今朝、カプースチンの訃報を知りました。
この知らせにまだ信じられない気持ちでいらっしゃる方も多いかもしれません。
今日はSNSなどの反響で、カプースチンという作曲家・ピアニストが本当に世界中で多くの人たちから愛されていたのだということを知りました。
マエストロのご冥福を心からお祈りいたします。
カプースチンは82年の生涯で大小161に及ぶ傑作の数々を私たちに残してくださいました。
これまで日記を書くようにカプースチンについていつも語ってきた私ですが、おそらくこれからもそのスタンスは変わらないと思います。そして、この大作曲家の存在をますます世界に広めていきたいと思っています。
カプースチンとの思い出はたくさんあってとても書き切れません。その音楽からは無限の喜びや驚き、生きる勇気や幸せな気持ちや優しさ、芸術の素晴らしさというものを与えてくださいました。その恩恵は書き切れないほどです。そして、何よりも人間として本当に心から尊敬できる素晴らしい方でした。私はカプースチン夫妻の人格と包容力にしばしば圧倒されました。
カプースチンはまた私にロシアとの扉を開いてくれた方でもあります。私はカプースチンと出会ってから、スケールの大きな考え方ができるようになりました。自分の音楽人生でカプースチン一人から受けた影響は計り知れません。とても一言で語れる内容ではありません。もう20年も彼の曲を演奏していますが、また咀嚼し切れていないことも多くあるし、まだ知らない曲さえたくさんあります。一体どれほど巨大な方だったのだろう?
彼の近作のほうの曲を自作自演で聴くと、ときどき涙が出そうになることがありました。彼の生涯を思い、彼が書いた音楽に心の底から耳を傾けると、その音楽の中に彼の人生のすべてが入っていることがわかるからです。『カウンタームーヴ 作品130』など、悲しすぎて聴けないこともありました。カプースチンは私たちに本当に本当に深い感銘を与えました。
マエストロには感謝の言葉しかありません…。
