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F. デュプレとカプースチン


フランク・デュプレのことはこのブログでも何度も紹介しましたが、最近も彼はヨーロッパのあちこちのコンサートでカプースチンのピアノ協奏曲を弾いているようです。もう今や彼は世界でも著名な「カプースチン弾き」と言って良いでしょう。

特にピアノ協奏曲は『第4番』と『第5番』はもう何度も何度も弾いているようです。もうすでにいつでも弾けるレパートリーになっているということと、それから彼の強みは音大で正規に指揮科でも勉強したことで、コンチェルトの「弾き振り」にまったくストレスを感じないことでしょう。あれだけの難曲はソリストとして弾くだけでも大変に見えるかもしれませんが、もはや彼は指揮も含めて楽しくやっているレベルだと思います。これだけのキャリアというかオーケストラとコンチェルトを演奏できる場を作り、そして自分が演奏しやすい環境をよくここまで整えたものだなと思います。


彼とは昨年11月に初めて会った時に、初対面とは思えないほど一瞬で意気投合したのですが、実はその日までお互いにあまりきちんと知っていたとは言えなかったかもしれません(笑)。話をしながらだんだんお互いに対する尊敬の気持ちが強くなってきたというか…。

カールスルーエ音大で彼の師であったシュパイデル先生を訪ねる直前に、レストランで食事をした際に私から彼に「お土産の一つはこれです」と、私のカプースチン全曲シリーズの4枚を袋から出したところ、すかさず「あ、僕も車に置いてきたけどあなたにプレゼントしたい自分のCDがあるよ、おー、でもそっちは4枚か! 僕は3枚なんだけど…」などと謙虚なことを言っていたのですが、その私の4枚のCDをその直後のシュパイデル先生訪問時に見せてくれて、そしたら彼女は遊び心があって、初対面の私との出会いの場を盛り上げる意味なのか、そのCDを机にきれいに並べ始めたのです(笑)。

…レッスン室でも彼らと楽しいひと時を過ごしました。

デュプレはその後、フェイスブックで「皆さん、僕よりももっともっとカプースチンを弾いていた人がいることをご存知ですか?!」などと私のことを紹介してくれましたが、彼はおそらくその日までは自分が世界で一番カプースチンを多く弾いていると自負していたと思うのです。もちろん彼はもうそのくらいのキャリアをすでに築いているのでそう思って良いと思います。現在は彼のほうはオーケストラを含む作品が多く、ソロ作品はほとんど弾いておらず、それに比べて私のほうはソロ作品と室内楽作品の世界初演、もしくは世界初録音が多いです。たまたま住み分けているような感じになっています。
彼のアーティストとしての魅力を、もちろん最初はカプースチンを通してということになると思いますが、ぜひ日本から世界に一緒に発信したいという気持ちもあり、早いうちに、できれば今年中か、遅くとも来年には彼と彼のトリオを日本に招待したいと思っています。私一人では興行主になり得ませんので、ぜひ誰かお力をお貸しください。(笑)

現在彼のカプースチンCDはこの3枚。これからまだ確実に増えていきます…。

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