一昨日、このブログでも紹介した国際音楽祭ヤング・プラハの演奏会を聴きに、第一生命ホールへ足を運んできました。目当てのジュゼッペ・アンダローロという82年生まれの若手ピア二ストは、プログラムの経歴を見ると凄いことがわかりました。仙台国際コンクールやら昨年のブゾーニコンクールなど、5個くらいの国際コンクールで1位と書いてあって、そりゃ何でも弾けるでしょうね、という感じです。この演奏会では、伴奏ほか最後のトリのソロまでを務め、実際に実力派であることは間違いなかったと思います。
最後の最後にカプースチン弾きました。曲は、間違いなく私の知っている「8つのエチュード 作品40」の第1番と第8番だったのですが、これまたすごい。ルデンコを彷彿とさせました。(笑) そういえば、彼のあの豪速第1番もこのホールで聴いたのだったな、と思いながら…。とにかくテンポが速い速い…。リズムの存在する余地がないほど速かったー。私も人のことはあまり言えないのですが、客観的事実としてだけ言えば、曲をよく知っているはずの私が聴いても一音も聴き取れないほどでした。(笑) CDのアムランの8番は速いなーと思っていたけど、あれ以上に速く弾くこともやっぱり可能なのですね。お客さんはきっと訳がわからなかったはずですが、それでも彼はそのまま最後まで止まらず、弾き終えたあとは満場の拍手をもらっていましたから(私も大きな拍手を贈りました)、やっぱりカプースチンの作品はすごいのだな、と考えを新たにしたほどです。そう、考えてみれば演奏会で弾くピアニストの数がまだ極端に少ないのですからね。
カプースチンは誰が弾いても同じだなんてとんでもない、本当にいろんな演奏スタイルがあるものです。ペダルもほとんどずっと踏みっぱなしでした。どこが拍頭なのかまったくわからないほどクラシック風、という表現がふさわしかったかな。最初に彼はラヴェルも弾いたのですが、どちらかというと細かい音を繊細に扱うというよりは「パッセージを弾き流していく」感じだったので、「これでカプースチンは一体どうなるのだろう…^_^;」と内心恐かったのは確かです。必要以上にこちらが緊張しました。
思うに、彼の演奏スタイルという問題だけではなくて、やはり結局はカプースチンのエチュードはコントロールが難しいので速くなってしまうのだと思いますが、作曲家自身の演奏がいかに「しっかり」「ゆっくり」弾いているかがわかるというものです。ところが、カプースチンのエチュードは、いったん弾けるようになったあとで意図的にテンポを落として仕上げるということがとても至難なのですよね。頭の中では百も承知だったとしても…。
まああまり欲を言っていけません。自分に対しても、あまり完璧を求めると首を絞めてしまうし、もう二度と演奏ができなくなってしまっては困りますから、まあ楽しんで弾ければ良いということですよね。(いや、自分にはやっぱり厳しくなければいけませんね。)
彼の演奏はとても素晴らしかったと思います。