最近は日本全国で(世界でも?)、ストリートピアノなど公共の場所にピアノを探そうと思えばどこかに見つかるという時代になっています。これは本当にピアノが好きな人たちにとっては嬉しいことで、それによっていろんな可能性が広がったと思います。
先日からブログでも話題にしていましたが、テレビ番組でもストリートピアノが取り上げられるようになりましたし、ピアノを弾くユーチューバーの存在もこれまでに私も複数のテレビ番組で取り上げられていたのを目撃しています。そうした特に若手のピアノユーチューバーはSNSから始まって、テレビ以外には「月刊ピアノ」などのような紙媒体でも楽譜と一緒によく取り上げられています。そのようなカルチャーが完全に定着してきました。
そしてピアノ演奏の動画の発信者は若年化も加速しているようにも見えます。小学生であったり中学生であったり…。しかも彼らはときどき難易度の高い曲も演奏します。もちろん彼らはクラシックからピアノを始めたケースが多いとは思うのですが、早い段階でジャズにも目覚めて、簡単な即興や場合によっては作曲までできるような段階まで進んでいる人も見受けられるようになってきました。即興や作曲なんてこれまではジャズピアニストを目指すような人でなければやってみようと思わなかったでしょう。それが今では違います。
ジャズとまではいかないけどかなりクリエイティブな動画配信をしている小学生などもけっこういます。それも一人の天才とかいうのではなく、もうあちこちにたくさん出てきている、というような時代です。例えばはっきりロックのビートでテンポの速い曲をピアノで弾くと、もう今ではあらゆる楽曲で16ビートのノリが当たり前になっているので、傍目から見るとものすごいテクニックで弾いているように見えたりもします。ポップスからの編曲や、映画やドラマなどのテーマソング、あるいはジャズのスタンダードにもなっているような名曲、はては自身のオリジナル曲、そしてもちろんクラシックもバロックからカプースチンまで自由自在、ピアノの世界ではもうそんな時代になっています。
時代が進むと本当にそんなことが起きるのですね。世界のどこでもオンラインでここまで(無料に近い状況で)あらゆる動画や楽譜が簡単に手に入る環境は、つい10年前には想像できませんでした。それによって勉強の速度がものすごく早まりますし、独学でできることもとても多くなってきました。しかも自分の成長を確認するために、それをSNSで自ら世界に発信することができるのですから、ピアニストやピアノ学習者たちも進化しなければ嘘でしょう。それに伴って今の時代は音楽の教育法や指導法もどんどん変わっていくと思います。
いろんなジャンルの音楽が巷にあふれているとはいえ、ピアノを習得しようと思えばクラシック音楽からのアプローチは依然としてものすごく大事だと思います。クラシックには勉強すべきものが本当にたくさんあって、音楽の基礎に関わること(音楽の理論や楽器の奏法に関わること)がまずとても重要です。過去の偉大な作曲家たちの曲をことごとく知ろうとすることも大事です。それらを完全にすっ飛ばしてピアノが自由に楽しく弾けるようになるというのは難しいと思います。ただ、今の時代は並行して多くの音楽ジャンルに同時に触れていくこと、例えば簡単に即興演奏ができたりアレンジができたり、というようなクラシック演奏以外の他の能力にも早いうちに目覚めることも大事かもしれません。作曲家たちが残した楽譜を正しく解釈することもとても奥深いことであるのは事実なのですが、現代はなにしろ習得のテンポが早い時代ですから、できることはもう何でも同時に勉強していくことが可能かもしれません。
音楽を「深く追求すること」と、「広く知ること」を両立させる時代ですね。昔はそのように複数の音楽ジャンルを深く掘り下げるのは難しかったと思いますが、現代の環境では可能だし、またそうした異なる音楽ジャンルの融合のあり方についてもこれまでとはさらに違うもっと進化した考え方が必要になってきていると思います。