我が大学での実技レッスンの授業も、オンラインでの試みが始まってもう3週目に入りました。私自身はおもに学生たちとはFaceTimeとSkypeを使ってレッスンをしています。会議はZoomで。この環境でできることとできないことがだんだん分かってきてようやく慣れてきたところです。
ただ、明日にも緊急事態宣言が解除になって、近いうちに普通にレッスンができる日がもうすぐ来るかもしれません。それを強く期待したいところです。
さて話は変わって、数年前から始めたカプースチンの全曲録音シリーズ。ピアノソロの第4弾CDが夏頃までにはリリースされる予定です。これでようやく4枚目。今回のは昨年の4~5月に録音したものが中心です。自分としては、特にあの迷曲(?!)ピアノソナタ第8番を良い録音で成就できたのは嬉しいですし、まだあまり知られていない佳品(作品92など)も今回録音が実現しました。これが世の中に出るのが楽しみです。
カプースチンの知らない作品を勉強すると、本当に驚きと発見の連続です。私は作曲家の立場で曲に臨んでいるわけではないのですべてが解明できているわけではないのですが、これはぜひ後世の人にこの巨大な作曲家の秘密を明らかにしてほしいものです。もう私にはわからないレベルの天才であることは間違いなく、作品の分析もそうそう簡単ではありません。作曲家の視点で見れば、これは本当にアイデアの宝庫なのではないでしょうか。これほど作品が多いのに、一つとして同じような曲がなく、どれも違った面白さがあると思います。
カプースチンのピアノソロ曲はもう数えきれないほどあることは確かなのですが、一応計算するとCDにして13枚くらいでソロだけなら全部カバーできそうです。今回の全曲シリーズCDで4枚目ですが、私は過去にもアコースティックレコーズのレーベルで4枚出しているので、合計8枚録音していることになります。全曲シリーズの13枚目まであと9枚ですから、まだ道半ば…というか、半分まで届いていない!ということですね。
とにかくカプースチンの全作品を早く皆さんにお届けしたいという気持ちで、黙々と仕込みをしつつ練習をし続けています。計画としては、半年にCD2枚のペースでこのまま出し続けられればあと5年で到達するということになります。つまり、あと5年も経てば、カプースチンの全貌をようやく世界にお見せすることができるということです。
カプースチンの詳細な研究はまだないので、ぜひ誰かにこの天才の秘密を解明してほしいです。現代では多くの音楽にアクセスすることが可能になっているので、若者の中から今後天才的な研究者が出てくるのを待ちたいところです。2015年にピアノソナタ第3番を中心に論じたYana Tiulkova女史の素晴らしい論文がありますが、それを超えるものはまだ世界にないと思うので、これは今後進化した音楽研究に期待するしかないでしょう。
今日はもう寝ますが、先ほど連絡が入って、また明日の朝、辻井伸行君がテレビに登場するということで、明日5/25(月)のフジテレビのノンストップ!(9:50~)という番組だそうです。明日は、カプースチンもクラシックも弾かないということですが(じゃあ何を弾くの??)、楽しみにチェックしたいと思います。