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辻井伸行リサイタルin紀尾井ホールへ行きました!

昨日は紀尾井ホール(2日目)に辻井伸行リサイタルを久しぶりに聴きに行きました。日本ツアーシリーズのいよいよ終盤に差し掛かります。今年度はドイツ・グラモフォンと契約のニュースから始まり、第1弾CDとしてベートーヴェンの『ハンマークラヴィーア・ソナタ』を中心にしたプログラムが無事に録音されました。この年末のツアーのリサイタルではその『ハンマークラヴィア』を後半に1曲配置(長大ですから!)、前半にドビュッシー『版画』とプロコフィエフのソナタ第7番を合わせたプログラムで、このプロコフィエフの7番は私自身の学生の頃からの十八番の曲でもあるので個人的にもとても親近感の沸く選曲でした。(もちろん『ハンマークラヴィア』も小中学生の頃からレコードに穴が空くほど聴いていましたし。)

ピアニストにとっては大変だと思われるこのツアーの本編プログラムを爽やかに弾きこなし(ツアーですからこれをほぼ連日!)、最後にアンコールも結局3曲弾いて、辻井君のコンサートではいつものことながらお客様たちも大満足されたのではないでしょうか。拍手の大きさを聴けばそれはわかります。もう定番となっている彼のアンコール前後のステージトークもパワー全開でお客さんを惹きつけますが、コンサート全体としてはさすがに年齢の風格も出てきたなという感じを受けました。

紀尾井ホールはちょうど開館30年を迎えるということですが、自分にとってももうここは本当にいろんな意味で思い出深い場所です。2001年に自分のリサイタルのアンコールで初めてカプースチンを日本で披露したホールでもありますし、カプースチンのピアノ協奏曲第6番を世界初演した場所でもあります。もちろんソロや室内楽のコンサートもたくさんやりました。

またこの楽屋に来るとなぜか懐かしい気持ちが蘇ってきます。このホールで辻井君のCDの編集作業にドイツからのエンジニアと一緒に携わったりしたこともありました。辻井君にとってもここでリサイタルをするのはサントリーホールなどとはまた違った味わいがあるのではないでしょうか。本当に良いホールの一つです。終演後には彼と楽しくお話できて嬉しかったです。考えてみれば、辻井さんとは家族ぐるみでもう30年のお付き合いです。

11月29日にリリースされたドイツ・グラモフォンのCDです。

このレーベルのお馴染みのロゴやデザインに辻井伸行の名前が入っている。その第1弾CDがベートーヴェンで出されるというのも感慨深いものがありました。『ハンマークラヴィア』とカップリングされているのは、このソナタとかなり近い時期に作曲されたベートーヴェンの連作歌曲集『はるかなる恋人に』のリスト編です。この曲はベートーヴェンの人間としての純粋さと本当に深い芸術性とが高い次元で融合しているような素晴らしい作品なのですが、意外にあまり演奏される機会が少ないのではないでしょうか。原曲の歌曲の要素がリストによってそのままそっくりピアノで演奏できるような形で書かれている作品でとても音楽的な一曲です。この作品を辻井伸行の1枚目のCDに選曲案として出してきたドイツ・グラモフォンもさすがだなと思いました。

この一年目まぐるしく本番を駆け抜けてきた辻井君ですが、いよいよ明日の松本の公演でツアーも一区切りでしょうか。そしてお正月には恒例のテレビの2時間番組もいくつかあるようですね。今後の活躍も心より応援しています。

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