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練習時間というもの

昨日、最近知られるようになった若手ピアニスト、12歳の牛牛(にゅうにゅう)君を偶然テレビで見ました。私は普段テレビをほとんど見ないので、すごい確率だったかもしれません。報道番組でのスタジオ生出演で、なんと生演奏もありました。「くまんばちの飛行」や「トルコ行進曲」(編曲)など。食い入って見てしまいました。

トークではお決まりの質問である「毎日の練習時間は?」に、彼は「4時間くらい。効率よく練習すればそれで充分」みたいな回答をしていました。誰も驚きはしないのでしょうけど、ちょっと発見することもありました。
あとからよく考えてみると、12歳であの発言はすごいかな、と。

普通、プロを目指してピアノを弾いている人は、練習はほとんど一日中とか、6~8時間、あるいはもっと練習するべきだとされていることでしょう。あの郎朗(ランラン)だって、子ども時代は練習の鬼だったのですからね。
たしかに忙しい時代です。ピアノの練習だけに時間をかけなくてはいけないライフスタイルは、もう現代ではピアニストであっても許されなくなってきたのかもしれません。それを彼はもう12歳で悟っている、と観ることもできるかもしれませんね。
演奏家の中でも、特にピアノや弦楽器のソリストは練習にめちゃくちゃ時間をかけます。そして、そのくらいやって当然と思われてきました。ただ、この考え方さえ、もう捨てなきゃいけない時代なのだろうか…。

自分自身、これまでの人生でピアノの練習のために費やした時間を考えると愕然とするほどです。だから、もうこれ以上できるだけ練習したくない(笑)、というのが本音ですね。他のことに時間を使いたいのです。でも演奏活動はしたい…、そのためには最低限の練習時間をやはりとらなくてはいけない、という葛藤がいつも付きまといます。やらなければいけない仕事はいつも山ほどあるし、ピアノを離れて勉強したいこともまだたくさんあるのです。

ではいったい一日に最低どのくらいをピアノの練習時間に充てれば良いのか?
牛牛君で4時間なら、私の歳では1時間でいけるか。いや、無理だ。では2時間?これでも、演奏会で何時間もの曲目を人前で出せるほどのものを維持することはできない気がする。練習は、心身ともに非常に良い状態でクリアな集中力を持って臨まなくてはいけない。そんな理想的な練習が2時間実現するためには、前後合わせてやはり4時間くらいの時間確保が必要な気がします。頭をよく働かせて練習すればかなりの無駄を省けるといっても、やはり楽しみながら譜読みをする時間や、指に覚えこませるための運動能力に関わる練習もありますから。
だから、自信を持って人前で弾けるためには、やっぱり毎日4時間くらいは確保するべきでしょうか。

平均4時間といっても大変な時間ですよね。これを毎日確保するためには、ピアノが最優先なのだという意識をずっと持ち続けるか、または無意識にそうなれるための習慣づけを行っていなくてはいけないでしょう。よほどピアノが好きでなくては続かないわけです。
でも、大人になると、好きだけれども続かなくなっていく…のですよね。意志の力が弱くなっていくというか、他にやることがたくさん出てきて忙しくなってくるので優先順位が変わってくるのです。職業音楽家であっても、きっとその葛藤は一生続くものでしょう。

あ~、だから牛牛君のように12歳の時点であのように発言できていたら人生もっと有意義だったかなー、とは思います。

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