました。そこで私が何を思ったかと言うと、「私もピアニストの端くれなのだし(録音もしたばかり)、これは私に対するプレッシャーか!?」とも思ったり、いや「こんなことを何でも正直に話してくれるほど信用されているのだな」と思ったり、少々複雑な気分でしたが、他の演奏家による自分の曲の演奏の良し悪しについてここまではっきりした意見をもっているのだな、と少しドキッとしたことは覚えています。このメールに限らず、自分の作品の演奏への辛辣な感想はかなりよくありました。おそらく私が一番そういうことを話しやすい相手だったのだろうか、と思うほど、時に言い過ぎではないかと思うほど何でも率直に書いてくれました。カプースチンは意外にそういう人なのです。本心はとても優しい気持ちを持った方なのですが。
上の2人のピアニストの名前は、本人が知ったりするともちろん良くないので伏せ字にしておきます。(苦笑)
実はメールでのカプースチンの爆弾発言はとても多いのですが、実際はその内容を全部は公開できません。でも時々はまたきわどい内容も出てくるかもしれません。
3月31日のカプースチン祭り2024のチケットの滑り出しは好調のようです!