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曲は自由にアレンジする時代!?


通常のクラシックピアノの指導では、アレンジの仕方を教えるということはあまりありません。まずは楽譜を正しく読むというあたりから入るのが普通でしょう。もし自分である曲を見つけて好きになってしまい、「弾きたい!」と思ってしまったら、もちろん楽譜があればそれを読んでも良いですが、耳コピで勝手に弾けるようになっていく人もいます。アレンジや伴奏を付けて曲を弾いたりする技はまずは独学で学ぶべきものでしょう。Youtubeなどでいろんな人がやっているのを真似したりすることで、子どもでもある程度は自分でもできるようになっていきます。

特にポップスの分野では、有名な曲があったり自分の気に入ったもの、あるいは発表されたばかりの新曲でさえ、すぐに「弾いてみた!」「歌ってみた!」というような動画を作成してアップしている人も多いですよね。驚くべきことに小さな子どもでもやっています。今ではもう、例えば藤井風さんが新曲をMVなどでアップしたらすぐさま誰かがピアノやキーボードで弾いて動画をアップしたり、もっと言えばコード付きの楽譜までつけて演奏を公開している人もいます。クラシック分野の人から見ると「著作権的に大丈夫なのかな?」などと要らぬ心配をしたりもするのですが、新しい曲であってもすぐに多くの人が耳コピして演奏したり歌ったりしたくなってしまうので、この流れはきっともう止められないことでしょう。まあアーティスト自身がそれを良いと思うのであれば、新曲であって多くの人が演奏してくれるのは良いことなのだと思います。

クラシック音楽とみなされている曲の場合は、例えばカプースチンや他の現代作曲家の作品の演奏であっても(皆さん自由に弾いてアップしているようですが)一応は「著作権的に公開しても大丈夫なのかな?」などと考える人もいるのではないかと思います。ただ、曲を広く紹介していくという意味でも、もうネット上でも自由にどんどん演奏して広めていきたいという流れはきっと止められません。ポップスであれば、どんな曲でももう皆さん勝手にアレンジして弾いたりして公開しています。ストリートピアノでそういう演奏を披露するというのも一つの大きな目標になったりするし、クリエイティヴな能力を発揮する場にもなるし、全般的に見ても音楽の普及ということにとってとても良いことだと感じています。

私がこれまでに発見したものだけでも、例えば藤井風さんの新曲を自分のアレンジでピアノなどで演奏している動画は、おそらく10歳未満のプレーヤー(!)だけで3~4件以上はあったと思います。こういう演奏はおそらくクラシック音楽の素養だけでは無理で、現代の若者は普通にジャズのハーモニーやドラムのビート感覚などに親しんでいることがわかります。驚きではありますが、でもこういう流れもきっともう止められないでしょう。音楽を楽しみたいという気持ちや、創造的な活動を追求していくためにもぜひこれからもそういう方向でさらに進んでいってほしいです。

クラシックでは作曲家が書いた楽譜を勝手にアレンジして弾いたらダメと言われることが多いのですが、特にそれはピアノという楽器をやっている人が意外に一番気にしていることだと思います(ピアノ作品には特に厳格で複雑なものが多いからでしょう)。
ただ、例えばカプースチンでも『8つの演奏会用エチュード』などは原曲がピアノの曲であるにも関わらず、すでに様々な楽器編成にアレンジされて演奏されています。正式に録音されているものもすでに多くあるようです。例えばこのブログでもたびたび紹介しているドイツのピアニストのフランク・デュプレなどは、上のエチュード集に加えてカプースチンの他の作品(『24のプレリュード』やパラフレーズ作品など)をジャズ・トリオ(ピアノ、ベース、ドラムス)の編成に編曲してCD録音もしています。これがけっこう素晴らしい演奏なのです。念のためですが、もちろんカプースチンはクラシックの作曲家です。

だからクラシックと言っても本来はもっとクリエイティブに考えて良いはずなのです。
音楽は今後さらにさらにそういう流れになっていくような気がします。ですので、考え方をもっと柔軟にして音楽に向き合っていかなければいけない時代が来たかもしれません。(そういう時代に戻ったというか…。)

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