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辻井伸行、ショスタコーヴィチを弾く


このブログでも過去にたびたび紹介してきた藤田真央君ですが、彼の現地での素晴らしい演奏と絶大な人気のお蔭で、今回の「チャイコフスキー・コンクール」はかなり盛り上がっています。ロシアでの人気も相当高いようで、日本人として誇らしいですね。今週のファイナルを残すのみとなりましたが、あと数日間は目が離せない状況です。

さて、今月初めに海外から帰って来た辻井伸行君ですが、先日クライバーン・コンクール優勝から10周年という記念コンサートを終えて、現在は新しいコンチェルトのレパートリーとして、ショスタコーヴィチの第1番を鋭意準備中です。
この曲を演奏するというのは私には意外な印象もあったのですが、辻井君は興味を持って取り組んでいるようです。この曲は、クラシックのレパートリーの中では異色ですし、不協和音も多いので、曲を覚えるのが難しくなかったかどうかがまず心配でしたが、本人によれば「意外にシンプルな部分も多く(そうではない部分も多いと思いますが!)」、「難しくはなかった」ということです。(カプースチンの『8つのエチュード』の第4番での苦労のほうがよほど大きかったとか。)

私が先日このブログにも書いたペルージャ音楽祭でも、例年のコンチェルト・リストの中にショスタコーヴィチの第1番が長く入っていた期間がありました。ピアノ協奏曲としては、ディズニーの『ファンタジア』でも取り上げられている第2番のほうが有名だと思うし、第1番はトランペットのソリストを必要とする特殊な編成なのであまりポピュラーではないと思っていました。でも、だんだんクラシックのレパートリーとして定着してきているということなのでしょう。もちろん、これにはアルゲリッチの名演の影響も大きいとは思います。ただ、私などはこれまで弾いてみようと思ったことのない曲でした。

ただ、伸行君の感性とテクニック、そして聴衆を楽しませるという観点から言って、この曲はとても大きな可能性を持っているということがわかりました。これは大きな発見でした。聴衆の皆さんにはぜひ楽しみにしていただければと思います。

そして、今日は辻井親子と久しぶりにゆっくり話しましたが、彼らとチャイコフスキー・コンクールの話題で大いに盛り上がりました!

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