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効率よくさらうために必要な考え方(2)

以前も書きましたが、練習の能率をあげる方法を再びここに紹介してみましょう。ただ、今日書くことは、まったく手加減なしに本格的に日々の練習と戦っている人向け(?)のアドバイスになる予定で、前回(2003年12月6日)の内容とはかなり違う部分がありますから、とても真似のできない良い子の皆さんは、ただ話を聞いているだけにしてくださいね。

時間の足りない人への練習の仕方のポイントとして、3つ挙げてみたいと思います。

まず1番目は、先月(2月12日)書いたこととも関係がありますが、譜読みをする際に必ず深く楽曲分析をすることです。これは、決して和声記号をすべての小節に付けるという意味ではなく、音楽を理解するということです。とにかく、何も考えずに初見で弾きながら譜を読んでいく、そうしているうちに自然に弾けるようになっていく…、という練習方法を避けることです。これはただ時間を食ってしまうだけなのです。ある曲を勉強する時に、その作曲者と同じほど曲の細部まで理解することができれば、理想的に言うと、もうその時点で“弾ける”のと同じことになるのです。何度も言いますが、頭をよく使って練習するということです。そのためには、頭はクリアーでなければいけないし、精神的にも健康である必要があります。そのクリアーさの度合いが高ければ、とても複雑なポリフォニーなども理解することができるのです。研ぎ澄まされた練習をすることです。もちろん、楽曲を分析するためには、ある程度の専門的な知識があるに越したことはありません。(知識がなくても、本能的に音楽を理解する天性の才能を持った子供もいます。)

2番目には、一日にどんな練習ができたか、何がどれだけ進んだのかを明確にすることです。夜に練習が終わったら、振りかえってみて、結局その日の練習で何が得られたのかを反省してみて、できるならばそれを書き出せるほど自分で分かっているのが理想的です。ピアノの練習は、一日で突然上達するような手応えはないものですが、これを実行していくと、一日ごとに確かな成長が確認できるはずです。例として、「理想的な指使いを見出すことができた」、「つっかえていた箇所が弾けるようになった」、「テンポが上がった」などの確認を、曲ごと(あるいは、曲の中のセクションごと)に行なう、など。

3番目には、どんなに忙しくとも練習時間を確保し、たまたま他の用事が入ろうが体が疲れていようが、決めた時間は必ず練習することです。以前言ったことと逆になりますが、どうしてもやらなければならない人は、苦しくてもやらなければいけないのです。(笑) 私の場合は、外で仕事をしたりして家に帰ってきてすごく疲れていることがあります。(レッスンで疲れることは基本的にないのですが、知らず知らずに体からエネルギーがなくなってしまうことがある。)そういうときに、残りの一日を投げ出してビールなど飲まずに、さらには横になって寝てしまわずに、いくらかの食物エネルギーを摂ったらさっさとピアノの部屋に向うのです。極限に疲れている時に、「自分は疲れていない」と暗示をかけてさらに仕事を続けるのです。すると、不思議に続くものなのです。一度休んでしまったら、もうアウトなのですね。仕事を始めてしまえば、人間なんてすぐその気になって、その後、5時間も調子良く練習を続けることができたりするのです。

上に書いたアドバイスは、ピアノの練習に限ることではなく、他の勉強にも当てはまるでしょう。まず、「物事をよく理解しながら勉強するということ」が大事です。ただ長い時間、机の前に座っているだけでは勉強がはかどっていることにはならないでしょう。また、どの勉強を何時間やったかではなく、「勉強して何を覚えたのか」、「自分は、何が新しく分かるようになったのか」を振り返ってみることです。それから、「必ず時間を決めてやる」ことです。「今日はまあいいか」と考えないことです。今、やらなければいけないのです。これらを実行するだけで、きっと仕事も勉強も練習もすごく能率が上がると思いますよ。

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