10日以上も海外へ行っていると、その時は良いのですが、帰国してからがいろいろ大変です。止まっていた仕事が途切れずに続くことになるので、時間があっという間に過ぎていきます。この状況で余裕を持って生きていくことができれば理想なのですが、現実は本当に忙しいものですね。レッスンをしながら、CD編集関連の仕事(自分のものだけでなく他のアーティストも含む)、カプースチンの楽譜の編集・校正、そして当然、自分の練習…。何かしら役に立つだろうと、ついにiPad Proを買ってしまったが、まだどう使って良いのかわからない…。
6月も半ばになって、モスクワではいよいよ4年に一度のチャイコフスキー国際コンクールも始まったので、日本からも熱心な音楽ファンやピアノの先生方はこの機会にロシアまで足を伸ばされている人もいるようです。でもロシアは本当に行きやすい国になったと思います。ビザを取得するのだけは未だに少しだけ大変ですが、それ以外では日本人にとってあまり不便は感じることが少なくなりつつあるように思います。

サンクトペテルブルクのネフスキー大通りは、いつも人通りが多く、毎日遅い時間まで賑やかでした。夏は街の雰囲気が明るくて活気があります!
さて、今年の夏は、またペルージャ音楽祭に講師の一人として参加する予定です。
ペルージャ音楽祭には数十カ国から約200名の受講生が集まりますが、大半は世界中から集まるピアノの生徒です。受講生は期間中、世界から集まる教授陣のレッスンを何度も受けることができ、希望者はすべてフェスティバル・オーケストラとコンチェルトの共演、ソロのコンサートや室内楽のコンサートに出演できます。コンチェルトが弾けるということで、私の生徒たちにもすごく人気で、当初は心理的には敷居が高かったのですが、私が最初に招聘された2011年からすでに5回ほど連れて行っています。ものすごく良い刺激が得られるので、今年も行きます。6回目の参加です。
やはり場所がイタリアですから、音楽の原点に戻る気持ちになれるというか、私などでさえクラシック音楽の素晴らしさにあらためて感じ入ってしまう瞬間が多くありました。教授陣も演奏を披露します。皆さんが好むレパートリーの傾向は、さすがにこの音楽祭の提唱者兼ピアニストのIlana Veredさんの周りに集まる方々ですから、どちらかと言えば保守的なものが多い印象があり、私がカプースチンなどを弾くと、反応はやや少ないイメージでしたが、最近はずいぶん変わってきました。
言ってみれば保守的なイタリアで(でもジャズフェスティバルはやっているのです!)、私は毎回カプースチンを弾いて聴衆や教授陣たちを煙に巻いてきました(笑)。ただ、ペルージャ音楽祭もついに私がカプースチンピアノ曲全曲録音を手がけているということを世界に発信したので、少し自分の居場所が出てきたかな、と思えてきました。
(レッスンでは、受講生の持って来る曲は95%がポピュラーなレパートリーですが、これまでにガーシュインのヘ調の協奏曲やメトネルのマイナーなソナタを持って来る人がいました!)

2013年夏のペルージャ音楽祭にて